講演情報
[AOS26-P14]リグニン系改質剤による海草の生育への影響評価
*石沢 実奈子1、梅澤 有1、梅林 奎輔1、鈴木 淳世1、山本 慧1、松下 泰幸1 (1.東京農工大学)
キーワード:
海草、鉄、キレート
【はじめに】
生物多様性を支え二酸化炭素を隔離・貯蔵する場としても着目される海草藻場は、複合的要因で劣化・減少しており、その再生保全活動も物理攪乱による幼苗の脱離や、成長速度を上回る被食の影響で成功事例が少ない。そこで、根圏を発達させることで、物理攪乱への耐性強化、根からの栄養塩吸収速度の増加による成長量増加、嫌気的堆積物中での炭素隔離量増加、などの恩恵を受けることができると着想した。イネ等の陸上植物では、鉄をキレートし植物体内への吸収率を高める効果を持つリグニン系改質剤を添加することで、根圏や地上部の成長を促進することが知られている。そのため、鉄含有量が少ない炭酸塩鉱物で形成されているサンゴ礁海域の海草藻場の再生において特にリグニン系改質剤の添加が海草の成長量増加に効果的であることが想定される。そこで、近年、アオウミガメの捕食により消失が進む亜熱帯域の主要海草種を用いた室内実験を行い、リグニン系改質剤の添加が海草の体内成分や、葉や根の成長速度に影響が現れるか検証を行った。
【試料と方法】
沖縄県備瀬サンゴ礁にて採取したリュウキュウスガモ(Thalassia hemprichii)を用いて、①週1で栄養塩添加のみと②週2で栄養塩添加のみのコントロール区、③水熱化クラフトリグニン(HKL)0.05 %添加と週1での栄養塩添加、④HKL0.05 %添加と週2での栄養塩添加の条件で2カ月間の栽培を行った。栽培期間中に、定期的に葉の幅と長さを計測し、また葉のクロロフィル量指標としてSPAD値を測定した。実験終了後は、葉に含まれる炭素・窒素量、炭素・窒素安定同位体比(δ13C・δ15N)クロロフィル濃度、葉・地下茎・根の鉄濃度の測定を行って、HKL添加による海草への影響評価を行った。
【結果と考察】
HKLの添加により根や地下茎に鉄が蓄積したいっぽうで、葉体での鉄濃度の増加はみられなかった。また、葉のクロロフィル濃度は、高いNP添加条件時のみ上昇がみられたものの有意でなく、低NP条件では低下していた。HKL添加区で相対的に高い値に変化したδ13C値は、炭素固定の促進傾向を示していたが、葉面積の増加は高NP区のみでみられ、低NP添加区では減少していた。また、HKL添加区での根の成長は見られなかった。HKLを根圏に添加することで、海草による鉄吸収が促進された一方で、鉄律速が緩和されたことにより、相対的に窒素律速が生じ、葉のクロロフィル濃度の増加や成長量への影響は限られた可能性があるため、今後は十分な栄養塩添加条件での検討が必要とされた。
生物多様性を支え二酸化炭素を隔離・貯蔵する場としても着目される海草藻場は、複合的要因で劣化・減少しており、その再生保全活動も物理攪乱による幼苗の脱離や、成長速度を上回る被食の影響で成功事例が少ない。そこで、根圏を発達させることで、物理攪乱への耐性強化、根からの栄養塩吸収速度の増加による成長量増加、嫌気的堆積物中での炭素隔離量増加、などの恩恵を受けることができると着想した。イネ等の陸上植物では、鉄をキレートし植物体内への吸収率を高める効果を持つリグニン系改質剤を添加することで、根圏や地上部の成長を促進することが知られている。そのため、鉄含有量が少ない炭酸塩鉱物で形成されているサンゴ礁海域の海草藻場の再生において特にリグニン系改質剤の添加が海草の成長量増加に効果的であることが想定される。そこで、近年、アオウミガメの捕食により消失が進む亜熱帯域の主要海草種を用いた室内実験を行い、リグニン系改質剤の添加が海草の体内成分や、葉や根の成長速度に影響が現れるか検証を行った。
【試料と方法】
沖縄県備瀬サンゴ礁にて採取したリュウキュウスガモ(Thalassia hemprichii)を用いて、①週1で栄養塩添加のみと②週2で栄養塩添加のみのコントロール区、③水熱化クラフトリグニン(HKL)0.05 %添加と週1での栄養塩添加、④HKL0.05 %添加と週2での栄養塩添加の条件で2カ月間の栽培を行った。栽培期間中に、定期的に葉の幅と長さを計測し、また葉のクロロフィル量指標としてSPAD値を測定した。実験終了後は、葉に含まれる炭素・窒素量、炭素・窒素安定同位体比(δ13C・δ15N)クロロフィル濃度、葉・地下茎・根の鉄濃度の測定を行って、HKL添加による海草への影響評価を行った。
【結果と考察】
HKLの添加により根や地下茎に鉄が蓄積したいっぽうで、葉体での鉄濃度の増加はみられなかった。また、葉のクロロフィル濃度は、高いNP添加条件時のみ上昇がみられたものの有意でなく、低NP条件では低下していた。HKL添加区で相対的に高い値に変化したδ13C値は、炭素固定の促進傾向を示していたが、葉面積の増加は高NP区のみでみられ、低NP添加区では減少していた。また、HKL添加区での根の成長は見られなかった。HKLを根圏に添加することで、海草による鉄吸収が促進された一方で、鉄律速が緩和されたことにより、相対的に窒素律速が生じ、葉のクロロフィル濃度の増加や成長量への影響は限られた可能性があるため、今後は十分な栄養塩添加条件での検討が必要とされた。
