講演情報

[HDS11-P06]令和6年能登半島地震における人々の避難行動とその背景―富山市沿岸部を事例に―

*田近 志織1、青木 賢人1 (1.金沢大学人間社会学域地域創造学類)

キーワード:

2024年能登半島地震、津波避難、富山市、全体最適化

本研究では,令和6年能登半島地震発生時における人々の津波に対する避難行動に着目し,避難行動とその背景の把握を試みた.調査対象地域は,能登半島地震時に大規模な交通渋滞が発生した富山市の沿岸地域(東岩瀬町,高畠町,永久町)であり,住民アンケートの実施に加え,富山市の危機管理部局,富山市防災士会への聞き取り調査も行った.
 調査の結果,避難の判断は揺れや緊急地震速報といった情報だけでなく,周囲の人々の行動や報道等の外部情報,過去の災害の想起,居住地域の災害リスク認知等の複合的な要因により形成され,同一の判断要因においても避難の有無に差が生じ得ることが示唆された.また,津波の浸水想定区域や避難対象地域における想定と,それらの区域外を含む実際の避難行動との乖離が,交通渋滞や避難所での混乱といった二次的被害を招き得ることを確認した.
 以上を踏まえ,行政・組織・住民の認識のギャップを埋めるため,平常時からの避難行動の指針の策定・共有,防災啓発の対象の拡大,担い手形成が必要となることを指摘した.優先的な避難や自宅待機等,地域特性や地域の災害リスクの違いに応じて行動を分散させるゾーニングをあらかじめ行い,全体最適化の最大化を図る仕組みを構築することが,今後の防災まちづくりにおいて必要不可欠となる.