講演情報

[HDS11-P11]南海トラフ地震を想定した二次医療圏に基づく曝露量の試算
〜震度階別面積占有率を係数として〜

*田中 利幸1、井ノ口 宗成2 (1.富山大学、2.立命館大学)

キーワード:

二次医療圏、曝露量、南海トラフ地震

南海トラフ巨大地震は今後30年以内に80%程度の確率で発生すると言われている。この確率は算定方法によって異なる値になり得るが、近い将来地震が発生し被害が想定されることに変わらない。また、その被害は広範囲に及ぶことが危惧されている。ライフラインの被害は社会経済を寸断し、日常生活を一変させる。その中でも特に、上水道の寸断は生命活動の維持に困難をもたらす。医療機関では飲料水としてだけでなく、血液透析等の治療にも利用されている。
 そこで本研究では、南海トラフ巨大地震の発生時に医療機関への応急給水体制を確立させることを目的に、災害時のリスク分析を実施することとした。このリスク分析では2次医療圏単位で進め、震源地の異なる「基本想定・西側想定・東側想定・陸側想定」の4つのケースを用いてそれぞれの想定を行う。
 本研究におけるリスク分析では面積占有率による分析としている。そのため、まず各2次医療圏にディゾルブを実行後、ジオメトリ演算機能を用いて面積を算出した。また、全4ケースの震度想定に対し、各2次医療圏内での震度階別の面積を求めた。なお、2次医療圏は全国で335存在するが、震度想定がなされているものは280にとどまる。今回の震度階別面積は280の2次医療圏に対して求めたものである。ここではインターセクトの機能を用い、各2次医療圏をさらに細分化した面積が求まった。
 次に震度階別面積を基に、「医療機関数・病床数・高齢者数」の3つの曝露量を計算した。ここでの曝露量とは、震度階別面積にそれぞれの変数を掛け合わせた、改めて算出した値である。面積だけをみれば、図に示すように、全ケースにおいて震度階が大きくなるにつれて、その面積は小さくなる。しかしながら、曝露量を見ると、西側と東側ケースでは「医療機関数・病床数・高齢者数」の3つにおいて、震度5弱の曝露量が高くなることが確認された。つまり、単純な震度減衰だけでなく、曝露量に着目することで、特に西側と東側ケースでは、震度5弱での被災程度に応じて対応の様相が変わるのではないかと推察された。一方で、単純な面積占有率の分布と比べ、震度7における曝露量も比較的大きくなっている点も確認された。つまり、災害時のリスクは単純な面積按分でなく、曝露量に差がでることから、シナリオに基づく対応が求められると考えられる。