講演情報

[HDS11-P12]ゲーミング教材を利用した災害時の情報リテラシー向上のための教育プログラム開発~SNS等の偽・誤情報判断能力向上を中心的学習目標として

*木村 玲欧1、永峰 茉依1 (1.兵庫県立大学)

キーワード:

防災教育、災害時の情報リテラシー、インストラクショナル・デザイン(ADDIEモデル)、ゲーミング教材、偽情報、誤情報

過去の大規模災害において、SNS等を介した偽情報や誤情報の拡散は深刻な社会問題となっている。学校現場において情報教育の普及は進んでいるものの、災害時の情報リテラシーに特化した教材は依然として不足している。本研究は、災害時特有の情報判断能力を養うための教育プログラムを開発し、その有効性を検証することを目的とした 。
 本プログラムの開発には、インストラクショナル・デザイン(ID)のADDIEモデル(分析・設計・開発・実施・評価)を採用した。まず「分析」フェーズでは、既存の教材から抽出した67個の学習目標に対し、Ward法によるクラスター分析を実施した。その結果、4つの主要な学習目標クラスターが特定された。それは、1)災害時における情報の送り手のふるまいについて理解できる(情報発信力)、2)災害時において情報の受け手のふるまいについて理解できる(情報受信力)、3)災害時の情報を精査する力を身につけることができる(情報精査力)、4)災害時の情報リテラシーの実態を理解する(情報理解力)である。これらの結果をもとに、「設計・開発」フェーズにおいて、大学の1コマもしくは高校の2コマの授業内で実施できるような80分の情報リテラシー向上のための教育プログラムを開発した。また、ゲーミング教材として、オリジナルのボードゲーム教材「偽・誤情報すごろく」を作成した。
 開発した教育プログラムの有効性を検証するため、兵庫県立大学の学生56名および、兵庫県立舞子高等学校の生徒40名を対象に授業を行って、教育プログラムの効果測定を行った。効果測定では、4つの学習目標に対応する計8項目の評価尺度について、学習者の事前・事後調査における自己評価の変化を計測した。これは、教授学習の研究者であるロバート M. ガニェが「評価は、あくまでも学習者のパフォーマンスの評価で表現する」と定義していることに基づくものである。
 その結果、全ての項目において1%水準で統計的な有意差が確認され、受講者の情報リテラシー向上のために効果的な教育プログラムであることが示された。また、定性的な評価においても、情報の真偽判断の難しさを「自分事」として捉える記述が多く見られた。今後、開発したプログラムを改善しながら、高校・大学に留まらず、地域ワークショップでの導入など、多世代にわたる情報リテラシー向上に貢献していくことを計画している。