講演情報

[MIS19-04]気相環境におけるH2O氷ナノ粒子の生成実験

*酒井 貫志1、木村 勇気1、山崎 智也1 (1.北海道大学)

キーワード:

核生成

宇宙空間に存在する水は,分子雲内においてダスト表面で形成された氷として広く分布しており,星形成領域や原始惑星系円盤における物質進化に重要な役割を果たしている。これらの氷は,星や惑星系の形成過程で一度昇華し,その後の冷却に伴って再凝縮すると考えられている。この再凝縮過程では氷粒子のサイズや数密度が変化し,分子進化や惑星材料の組成に影響を及ぼすと考えられる。再凝縮は非平衡条件下で進行するため核生成を伴う。地球大気中では主に不均質核生成による水の凝縮・氷生成の理解が進んでいるのに対し2,宇宙環境では低密度下での均質核生成による水蒸気からの氷粒子形成の核生成や初期成長過程は十分に明らかになっていない3
本研究では,宇宙環境における氷の再凝縮過程を実験的に再現することを試みた。気相から生成する氷ナノ粒子のIRスペクトルをその場計測するとともに,生成粒子を回収してTEM観察を行うことで,核生成から初期成長に至る氷ナノ粒子の生成過程を調べた。
実験には独自に開発した低温核生成チャンバーを用いた。チャンバーは二重管構造になっており,管の間を液体窒素で冷却した。内部を真空排気した後に窒素ガスを導入し,蒸発源を加熱して水蒸気を発生させた。水蒸気は周囲のガスとの衝突により冷却され,均質核生成によって氷ナノ粒子が生成される。この過程をIRスペクトルによりその場測定した。また,チャンバー内に設置したクライオトランスファーホルダーを用いて粒子をTEMグリッド上に直接収集し,低温を保持したままTEM観察を行った。
TEM観察の結果,数十 nm から数 μm の粒子が確認された。電子回折図形から,生成粒子の大部分はアモルファス氷であることが分かった。
[1] J. I. Lunine et al., Icarus, 1991, 94, 333–344.
[2] C. Hoose et al., ACP, 2012, 12, 9817-9854.
[3] A. C. A. Boogert et al., Annu. Rev. Astron. Astrophys., 2015, 53, 541–581.