講演情報

[O01-02]海の謎を解き、未来を守る:海洋生態系変動研究の最前線★招待講演

*須賀 利雄1 (1.東北大学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC))

キーワード:

海洋、海洋生態系、地球温暖化、異分野融合研究

地球の表面の約7割を占める海は、地球全体の光合成の半分を担い、全動物のバイオマス(生物量)の8割を養う「生命の源」です。私たちは海から食べ物を得るだけでなく、酸素の供給や気候の調整など、多くの恩恵(生態系サービス)を受けています。しかし、海の中で何が起きているのかは、陸上に比べてまだ分かっていないことだらけです。特に、地球温暖化やそれにともなう海洋の酸性化、海水循環の停滞、貧酸素化などの環境変化に対して、海の生き物たちがどう反応し、どう適応しうるのかという仕組みは大きな謎です。例えば、海の環境が急激に変わる「レジーム・シフト」という現象が起きると、漁獲量が激減したり、有害なクラゲが大量発生したりします。しかし、その原因やタイミングを正確に予測することはまだできません。この謎を解くには、これまで別々に発展してきた海の物理的な循環や環境に関する研究分野と生物や生態系に関する研究分野が、その垣根を越えて一体となって研究することが必要です。世界の海に展開された観測ロボットや人工衛星による観測、海水のなかに含まれる生物のDNA(環境DNA)を分析する手法など、最新の技術を統合した、海洋生態系変動研究の最前線を紹介します。この挑戦的な研究が進めば、海の未来を高い精度で予測できるようになり、豊かな海と私たちの暮らしを次世代へ守り継ぐことにつながります。