講演情報

[O02-01]再生可能エネルギーに関する応用地質分野の技術と課題★招待講演

*舩山 淳1、竹村 貴人2、大谷 晃3、堀 信雄4、塩﨑 功5、清﨑 淳子6、佐伯 佳美7、磯部 有作8、太田 岳洋9、宇佐美 光宣10、稲垣 秀輝11 (1.パシフィックコンサルタンツ株式会社、2.日本大学、3.八千代エンジニヤリング株式会社、4.株式会社日さく、5.エンジニアリング協会、6.株式会社クロスエンジニアリング、7.株式会社ダイエーコンサルタンツ、8.株式会社イメージアイコンサルタント、9.山口大学、10.大日本ダイヤコンサルタント株式会社、11.株式会社環境地質)

キーワード:

再生可能エネルギー、応用地質

再生可能エネルギーは自然現象が生み出すもので、様々な地形や地質条件とかかわりがあり、各種施設の地盤条件ともなる。日本応用地質学会の環境地質研究部会では、再生可能エネルギー分野の応用地質分野の課題を考えてきた1)。再生可能エネルギーの源は、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマスが定められており、利用形態に発電利用と熱利用がある。本発表では、利用形態と施設の種類ごとに、再生可能エネルギーの技術分野における応用地質分野の関連内容と今後の課題を考えてみたい。
地熱発電は、地下の地熱貯留層から蒸気を取り出し発電する方式である。地下深い地熱貯留層の把握のため、各種の調査方法を組み合わせた評価の取り組みがなされている。また、有望な箇所は、国立公園や火山地帯が多く、施設の景観への配慮、自然公園との調整、温泉地との共生なども重要である。
太陽光発電では、地上設置型の用地に関して基礎地盤の確認が必要である。平地では軟弱地盤、緩傾斜地では地すべり地形など不安定斜面、人工造成地では盛土や切土による斜面の不安定化の確認が必要である。周辺で発生する土砂災害の影響や強風被害に対する対応も重要となる。
風力発電では効率良く風を受けることが重要で、日本の陸上の風力発電所は風況の良い海岸沿いの低地(人工地盤、砂丘)や丘陵地、山地の傾斜の緩やかな尾根等に設置される場合が多い。峡谷より吹き出すなど地域特有の風を生かした発電もある。風況の良い地形箇所の選定、地盤対策の要否と検討(軟弱地盤の場合の対策、地すべり等の安定対策)、耐震も考慮した支持層の把握等の課題がある。
風況の良い海上に設置する洋上風力発電施設は、日本では2海域で実証試験が行われているが供用施設はまだない。設備は、着床式(海底に設置)、浮体式(海面に浮遊させアンカーで海底に固定)がある。沿岸海域では一般に河川などで運ばれた砂や粘土が堆積しており、風車の基礎地盤の確認や地盤対策(軟弱地盤等)が必要となる。また、調査船による大規模な調査を要する。
海のエネルギーを利用した発電技術は多様な種類がある(波力、潮位差、潮流、海流、温度差)。日本では1965 年の海上保安庁の波力発電装置、海外では1967年に発電を開始したフランスのランス潮汐力発電所などがあるが、各種発電技術は、研究や実証途上のものが多い。
中小水力発電は、日本では出力3 万kWが一つの目安である。発電の方式は、貯水池式や流れ込み式があり、構造面ではダム式や水路式、砂防ダムの落差利用がある。事前にエネルギー規模を調査するが、算定(流量、落差)には地域の地形を把握することが重要である。
バイオマスは廃棄物系(建設発生木材など)、未利用系(間伐材等)、生産性資源(牧草・海藻や植物油)があり、各種燃料を製造して発電、熱利用、輸送燃料として活用する。発電所の立地は資源の輸送に関係し、輸入資源を使う場合は臨海部の埋立地、国内資源の場合は河川沿いの低地への立地が多く、施設の基礎地盤に関して軟弱地盤対策が重要となる。
熱利用に関して、地中熱利用は地下温度(深度100m程度まで)が一定であることを利用し、地中で熱交換を行う空調方式である。熱交換器の設計のため地層の分布や熱伝導率の測定が必要である。温泉熱利用は、温水を近傍で直接利用するもので、用途は農業(温室栽培等)、養殖(魚類など)、林業(木材乾燥)、食品加工(発酵・熟成)、観光(温室等)、融雪、給湯・冷暖房の事例があり多様である。温泉の温度、泉質、湧出量の把握、温泉源と利用施設との位置関係、地熱資源開発との共生、地域産業とのマッチングが重要である。また、地熱・温泉熱利用の施設では、熱水と岩石の化学反応に関する地質的課題もあり、湯の花などの目詰まり対策、火山地帯における変質による地盤の脆弱化(地すべりなどの要因)などがある。
再生可能エネルギーは発電の量や時間等が不安定のことも多く、一旦電力を貯蔵し制御することも課題である。地盤を利用した電力貯蔵の一つとして、圧縮空気を製造して地下に貯蔵し利用時に発電する技術も検討されている。また、再生可能エネルギーに関連する技術として、CO2排出量削減関連の技術のCO2の地下貯蔵があり、貯留層と遮へい層の組合せ箇所の調査などが研究されている。
以上見てきたように、再生可能エネルギー施設の設置においては、エネルギー源の種類や施設ごとに多様な地形地質条件があり、地域の地形地質条件の理解が重要である。
引用文献) 舩山 淳・竹村貴人・大谷 晃・堀 信雄・塩﨑 功・清﨑淳子・佐伯佳美・磯部有作・太田岳洋・宇佐美光宣・稲垣 秀輝(2025):再生可能エネルギーと応用地質,応用地質,第66巻,第2号,pp.38-46.