講演情報
[O02-05]地熱利用の現状と課題★招待講演
*柳澤 教雄1 (1.産業技術総合研究所 地質情報基盤センター アーカイブ室)
キーワード:
地熱発電、地中熱利用、火山、温泉
1.はじめに
再生可能エネルギーとして地熱エネルギーの利用する場合、特に発電に利用する場合、日照や風力などの気象条件に左右されず、年間通して安定した出力が期待できる。また、温室効果ガスの排出が極めて少ない。そのため、ベースロード電源として火山国を中心に開発が進められている。
2.地熱発電開発のこれまでの経緯
日本では1970年代のオイルショックを契機に急速に調査・開発が進められ、1990年代には5年間で発電量が倍増した。しかし、それ以後発電量は増加してこなかった。国の予算の減少、国立公園内での開発規制、温泉との共生が困難、多大な開発投資を要するなどの課題により新規の開発が停滞していた。
2011年の東日本大震災に伴う原発事故以後、地熱発電促進のための政策がとられてきた。例えば、FIT(固定価格買い取り制度)の導入とともに、阻害要因となっていた国立公園内での調査・開発の規制緩和、環境アセスメント期間の短縮などである。同時に、将来技術としてのEGSや超臨界地熱の研究も実施されている。
3.震災以後の地熱発電の進捗と課題
2011年以後の日本の地熱発電の進捗であるが、45MW程度の地熱発電所は秋田県山葵沢地域のみで、4.5MW以上の地熱発電所の開設は6か所である。地熱発電設備の新設は100か所以上あるが、多くは温泉排熱を利用した小規模バイナリー発電所である。
小規模バイナリー発電の開発のメリットとして、温泉排熱の利用で温泉の生産に影響を与えないので温泉所有者の理解が得やすい、リードタイムが短い、FIT価格が高いといったことである。しかしながらバイナリー発電による設備容量の増加は50MW程度である。さらに、1990年代までに運転開始した地熱発電所においても東北地方の発電所を中心に出力が減衰しており、今後再エネとしての地熱発電量の増加のためには、大規模な発電所の新規建設や、既存の地熱発電所の出力回復が必要である。
4.地中熱利用について
地熱発電の利用は火山地域(国)に限定されるが、地中熱利用ヒートポンプは欧米を中心に世界的に普及が進んでいる。これは、地下数十メートルの温度が年間ほぼ一定であることを利用し、夏の冷房などを効率的に行う方法で、下記の点が長所として挙げられる。
・日本中どこでも、いつでも利用できる。
・節電、省エネとCO2 排出量抑制ができる。
・通常のエアコン(空気熱源ヒートポンプ)が利用できない外気温 -15℃以下の環境でも利用できる。
・地中熱交換器は密閉式なので,環境汚染の心配がない。
・冷暖房に熱を屋外に放出しないため、ヒートアイランド現象の緩和に寄与する。
事例として、東京都心のオフィスビルで、空調システムを空気熱ヒートポンプ(通常のエアコン)から地中熱ヒートポンプに更新したケースの場合で、空気熱と地中熱の電力消費量の実績を比較すると、年間で49%の節電・省エネとなっており、とくに夏季の節電・省エネ効果が大きいことが示されている。
それにも関わらず、日本での地熱熱の導入はアメリカや中国、スウェーデンなどの欧米職に比べ1/100以下の導入件数でかなり遅れている。理由としては掘削コストが高いことなどが挙げられるが、現在、複数の自治体が地中熱利用ポテンシャルマップを作成するなどしており、今後の普及が待たれるところである。
5.おわりに
日本は地熱ポテンシャルに比較して地熱発電量が少なく、開発に向けて課題は多く、また諸外国に比べ開発に不利な状況はある。しかしながら有望地域のポテンシャル調査は急速に進んでおり、発電タービンなど世界のトップシェアを占める技術を有しており、今後の地熱発電利用の促進が期待される。さらに全国的に利用可能な省エネ型の地中熱利用ヒートポンプの導入も急務である。
再生可能エネルギーとして地熱エネルギーの利用する場合、特に発電に利用する場合、日照や風力などの気象条件に左右されず、年間通して安定した出力が期待できる。また、温室効果ガスの排出が極めて少ない。そのため、ベースロード電源として火山国を中心に開発が進められている。
2.地熱発電開発のこれまでの経緯
日本では1970年代のオイルショックを契機に急速に調査・開発が進められ、1990年代には5年間で発電量が倍増した。しかし、それ以後発電量は増加してこなかった。国の予算の減少、国立公園内での開発規制、温泉との共生が困難、多大な開発投資を要するなどの課題により新規の開発が停滞していた。
2011年の東日本大震災に伴う原発事故以後、地熱発電促進のための政策がとられてきた。例えば、FIT(固定価格買い取り制度)の導入とともに、阻害要因となっていた国立公園内での調査・開発の規制緩和、環境アセスメント期間の短縮などである。同時に、将来技術としてのEGSや超臨界地熱の研究も実施されている。
3.震災以後の地熱発電の進捗と課題
2011年以後の日本の地熱発電の進捗であるが、45MW程度の地熱発電所は秋田県山葵沢地域のみで、4.5MW以上の地熱発電所の開設は6か所である。地熱発電設備の新設は100か所以上あるが、多くは温泉排熱を利用した小規模バイナリー発電所である。
小規模バイナリー発電の開発のメリットとして、温泉排熱の利用で温泉の生産に影響を与えないので温泉所有者の理解が得やすい、リードタイムが短い、FIT価格が高いといったことである。しかしながらバイナリー発電による設備容量の増加は50MW程度である。さらに、1990年代までに運転開始した地熱発電所においても東北地方の発電所を中心に出力が減衰しており、今後再エネとしての地熱発電量の増加のためには、大規模な発電所の新規建設や、既存の地熱発電所の出力回復が必要である。
4.地中熱利用について
地熱発電の利用は火山地域(国)に限定されるが、地中熱利用ヒートポンプは欧米を中心に世界的に普及が進んでいる。これは、地下数十メートルの温度が年間ほぼ一定であることを利用し、夏の冷房などを効率的に行う方法で、下記の点が長所として挙げられる。
・日本中どこでも、いつでも利用できる。
・節電、省エネとCO2 排出量抑制ができる。
・通常のエアコン(空気熱源ヒートポンプ)が利用できない外気温 -15℃以下の環境でも利用できる。
・地中熱交換器は密閉式なので,環境汚染の心配がない。
・冷暖房に熱を屋外に放出しないため、ヒートアイランド現象の緩和に寄与する。
事例として、東京都心のオフィスビルで、空調システムを空気熱ヒートポンプ(通常のエアコン)から地中熱ヒートポンプに更新したケースの場合で、空気熱と地中熱の電力消費量の実績を比較すると、年間で49%の節電・省エネとなっており、とくに夏季の節電・省エネ効果が大きいことが示されている。
それにも関わらず、日本での地熱熱の導入はアメリカや中国、スウェーデンなどの欧米職に比べ1/100以下の導入件数でかなり遅れている。理由としては掘削コストが高いことなどが挙げられるが、現在、複数の自治体が地中熱利用ポテンシャルマップを作成するなどしており、今後の普及が待たれるところである。
5.おわりに
日本は地熱ポテンシャルに比較して地熱発電量が少なく、開発に向けて課題は多く、また諸外国に比べ開発に不利な状況はある。しかしながら有望地域のポテンシャル調査は急速に進んでおり、発電タービンなど世界のトップシェアを占める技術を有しており、今後の地熱発電利用の促進が期待される。さらに全国的に利用可能な省エネ型の地中熱利用ヒートポンプの導入も急務である。
