講演情報
[O03-01]「もっと予測できる海」に向けて社会の中でより活用される海洋予測への取り組み★招待講演
*田中 裕介1 (1.株式会社オーシャンアイズ)
キーワード:
海洋数値モデル、リアルタイム海洋予測、最適漁場予測、航行安全情報、機械学習の海洋データへの応用
地球観測衛星や自動観測ブイをはじめとした海洋観測網の充実により海洋現象の理解が進んできたことと,数値モデルの研究開発の進展により,海洋現象の予測精度は上がってきました.これまでも,比較的時間スケールが長く数百キロメートル程度の水平スケールの現象が卓越する外洋域では予測データが利用可能でした.近年の計算機性能の向上も相まって,日程度の時間スケール,数十キロメートルの水平スケールの現象が対象になる沿岸海域で,求められる時空間解像度を持った予測をリアルタイムに実行することも可能になっています.
海洋 (特に沿岸域) では,漁業,海運,建設などの様々な経済活動が行われています.これらの活動を安全・効率的に行うにあたっては,流れ,水温,波などの海洋環境の予測情報が非常に重要です.海洋における経済活動の多くは沿岸域で行われているものの,これまでは予測情報が十分には提供されてきませんでした.前述のような科学的・技術的な進展に伴って,リアルタイムの海洋環境予測の基盤が整備されてきています.株式会社オーシャンアイズ(以下OE)では,沿岸域での予測データを作成し,それを社会に役立つ形で提供するという事業を行っています.
数値モデルが出力するのは,3次元の流速や水温といった物理変数の時系列データです.長年にわたって作成・発表され日常生活に溶け込んで利用されている日々の天気予報とは異なり,海洋の予測情報はこれまでほとんど使われてきませんでした.物理変数そのものを予測情報として提供しても,受け取るユーザーはデータの利用に慣れておらず,必ずしも有効に活用できません.予測情報の有効な利用を進めるにあたっては,個々の活動に合わせた指標などに解釈・変換することがより有用です.
このような一例として,OEでは,数値モデルで推定した環境情報と漁獲の実績を機械学習で組み合わせることによって,漁場予測モデルを構築し,予測情報を組み合わせることで漁場の予測情報を提供しています.この情報は,漁船漁業における漁場探索の時間を短縮し,漁業の効率を上げるとともに,燃油消費量を減らすことで二酸化酸素排出削減にも貢献します.漁場予測の技術を応用して,クジラの出現予測情報も創出しました.比較的小型の船舶を中心に鯨類との衝突は航行におけるリスクであるとともに,鯨類の負傷による海洋生物保全に対する懸念も高まっています.このような情報はより安全で環境負荷の少ない経済活動に貢献すると考えられます.
これまでの事業開発から得られた知見として,物理現象を精度よく予測することに加えて,海洋での経済活動や生物学的知見を組み合わせることで初めて「予測できる海」を実現することができるとも言えると感じています.今後は,産学問わずより多くの分野の知見を組み合わせて「もっと予測できる海」を目指すことが重要であると考えます.そのことによって,より多くの人が予測情報を利用し,それは海洋への興味関心につながり,さらに新たな情報へのニーズを生み出します.より多くの人が海洋に関わり,研究開発や事業開発がさらに進む,ということのきっかけになっていくことを期待したいです.
海洋 (特に沿岸域) では,漁業,海運,建設などの様々な経済活動が行われています.これらの活動を安全・効率的に行うにあたっては,流れ,水温,波などの海洋環境の予測情報が非常に重要です.海洋における経済活動の多くは沿岸域で行われているものの,これまでは予測情報が十分には提供されてきませんでした.前述のような科学的・技術的な進展に伴って,リアルタイムの海洋環境予測の基盤が整備されてきています.株式会社オーシャンアイズ(以下OE)では,沿岸域での予測データを作成し,それを社会に役立つ形で提供するという事業を行っています.
数値モデルが出力するのは,3次元の流速や水温といった物理変数の時系列データです.長年にわたって作成・発表され日常生活に溶け込んで利用されている日々の天気予報とは異なり,海洋の予測情報はこれまでほとんど使われてきませんでした.物理変数そのものを予測情報として提供しても,受け取るユーザーはデータの利用に慣れておらず,必ずしも有効に活用できません.予測情報の有効な利用を進めるにあたっては,個々の活動に合わせた指標などに解釈・変換することがより有用です.
このような一例として,OEでは,数値モデルで推定した環境情報と漁獲の実績を機械学習で組み合わせることによって,漁場予測モデルを構築し,予測情報を組み合わせることで漁場の予測情報を提供しています.この情報は,漁船漁業における漁場探索の時間を短縮し,漁業の効率を上げるとともに,燃油消費量を減らすことで二酸化酸素排出削減にも貢献します.漁場予測の技術を応用して,クジラの出現予測情報も創出しました.比較的小型の船舶を中心に鯨類との衝突は航行におけるリスクであるとともに,鯨類の負傷による海洋生物保全に対する懸念も高まっています.このような情報はより安全で環境負荷の少ない経済活動に貢献すると考えられます.
これまでの事業開発から得られた知見として,物理現象を精度よく予測することに加えて,海洋での経済活動や生物学的知見を組み合わせることで初めて「予測できる海」を実現することができるとも言えると感じています.今後は,産学問わずより多くの分野の知見を組み合わせて「もっと予測できる海」を目指すことが重要であると考えます.そのことによって,より多くの人が予測情報を利用し,それは海洋への興味関心につながり,さらに新たな情報へのニーズを生み出します.より多くの人が海洋に関わり,研究開発や事業開発がさらに進む,ということのきっかけになっていくことを期待したいです.
