講演情報

[O03-03]海洋プラスチックデータベースの拡充と将来予測 ―日本周辺から極域まで―★招待講演

*黒田 真央1 (1.九州大学応用力学研究所附属大気海洋環境研究センター)

キーワード:

マイクロプラスチック、海洋プラスチック、将来予測、南極

2015年9月の国連サミットで掲げられた持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の一つに、「海の豊かさを守ろう」として海洋プラスチックごみによる汚染問題が含まれたように、この問題は世界中で大きく取り上げられている。2019年6月に開催されたG20大阪サミットでは、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が提案され、現場観測、データベースの構築、それを基にした将来予測モデルの開発など、様々な取り組みが行われている。
 一方、この提案では具体的な削減の数値目標が掲げられておらず、追加的汚染を0にするための指標が明らかとなっていなかった。そこで本発表では、この数値目標を明らかにするまでの、日本における海洋プラスチックごみのデータベース構築の取り組みから、このデータベースを基にした陸から海へ流出したプラスチックごみの行方を追跡するコンピューター・シミュレーション結果、新たな確率分布モデルによる将来予測結果などを紹介する。
 また、その将来予測を支える基盤となる最新の現場観測状況についても紹介する。上記の取り組みでは極域を除く全世界の表層海洋のみが対象とされていたが、海洋プラスチックごみの大部分はマイクロプラスチック(5 mm以下のプラスチック)となって、海表面下に存在するとされている。この現在観測されていない「行方不明のプラスチック」の存在量、分布、輸送経路を明らかにし、実際の海洋流出量との差を埋めるための観測が進みつつある。本発表では、北太平洋にて新たに明らかになった、表層の海洋プラスチックごみの集積帯から海中へのマイクロプラスチック輸送について発表するとともに、これまで調査例が数例しか存在しなかった南極での、第66次越冬観測中(2024年12月~2026年1月)に行った海洋プラスチックごみ研究についても取り上げる。