講演情報

[O09-02]今ココからの脱出と超越:東大授業『茶わんの湯』の実践
―ゆっくり観察、手・頭・心を動かす教養教育としてのオブジェクト・ベースド学習メソッド―★招待講演

*鹿島 勲1 (1.東京大学 教養学部附属教養教育高度化機構 Educational Transformation部門)

キーワード:

オブジェクト・ベースド学習、ホリスティック教育、寺田寅彦、教養教育、ゆっくり見る、遊び心のある学び

本発表では、2015年から10年継続している東京大学の教養教育科目「茶わんの湯」における、オブジェクト・ベースド学習(Object-Based Learning, OBL)とホリスティック教育の実践およびその有効性を報告する。

OBLとは、実物(オブジェクト)を起点とした観察を通して気づきと学びを促進する教育手法である。本授業では、物理学者・寺田寅彦の随筆「茶わんの湯」(1922年)を、OBLおよびアナロジー(Analogy, 比喩)の適用例としてお手本とした。特に、①身近な茶わんと湯を「ゆっくりと、せかされずに」観察する Slow looking、②観察から創発される自由な発想の尊重、を重視している。

学生は、1コマで完結する作業・実験・観察・対話の反復を通して、手・頭・心を統合的によりよく動かす。そして、観察対象に潜む本質への探究や、従来とは異なる(慣れ親しんだ考え方とは違う)思考様式への転換、すなわち気づきのレッスンの場として授業を楽しむために来る。

本授業のアプローチはキッチン地球科学と多くの共通点を持つため、本セッションでは異分野交流も兼ねて参加している。発表では、㋑実演を交えた授業紹介、㋺10年間の授業開発で直面した課題とその解決方法、㋩遊び心をもった茶わんの湯の活動(Playful learning)によって予想外の到達点に至った具体例を紹介する。

最後に、本授業のキッチン地球科学的展開について、学生の好奇心を掻き立てるアイデアを会場から広く募りたい。

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茶わんの湯からはじめてみよう!

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01今ココ、Slow looking

ココに茶わんが一つあります。中には熱い湯がいっぱいはいっております。

ただそれだけではなんのおもしろみもなく不思議もないようですが、

よく気をつけて見ていると、だんだんにいろいろの微細なことが目につき、

さまざまの疑問が起こって来るはずです。ただ一ぱいのこの湯でも、

自然の現象を観察し研究することの好きな人には、なかなかおもしろい見物です。


— 寺田寅彦『茶わんの湯』,1922年(大正11年)

├ 素朴な疑問、身近な現象

└ 寺田寅彦って誰?

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02作業をする・動かす

発表者が軽作業を行います。

希望者は一部の内容参加可能。内容は当日公開。

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03自由な横断・脱出・超越・多様な到達点

├ “ 〜のようなもの ”

└ (当日公開)

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04おしゃべりと気づきの共有

希望者は当日モバイル端末からGoogle フォーム投稿で参加可能。
匿名であなたの気づきをリアルタイム共有、ぜひ参加してください!

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05リフレクション(振り返り)

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0010年間、授業開発・担当者の気づき

├ (当日公開)

└ (当日公開)

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授業「茶わんの湯」とは

物理学者・寺田寅彦の名随筆「茶碗の湯」を起点として、素朴な疑問を大切にし、身近なものごとに潜む本質とは何かを、授業内の観察・作業・簡易実験を通じて科学的に探求します。あらゆる先入観・偏見から解き放たれ、学問領域を自由に往来し、さまざまな視点・観点から知の再連結と思考のトレーニングを行う機会、気づきのレッスンです。東京大学の1・2年生(文・理)を対象として2015年より秋冬学期に開講。所属・肩書・分野を超えたゲスト講師を招聘し、履修生とともに授業を楽しみながら継続しています。

目的

① 日常茶飯事として目にする何の変哲もない身近な事柄に着目し、それを科学的に思考し批判する。
また、その身近な事柄を学問領域横断的に多様な視点から考察する。さらに、習慣・文化・歴史など人文科学的テーマも積極的に取り入れる。

② 新しい事象や法則の発見およびその応用は、科学への貢献のみならず、実社会の問題発見や解決とも密接に関係し得ることを具体的に学ぶ。

③ 当日公開する。
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時間と空間を超越、普遍性を追求、多様性を受け入れ

学問分野を自由に横断する、日常生活の中にある茶碗から

私たちのホリスティックな挑戦