講演情報

[O09-P06]水あめとポッキー®を用いた変成岩中に形成されるマイクロブーディン構造のモデル実験★招待講演

*外山 和也1、並木 敦子1、小田 沙也加1 (1.名古屋大学 大学院環境学研究科)

キーワード:

マイクロブーディン、古差応力計、レオロジー、モデル実験

三波川結晶片岩類の一種である珪質片岩は、海洋プレート上に堆積した堆積岩が大陸プレート下へ沈み込む過程で応力を受け、変成作用および変形作用を被ることによって形成される。変成作用により紅簾石や藍閃石などの変成鉱物が生成され、変形作用では、転位クリープを変形機構とする石英基質の塑性流動によって歪が蓄積される。一方、紅簾石や藍閃石のような柱状鉱物は、変形条件下では脆性的に振る舞うため、周囲の石英のように塑性流動することができない。その結果、引張応力が作用することで破断を引き起こし、破線状に配列した分布構造を示すことがある。このような構造はマイクロブーディン構造と呼ばれる。
マイクロブーディン構造の断片のアスペクト比や断片間の間隔(ブーディン間距離)を用いて、岩石に作用した差応力および歪の変遷を推定するマイクロブーディン古差応力計[1]が提案されている。しかし、差応力を算出するための力学構成式や、ブーディン間距離と歪量の関係式を実験的に検証した研究はなく、その確実性を裏付ける根拠は十分とは言えない。
本研究では、基質である石英を模擬した水あめと、柱状鉱物を模擬した棒状脆性菓子(ポッキー®もしくはプリッツ®)を用いたアナログ実験により、マイクロブーディン古差応力計の確実性を検討することを目的とした。はじめに、食品用ラップを用いて棒状脆性菓子を水あめ中に封入し、手動で引張変形を与えたところ、棒状脆性菓子が破断する様子を確認した。その結果、長さの大きい棒状脆性菓子ほど低い応力で破断しやすい傾向が認められた。この結果は、提唱されているマイクロブーディン古差応力計と整合的である。
この現象を定量的に評価するために、アクリル板を用いて、水あめおよび棒状脆性菓子の封入容器を作製し、粘性率を高めるために冷却した水あめと、破壊強度を低下させた棒状脆性菓子を封入した。その後、変形実験装置を用いて応力を与えた。今後は棒状脆性菓子の破壊強度との比較から、水あめ全体に作用した応力と、棒状脆性菓子に実際に作用した応力との関係について検討したい。また、水あめ全体の変形量と棒状脆性菓子の断片間距離との関係をマイクロブーディンで観察される物と比較したい。

引用文献:[1] Toyama & Michibayashi 2026 Tectonophysics. under review.