講演情報

[O12-P03] 地下水塩水化の解析とモデル装置による対策検討

*水野 惟斗1 (1. 愛知県立豊田西高等学校SS科学部)

キーワード:

塩水化、地球温暖化、モデル装置

1.背景
地下水は生活用水や農業用水として利用される重要な水資源である。しかし臨海部を中心に、海水が地下水帯水層へ侵入する「地下水塩水化」が問題となっている。塩水化が進行すると水の塩分濃度が上昇し、水資源としての価値が低下する。国土交通省の報告では、地下水の過剰採取により地盤沈下や塩水化といった地下水障害が発生してきたことが示されている。近年は地球温暖化に伴う海面上昇が新たな要因として注目されており、今後さらに塩水化が進行する可能性がある。そこで本研究では、地下水塩水化の仕組みをモデル装置で再現し、その可視化と理解を目的とした。
2.目的
本研究の目的は、地下水塩水化がどのような条件で発生・進行するのかをモデル実験によって明らかにし、地球温暖化による海面上昇が塩水化に与える影響を考察することである。
3.方法
地下水環境を再現するため、透明な小型モデル装置を作製し、淡水と塩水を用いた実験を行った。初期の装置では淡水を入れた後に塩水を加えたが、淡水が装置外へ流れ出てしまい、実際の地下水環境を再現できなかった。この原因として、地下水が土や砂、礫などの間に保持されている点が考慮されていなかったことが挙げられる。そこで装置内に砂利層を設け、水が間隙に保持される構造へ改良した。また、淡水が陸側から海側へ流れ続ける状況を想定し、水の流れと塩水との密度差によって形成される「塩水くさび」の再現を試みた。実験にあたっては、島根大学 石井将幸教授より助言をいただいた。
4.結果
改良型モデル装置では、密度の大きい塩水が淡水の下側から侵入し、塩水くさびが形成される様子を確認することができた。この結果は、実際の地下水塩水化の仕組みと一致している。一方で、水の流れが止まると塩水くさびが短時間で消失することも分かった。
5.考察
これらの結果から、地下水塩水化には淡水の流れと塩水との密度差が大きく関与していることが示唆された。また、海面上昇により塩水が侵入しやすくなることで、塩水化が促進される可能性が高いと考えられる。
6.まとめ・展望
本研究では、モデル装置を用いて地下水塩水化および塩水くさびの再現・可視化に成功した。今後は水の流れを持続させる構造の検討や、塩淡境界に工夫を加えることで、塩水化を抑制する対策方法についてさらに研究を進めていきたい。
7.参考文献
環境省,愛知県 豊橋平野地盤環境情報 令和5年度.
(https://www.env.go.jp/water/jiban/directory/toyohashi.html)
国土交通省,地下水保全と地盤沈下の現状. (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk1_000063.html)
日本応用地質学会 中国・四国支部,Q&A 環-6 地下水の塩水化(https://www.jseg.or.jp/chushikoku/assets/file/faq/3-06.pdf