講演情報
[O12-P05]河川上流域の河岸土壌としての腐葉土の役割
*牧岡 結愛1、柴田 智明1、三島 菜花1 (1. 茨城県立日立第一高等学校)
キーワード:
腐葉土、透水性、保水性
緒言
本研究では、河川上流域における河岸土壌としての腐葉土の役割に着目した。近年、豪雨による河川氾濫のリスクが増大しており、その抑制が重要な課題となっている。そこで、本校付近を流れる宮田川を対象として検討を行った。
先行研究より、宮田川には一定の治水設備が整備されていることが知られている。しかし、2023年の台風13号に伴う線状降水帯の発生により洪水が生じた。このことから、既存の治水対策に加え、河岸土壌の機能にも着目する必要があると考えた。
特に、宮田川の河岸土壌として分布する腐葉土は、高い保水性を有し、流出抑制に寄与する可能性があると考えられる。そこで本研究では、腐葉土の保水特性を定量的に評価し、洪水抑制機能との関係を明らかにすることを目的とした。
方法
本研究では、腐葉土の保水特性を評価するため、透水性および保水性の観点から検討を行った。ここで、透水性とは、腐葉土に水が供給された際に滞留することなく通過させる性質を指し、保水性とは、腐葉土内部に水を保持する性質を指す。また、保水量は、供給水量から排出水量を差し引くことで定義した。
初期実験(図1)では、底部に穴を開けたプラスチックコップを用いて降雨を模擬し、腐葉土への注水実験を行った。注水量は130 mLから170 mLまで10 mL刻みで変化させ、各条件について3回の測定を実施した。排出水量は、下部に設置したメスシリンダーにより30秒間隔で6分30秒間計測した。また、コーヒードリッパーからのオーバーフローの有無を確認し、氾濫の指標とした。
結果
結果は表1および図2の通りであり、供給水量と保水量の間に明確な関係は確認されなかった。この原因として、使用した2つのコップ間で穴径が異なり、流出条件が統一されていなかったことが挙げられる。また、流量換算の結果、実験条件は最大で数千 mm/h に相当し、現実の降雨条件を大きく逸脱していることが明らかとなった。
そこで、実験の再現性および精度の向上を目的として装置の改良を行った。本研究では、現実的な降雨条件として20 mm/hを再現することを目標とし、サイフォンの原理を用いた流量制御装置を導入した。
改良実験方法
改良後の実験装置(図3)では、メスシリンダー間の水位差を調整することで流量制御を行った。流量はトリチェリの定理 Q = Av = ACv√(2gh)
に基づいて算出した。ここで、Qは流量、Aは管断面積、Cvは速度係数、gは重力加速度、hは水位差を示す。
計算の結果、降雨強度20 mm/hを再現するためには、水位差を約1.0 cmとすればよいことが示された。
改良実験の結果
改良装置による実験結果を表2および図4に示す。実験の結果、腐葉土の透水性の限界は約5.83 cm³/s付近に存在することが示唆された。
また、注水開始後約1分までに主な透水が生じ、それ以降は保水量の変化がほとんど見られなかった。このことから、腐葉土50 g(体積約308 cm³)は約10 cm³の水を保持できることが明らかとなった。
考察
以上の結果より、腐葉土は自身の体積に対して約20%程度の水を保持する能力を有することが示された。また、透水性の限界は約2670 mm/hに相当すると推定された。
結論
これらの特性から、腐葉土は降雨時の流出を一時的に遅延・緩和する機能を有し、河川氾濫の抑制に寄与する可能性があると考えられる。
謝辞
本研究にご支援ご指導くださった茨城大学大学院理工学研究科教授、小林薫先生と小林研究室の皆さまに深謝いたします。
参考文献
1) 駒村 富士弥, ”植生による斜面侵食および崩壊防止の効果”緑化工技術(1977),5-2,9-13
2) 腐植土とは-地盤調査・地盤改良のサムシング,
https://www.s-thing.co.jp/column/fushokudo/ (2023年6月30日現在)
3) 保安林制度について,https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/ringyo/rinchi/rringyo_hoanrin.html
(2023年5月12日現在)
本研究では、河川上流域における河岸土壌としての腐葉土の役割に着目した。近年、豪雨による河川氾濫のリスクが増大しており、その抑制が重要な課題となっている。そこで、本校付近を流れる宮田川を対象として検討を行った。
先行研究より、宮田川には一定の治水設備が整備されていることが知られている。しかし、2023年の台風13号に伴う線状降水帯の発生により洪水が生じた。このことから、既存の治水対策に加え、河岸土壌の機能にも着目する必要があると考えた。
特に、宮田川の河岸土壌として分布する腐葉土は、高い保水性を有し、流出抑制に寄与する可能性があると考えられる。そこで本研究では、腐葉土の保水特性を定量的に評価し、洪水抑制機能との関係を明らかにすることを目的とした。
方法
本研究では、腐葉土の保水特性を評価するため、透水性および保水性の観点から検討を行った。ここで、透水性とは、腐葉土に水が供給された際に滞留することなく通過させる性質を指し、保水性とは、腐葉土内部に水を保持する性質を指す。また、保水量は、供給水量から排出水量を差し引くことで定義した。
初期実験(図1)では、底部に穴を開けたプラスチックコップを用いて降雨を模擬し、腐葉土への注水実験を行った。注水量は130 mLから170 mLまで10 mL刻みで変化させ、各条件について3回の測定を実施した。排出水量は、下部に設置したメスシリンダーにより30秒間隔で6分30秒間計測した。また、コーヒードリッパーからのオーバーフローの有無を確認し、氾濫の指標とした。
結果
結果は表1および図2の通りであり、供給水量と保水量の間に明確な関係は確認されなかった。この原因として、使用した2つのコップ間で穴径が異なり、流出条件が統一されていなかったことが挙げられる。また、流量換算の結果、実験条件は最大で数千 mm/h に相当し、現実の降雨条件を大きく逸脱していることが明らかとなった。
そこで、実験の再現性および精度の向上を目的として装置の改良を行った。本研究では、現実的な降雨条件として20 mm/hを再現することを目標とし、サイフォンの原理を用いた流量制御装置を導入した。
改良実験方法
改良後の実験装置(図3)では、メスシリンダー間の水位差を調整することで流量制御を行った。流量はトリチェリの定理 Q = Av = ACv√(2gh)
に基づいて算出した。ここで、Qは流量、Aは管断面積、Cvは速度係数、gは重力加速度、hは水位差を示す。
計算の結果、降雨強度20 mm/hを再現するためには、水位差を約1.0 cmとすればよいことが示された。
改良実験の結果
改良装置による実験結果を表2および図4に示す。実験の結果、腐葉土の透水性の限界は約5.83 cm³/s付近に存在することが示唆された。
また、注水開始後約1分までに主な透水が生じ、それ以降は保水量の変化がほとんど見られなかった。このことから、腐葉土50 g(体積約308 cm³)は約10 cm³の水を保持できることが明らかとなった。
考察
以上の結果より、腐葉土は自身の体積に対して約20%程度の水を保持する能力を有することが示された。また、透水性の限界は約2670 mm/hに相当すると推定された。
結論
これらの特性から、腐葉土は降雨時の流出を一時的に遅延・緩和する機能を有し、河川氾濫の抑制に寄与する可能性があると考えられる。
謝辞
本研究にご支援ご指導くださった茨城大学大学院理工学研究科教授、小林薫先生と小林研究室の皆さまに深謝いたします。
参考文献
1) 駒村 富士弥, ”植生による斜面侵食および崩壊防止の効果”緑化工技術(1977),5-2,9-13
2) 腐植土とは-地盤調査・地盤改良のサムシング,
https://www.s-thing.co.jp/column/fushokudo/ (2023年6月30日現在)
3) 保安林制度について,https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/ringyo/rinchi/rringyo_hoanrin.html
(2023年5月12日現在)
