講演情報

[O12-P102]銀河はどんな形?〜水を用いた銀河形成要因の探究〜

*東 大希1、*日野 稜太1、*ノミンチメド フレグ1 (1. 北海道滝川高等学校)

キーワード:

密度波、腕構造、LEC

[動機と目的] 

 宇宙には数多くの銀河が存在し、それぞれが多様な腕構造を持つことが知られている。銀河の腕構造が多様となる要因の一つとして「密度波」が関係しており、その密度波が銀河の中を周回している星間ガスを腕状の区間に留めることで星を形成し、その構造を作っていると考えられており、その空間分布や伝播速度の違いが腕構造の変化に影響すると考えられている。しかし、実際の銀河では直接的な実験や条件の制御が困難であり、腕構造形成の要因を実験的に検証することは容易ではない。
そこで本研究では、身近な現象を通して宇宙の現象を理解することを目的に、銀河を回転する流体、密度波は物質の密度が局所的に高くなる領域として、流体の流れを変化させる直方体の障害物に置き換え、それによって流体が局所的に滞留・隆起する現象を、密度波によるガスの圧縮に対応させることで単純化モデルによる実験を行った。このモデル化により、実験条件を制御しながら腕構造形成に関わる要因検証できると考えた。水槽内で回転流体によって生じる渦構造を銀河の腕構造のモデルと比較し、障害物の位置や個数、回転速度を変化させたときの渦を調べることで、銀河の腕構造形成の要因について考察した。



[方法]

 先行研究の津田(2012)LECという実験では水槽内の回転流体を用いて、銀河の渦状腕構造を再現をし、腕の構造の進化について解き明かすことを目的としていた。また、先行研究では装置を固定していた。本研究では先行研究では行えていなかった装置ごと回転させる方法で渦をつくる実験を試みた。直径34cmの真円の装置(タライ)を回転台の上に固定し、装置内に障害物を図1のように等間隔となるように0,1,2,3,4個設置した。障害物は1.0cm×6.5cm×1.5cmの直方体のものを用いた。回転は手動で行い、上方にスマホを固定し撮影した。装置を20回転させた後に回転を止め、その時点から0.5秒単位で切り抜き画像にして視認できた流線を、秒数ごとに色分けし、可視化し図示した。

[結果]

 実験の結果、図2のように渦構造は見ることができなかった。よって前述の通り、流線を図2に図示したところ障害物が0個の時はあまり観測されなかったが、障害物の個数が増えるにつれて流体の進行方向の局所的に変化して剪断が強まる箇所が増え、流線もふえていった。しかし、障害物が4個のときは3個の時と比べて流線は減っていた。これは、3個のときより4個のときの方が障害物間の距離が縮まることで流線同士が互いに影響し合い、流線の不規則化が見られたことから乱流的挙動が生じたと考えられる。

[結論]

 今回の実験では、水の単純な回転流体のみでは銀河の腕構造を十分に再現することは難しく、その形成には密度波以外の要因も関与している可能性が示唆された。また、実験中に明瞭な渦構造を確認することができなかった。その要因として、回転数が不十分であったことや流体の粘性の影響により安定した渦状腕が形成されなかったと考えられる。また、銀河と違い自己重力がなく、密度変化も大きく異なるため、密度波によるガスの圧縮は十分に再現できていない。また、銀河では半径によって回転速度が異なる差動回転が生じているのに対し、本実験では剛体回転に近い状態であったため、腕構造の引き伸ばされる過程を十分に再現できていない。そのため、当初予定していた実際の銀河の腕構造との比較を行うことはできなかった。このことから、流れの可視化が本研究における重要な課題であると考えられる。そこで次回の研究では、アルミ粉を水面に浮かべるなどして流れを可視化できるよう実験を行い、水渦の腕の本数や対称性、回転条件との関係といった物理量を定量的に測定することで、渦構造の形成要因をより客観的に考察したいと考えている。

[参考文献]

・津田裕也(2012).流体実験による渦巻銀河の渦巻構造の研究.東京大学

 https://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/~sofue/htdocs/LEC/tsuda2012.pdf

・リチャード・ファイフィールド.宇宙・物質・4つの力.丸善出版.1991