講演情報
[O12-P104]効果的な砂防堰堤の設計~不透過型と透過型の比較をもとに~
*須藤 慎太郎1 (1. 茗溪学園高等学校)
キーワード:
土砂捕捉、土石流、治水
近年、土砂災害の発生件数は増加傾向にある。そのような状況の中、高度経済成長期に建設された砂防堰堤が耐用年数を迎えつつあり、更新・補修は急務である。重要課題である持続可能な土砂災害対策に寄与するため、本研究では、実験水路によって透過型と不透過型の砂防堰堤の性能を評価し、補捉効果が高く補修頻度を抑えられる砂防堰堤を提案することを目的とした。
Fusion360で図面を作成し、3Dプリンターで不透過型・透過型・タイプA・タイプBの4種類の堰堤模型を製作した。その模型を、幅13cm・高さ6cmの水路の上流側から100cmの地点に設置して、水路を15度に傾けて実験用テーブルに設置した。この水路で、川砂1kgと長さ5cmにカットした割箸10本を流下させ、捕捉できなかった土砂の重量と割箸の本数を測定した。これを4回繰り返した。なお、砂防堰堤に捕捉された川砂や割箸はその都度撤去せず、各回の実験後に水を1分間流しながら0.2kgの土砂を流下させた。
不透過型の砂防堰堤模型を用いた水路実験では、1回目に0.75kgの川砂を捕捉した。その後、回数を重ねるごとに川砂の補足量は0.45kg、0.31kg、0kgと低下していった。割箸の捕捉数は各回1〜2本程度だった。一方、透過型の砂防堰堤模型を用いた水路実験では、1回目の川砂補捉量は0.45kgで、2回目以降は0.6〜0.75kgであった。また、割箸の捕捉数は各回8〜10本であった。このように、不透過型と比べ、透過型の砂防堰堤の方が木材捕捉能力が高いほか、土砂補足効果も持続することが分かった。
これら既存の実験結果をもとに自作したタイプAの砂防堰堤を用いた水路実験では、川砂の捕捉量は1回目が0.4kg、2〜4回目は0.6kgで、割箸は全4回で10本すべてを捕捉した。タイプBの砂防堰堤を用いた水路実験では、川砂の捕捉量は1回目は0.3kg、2回目以降は0.6〜0.8kgで、割箸は各回8〜10本を捕捉した。このように、タイプAとタイプBの砂防堰堤では、いずれも不透過型のような急激な性能低下は見られなかった。
不透過型の砂防堰堤は、単一の土石流に対して高い捕捉能力を持ち、実験回数がふえるにつれて土砂を捕捉する性能が著しく低下する。これは、堰堤上部と川底との高低差がなくなっていき、オーバーフローが生じたことによると考えられる。そのため効果を維持するには定期的な浚渫が不可欠である。一方、透過型の砂防堰堤は、4回程度の土石流が発生した場合も安定した捕捉性能を保つことができる。これは、砂防堰堤の格子構造に木材が挟まることで擬似的な壁が形成されたことに起因すると考えられる。
不透過型と透過型の利点を取り入れるために設計したタイプAの形では、川砂と割箸ともに高い捕捉性能を示したことから、実際の土石流においても高い捕捉性能を示す可能性がある。一方で、流線型構造に起因する構造強度および砂防堰堤の侵食に対する脆弱性が懸念される。タイプBの形では、タイプAと比較して、先端部が鋭利でなく、水流を受け流す構造としているため、構造的な安定性がより高く、維持管理の容易さや耐久性の観点からも実用化の可能性がより高い。さらに、タイプA・Bともに、透過型のスリット構造を採用していることから、水生生物の移動経路を遮断するものではなく、河川生態系への影響を抑えられると予想される。
今後は、タイプBの砂防堰堤を用いてより大きな規模で実験を行って土砂や流木の捕捉効果の検証を行うとともに、設置や維持管理費用の検討も進める予定である。
参考文献
建設Plaza.「鋼製透過型砂防堰堤の土石流、流木捕捉事例」『建設情報クリップ』.<https://www.kensetsu-plaza.com/kiji/post/3814>,2025-5-16確認.
国土交通省砂防部保全課(2003).『透過型砂防堰堤の計画・設計上の留意点について』.国土交通省砂防保全課.
丸谷知己(2019).『砂防学』.朝倉書店.
溝口郁夫(2000).「鋼製透過型ダムの構造設計とその性能評価」『砂防学会誌』.vol.53,no.2,70-75.
中野繁ほか(1995).「北海道大学天塩・中川地方演習林及び隣接地域における淡水魚類相と治山・砂防ダムが分布に及ぼす影響」『北海道大学農学部演習林研究報告』.52(2),95-109.
Fusion360で図面を作成し、3Dプリンターで不透過型・透過型・タイプA・タイプBの4種類の堰堤模型を製作した。その模型を、幅13cm・高さ6cmの水路の上流側から100cmの地点に設置して、水路を15度に傾けて実験用テーブルに設置した。この水路で、川砂1kgと長さ5cmにカットした割箸10本を流下させ、捕捉できなかった土砂の重量と割箸の本数を測定した。これを4回繰り返した。なお、砂防堰堤に捕捉された川砂や割箸はその都度撤去せず、各回の実験後に水を1分間流しながら0.2kgの土砂を流下させた。
不透過型の砂防堰堤模型を用いた水路実験では、1回目に0.75kgの川砂を捕捉した。その後、回数を重ねるごとに川砂の補足量は0.45kg、0.31kg、0kgと低下していった。割箸の捕捉数は各回1〜2本程度だった。一方、透過型の砂防堰堤模型を用いた水路実験では、1回目の川砂補捉量は0.45kgで、2回目以降は0.6〜0.75kgであった。また、割箸の捕捉数は各回8〜10本であった。このように、不透過型と比べ、透過型の砂防堰堤の方が木材捕捉能力が高いほか、土砂補足効果も持続することが分かった。
これら既存の実験結果をもとに自作したタイプAの砂防堰堤を用いた水路実験では、川砂の捕捉量は1回目が0.4kg、2〜4回目は0.6kgで、割箸は全4回で10本すべてを捕捉した。タイプBの砂防堰堤を用いた水路実験では、川砂の捕捉量は1回目は0.3kg、2回目以降は0.6〜0.8kgで、割箸は各回8〜10本を捕捉した。このように、タイプAとタイプBの砂防堰堤では、いずれも不透過型のような急激な性能低下は見られなかった。
不透過型の砂防堰堤は、単一の土石流に対して高い捕捉能力を持ち、実験回数がふえるにつれて土砂を捕捉する性能が著しく低下する。これは、堰堤上部と川底との高低差がなくなっていき、オーバーフローが生じたことによると考えられる。そのため効果を維持するには定期的な浚渫が不可欠である。一方、透過型の砂防堰堤は、4回程度の土石流が発生した場合も安定した捕捉性能を保つことができる。これは、砂防堰堤の格子構造に木材が挟まることで擬似的な壁が形成されたことに起因すると考えられる。
不透過型と透過型の利点を取り入れるために設計したタイプAの形では、川砂と割箸ともに高い捕捉性能を示したことから、実際の土石流においても高い捕捉性能を示す可能性がある。一方で、流線型構造に起因する構造強度および砂防堰堤の侵食に対する脆弱性が懸念される。タイプBの形では、タイプAと比較して、先端部が鋭利でなく、水流を受け流す構造としているため、構造的な安定性がより高く、維持管理の容易さや耐久性の観点からも実用化の可能性がより高い。さらに、タイプA・Bともに、透過型のスリット構造を採用していることから、水生生物の移動経路を遮断するものではなく、河川生態系への影響を抑えられると予想される。
今後は、タイプBの砂防堰堤を用いてより大きな規模で実験を行って土砂や流木の捕捉効果の検証を行うとともに、設置や維持管理費用の検討も進める予定である。
参考文献
建設Plaza.「鋼製透過型砂防堰堤の土石流、流木捕捉事例」『建設情報クリップ』.<https://www.kensetsu-plaza.com/kiji/post/3814>,2025-5-16確認.
国土交通省砂防部保全課(2003).『透過型砂防堰堤の計画・設計上の留意点について』.国土交通省砂防保全課.
丸谷知己(2019).『砂防学』.朝倉書店.
溝口郁夫(2000).「鋼製透過型ダムの構造設計とその性能評価」『砂防学会誌』.vol.53,no.2,70-75.
中野繁ほか(1995).「北海道大学天塩・中川地方演習林及び隣接地域における淡水魚類相と治山・砂防ダムが分布に及ぼす影響」『北海道大学農学部演習林研究報告』.52(2),95-109.
