講演情報
[O12-P106]太陽黒点の位置特定のデジタル化と約1か月分の公開画像を使った太陽差動回転の推定
*吉元 敬博1、*肆矢 晃大1、*足立 健人1 (1. 名古屋高等学校)
キーワード:
差動回転、太陽黒点緯度経度、デジタル画像
<はじめに>
名古屋高校地球科学部は撮影した太陽画像から黒点をデジタル読み取りし,太陽の自転角速度の緯度分布(差動回転)のようすの時間変化を調べる取り組みを行った(名古屋高校地球科学部・名古屋中学校自然科学部,2026)。太陽画像から太陽黒点の緯度経度をデジタルのまま変換する技術は,太陽の差動回転のようすを読み取り,太陽の活動のシミュレーションの精緻化に寄与するため重要である。変換の方法を新たに構築し,太陽観測専用の望遠鏡を使って撮影されている国立天文台の公開画像を利用して構築した方法の有効性の検討を行った。
<研究手法>
国立天文台太陽画像の公開画像には10°メッシュがかけられて,太陽黒点の緯度経度をアナログで読み取ることができる状態で公開されているものがある。本校岡田素彦教諭から,アナログで読み取った約1か月分の太陽黒点位置データとそれを利用した見かけの太陽の自転周期の緯度変化のグラフの提供を受け,これと今回構築したデジタル座標変換による黒点位置データから同様のグラフを作成したものを比較することで,今回構築した方法の有効性を検討した。
正確性の担保のため黒点の追跡とデジタル読み取りの方法に関して次のルールを設けた。
1.黒点群のなかで1つまたは2つ存在する最大規模の黒点だけを追跡する。2.合体・分離をする黒点は合体・分離をする前とした後では別の黒点として処理する。3.暗部と半暗部の両方を持つことが判然としない黒点は追跡しない。
見かけの自転周期の算出を次の手順で行った。
⓪:iPadの画像編集で定規機能を使い,使用するすべての太陽画像を回転させ、太陽の北極が画像の上になるようにする。
①:Windowsの「ペイントアプリ」を利用して、太陽の縁にあたる3点の画像座標をそれぞれピクセル値で求める。
②:①で求めた3点の座標から、太陽円の中心の座標と半径を求める。(*)
③:追跡を行う黒点の座標を、「黒点暗部に引くことができる最長の線分の中点」と定義し、黒点の座標をピクセル値で求める。
④:③で求めた値と②で求めた値を使用して、黒点の緯度経度座標(ラジアン)を求める。(*)
⑤:①〜④の作業を別の日における同じ黒点で行い、同じく緯度経度(ラジアン)を求める。また,2つの画像の撮影間隔(経過時間)を求める。
⑥:④と⑤で求めたラジアンの値を使用して自転軸の周りの黒点の回転角を求める。(*)
⑦:⑤で求めた経過時間と⑥で求めた回転角から、黒点の角速度を求める。(*)
⑧:⑦で求めた角速度から、太陽の見かけの自転周期を求める。(*)
⑨:③で求めた黒点の緯度と、⑧で求めた太陽の見かけの自転周期との関係についてグラフを描く。(*)
(*)印の手順は、スプレッドシート及びExcelで処理を行う。
太陽の撮影画像は、「三鷹太陽地上観測 データベースカレンダー」https://solarwww.mtk.nao.ac.jp/jp/solarobs.htmlからアクセスできる2023年7月と8月のデータの一部を利用した。
<結果>
デジタル読みによるグラフもアナログ読みによるグラフも近似2次曲線は同様な下に凸のグラフであった。(図版)黒点の経度について、デジタル読みとアナログ読みでのデータの値に3°以上のズレはほとんど見られなかったが、緯度についてアナログ読み取りに比べて平均約-4.3°のズレが見られた。また、見かけの自転周期の値には平均約0.4日の値のズレが見られた。
<考察>
デジタル読み取りがアナログ読み取りに比べ黒点の緯度だけずれが大きいのはデジタル読み取りから黒点の緯度座標を計算する方法に問題があった可能性がある。その他のずれの要因として、「黒点暗部に引くことができる最長の線分の中点」という定義が画像の歪みを反映していなかったことが考えられる。また、見かけの自転周期の値に平均約0.4日のズレが見られたことについては、アナログ読みの精度から来る誤差であると解釈した。
<結論・まとめ>
太陽の画像上の黒点をデジタルで読み取り、見かけの自転周期を算出することができた。しかし、画角の補正と黒点の緯度の算出方法に課題が残った。そのため、算出プログラムの改良の必要があると考える。
<今後の展望>
画角の補正と黒点の緯度座標算出方法の改良に対処したい。また、黒点と読み取り日数のデータ数を増やして研究を行いたい。
<文献>
名古屋高等学校地球科学部・名古屋中学校自然科学部,2026,11 年分の自校撮影太陽画像で調べる太陽差動回転の特徴,日本天文学会 2026 年春季年会第 28 回 ジュニアセッション予稿集,p.18,
https://www.asj.or.jp/jsession/2026haru/files/jsession2026_proceedings.pdf (2026年4月13日閲覧)
名古屋高校地球科学部は撮影した太陽画像から黒点をデジタル読み取りし,太陽の自転角速度の緯度分布(差動回転)のようすの時間変化を調べる取り組みを行った(名古屋高校地球科学部・名古屋中学校自然科学部,2026)。太陽画像から太陽黒点の緯度経度をデジタルのまま変換する技術は,太陽の差動回転のようすを読み取り,太陽の活動のシミュレーションの精緻化に寄与するため重要である。変換の方法を新たに構築し,太陽観測専用の望遠鏡を使って撮影されている国立天文台の公開画像を利用して構築した方法の有効性の検討を行った。
<研究手法>
国立天文台太陽画像の公開画像には10°メッシュがかけられて,太陽黒点の緯度経度をアナログで読み取ることができる状態で公開されているものがある。本校岡田素彦教諭から,アナログで読み取った約1か月分の太陽黒点位置データとそれを利用した見かけの太陽の自転周期の緯度変化のグラフの提供を受け,これと今回構築したデジタル座標変換による黒点位置データから同様のグラフを作成したものを比較することで,今回構築した方法の有効性を検討した。
正確性の担保のため黒点の追跡とデジタル読み取りの方法に関して次のルールを設けた。
1.黒点群のなかで1つまたは2つ存在する最大規模の黒点だけを追跡する。2.合体・分離をする黒点は合体・分離をする前とした後では別の黒点として処理する。3.暗部と半暗部の両方を持つことが判然としない黒点は追跡しない。
見かけの自転周期の算出を次の手順で行った。
⓪:iPadの画像編集で定規機能を使い,使用するすべての太陽画像を回転させ、太陽の北極が画像の上になるようにする。
①:Windowsの「ペイントアプリ」を利用して、太陽の縁にあたる3点の画像座標をそれぞれピクセル値で求める。
②:①で求めた3点の座標から、太陽円の中心の座標と半径を求める。(*)
③:追跡を行う黒点の座標を、「黒点暗部に引くことができる最長の線分の中点」と定義し、黒点の座標をピクセル値で求める。
④:③で求めた値と②で求めた値を使用して、黒点の緯度経度座標(ラジアン)を求める。(*)
⑤:①〜④の作業を別の日における同じ黒点で行い、同じく緯度経度(ラジアン)を求める。また,2つの画像の撮影間隔(経過時間)を求める。
⑥:④と⑤で求めたラジアンの値を使用して自転軸の周りの黒点の回転角を求める。(*)
⑦:⑤で求めた経過時間と⑥で求めた回転角から、黒点の角速度を求める。(*)
⑧:⑦で求めた角速度から、太陽の見かけの自転周期を求める。(*)
⑨:③で求めた黒点の緯度と、⑧で求めた太陽の見かけの自転周期との関係についてグラフを描く。(*)
(*)印の手順は、スプレッドシート及びExcelで処理を行う。
太陽の撮影画像は、「三鷹太陽地上観測 データベースカレンダー」https://solarwww.mtk.nao.ac.jp/jp/solarobs.htmlからアクセスできる2023年7月と8月のデータの一部を利用した。
<結果>
デジタル読みによるグラフもアナログ読みによるグラフも近似2次曲線は同様な下に凸のグラフであった。(図版)黒点の経度について、デジタル読みとアナログ読みでのデータの値に3°以上のズレはほとんど見られなかったが、緯度についてアナログ読み取りに比べて平均約-4.3°のズレが見られた。また、見かけの自転周期の値には平均約0.4日の値のズレが見られた。
<考察>
デジタル読み取りがアナログ読み取りに比べ黒点の緯度だけずれが大きいのはデジタル読み取りから黒点の緯度座標を計算する方法に問題があった可能性がある。その他のずれの要因として、「黒点暗部に引くことができる最長の線分の中点」という定義が画像の歪みを反映していなかったことが考えられる。また、見かけの自転周期の値に平均約0.4日のズレが見られたことについては、アナログ読みの精度から来る誤差であると解釈した。
<結論・まとめ>
太陽の画像上の黒点をデジタルで読み取り、見かけの自転周期を算出することができた。しかし、画角の補正と黒点の緯度の算出方法に課題が残った。そのため、算出プログラムの改良の必要があると考える。
<今後の展望>
画角の補正と黒点の緯度座標算出方法の改良に対処したい。また、黒点と読み取り日数のデータ数を増やして研究を行いたい。
<文献>
名古屋高等学校地球科学部・名古屋中学校自然科学部,2026,11 年分の自校撮影太陽画像で調べる太陽差動回転の特徴,日本天文学会 2026 年春季年会第 28 回 ジュニアセッション予稿集,p.18,
https://www.asj.or.jp/jsession/2026haru/files/jsession2026_proceedings.pdf (2026年4月13日閲覧)
