講演情報
[O12-P20]化石群集から推定する喜界島の成り立ちと海洋環境
*辻村 颯汰1,2 (1. 鹿児島県立喜界高等学校、2. 喜界島サンゴ礁科学研究所)
キーワード:
琉球層群、島尻層群、喜界島、化石
■はじめに
喜界島は鹿児島県の奄美群島に属する周囲約40kmの島である。喜界島は、約10万年かけて約200m隆起した隆起サンゴ礁の島であり、基盤の上にサンゴ礁性石灰岩が堆積して形成された。その基盤は島尻層群に代表される堆積岩で、主に海底に砂や泥が堆積して固結したものであり、サンゴ礁形成以前の地質を示している。さらにその上位には知念層が確認されており、知念層とはサンゴ礁形成に移行する過程の浅海環境を示す地層として重要である. 最上位に堆積するサンゴ礁性石灰岩は琉球層群に区分され、サンゴなどの化石を主体とする石灰岩から構成されている。琉球層群は下部から琉球層群百之台層(40〜85万年前)、琉球層群湾層(4〜15万年前)の層序で堆積している。本研究では、隆起速度が早く、サンゴ礁の形成から隆起までの過程が連続的に記録されている喜界島を対象とし、その中でも更新性中期のサンゴ礁を記録する百之台層に着目する。百之台層に含まれるサンゴ化石を分析することで、当時の海洋環境を復元し、サンゴ礁形成条件、および環境変動を明らかにすることを目的とする。
▪️調査地点と方法
化石試料を採取する場所は喜界島の北東部に位置する塩道露頭である。塩道露頭では先行研究(松田ほか 2023)によって層序が明らかにされていることからこの地点の露頭を本研究の調査地点として選定した。塩道露頭では露頭が露出している道路との境目を起点としてそこから垂直方向に1 m毎にサンプルを採取し、これらの情報から柱状図を作成するため、地層の観察を行った。化石試料の採取は定めた起点から垂直方向にサンゴ化石を探していった。試料の採取は2025年4月12日に実施した。採取には岩石ハンマー、石頭ハンマー、平タガネを用いた。採取したサンプルはサンゴ礁科学研究所にて洗浄した。採取した化石試料は、莢壁および隔壁の形態を観察するため、岩石ハンマーおよび岩石カッターを用いて加工した。処理をしたサンゴ化石はルーペを用いてサンゴ個体の配列、莢壁の内径の計測、隔壁の数と配置を見て、属レベルの同定を行った。
▪️結果
露頭観察の結果、露出している最下部から垂直方向に約2 mが島尻層群、その上に約40 cmの知念層が乗り、さらにその上に琉球層群が堆積していた。この地層においてサンゴ化石を探索した。4 m地点でサンゴの化石が1つ、5 m地点でサンゴの化石を2つ発見して採取した。これらの試料の属同定を行った結果、3つの化石はキクメイシ属であった。
▪️考察
これらの結果から喜界島の塩道露頭における琉球層群百之台層の下部ではキクメイシ属が生息している環境であることがわかった。このキクメイシ属についてCoral of the worldによってその分布域を調べた結果、キクメイシ属は主に熱帯から温帯の浅海にいるサンゴであることがわかった。NOAAのSST(海面温度等高線図)によるとキクメイシの分布は表面温度が20℃〜31℃であることがわかった。以上のことから琉球層群百之台層が形成された更新世中期には、喜界島周辺にはサンゴ礁の発達が可能な海洋条件が存在していたことが示唆される。今後は試料数を増やすとともに他の層や地点との比較を行い、喜界島におけるサンゴ礁形成過程と環境変動の復元を目指したい。
喜界島は鹿児島県の奄美群島に属する周囲約40kmの島である。喜界島は、約10万年かけて約200m隆起した隆起サンゴ礁の島であり、基盤の上にサンゴ礁性石灰岩が堆積して形成された。その基盤は島尻層群に代表される堆積岩で、主に海底に砂や泥が堆積して固結したものであり、サンゴ礁形成以前の地質を示している。さらにその上位には知念層が確認されており、知念層とはサンゴ礁形成に移行する過程の浅海環境を示す地層として重要である. 最上位に堆積するサンゴ礁性石灰岩は琉球層群に区分され、サンゴなどの化石を主体とする石灰岩から構成されている。琉球層群は下部から琉球層群百之台層(40〜85万年前)、琉球層群湾層(4〜15万年前)の層序で堆積している。本研究では、隆起速度が早く、サンゴ礁の形成から隆起までの過程が連続的に記録されている喜界島を対象とし、その中でも更新性中期のサンゴ礁を記録する百之台層に着目する。百之台層に含まれるサンゴ化石を分析することで、当時の海洋環境を復元し、サンゴ礁形成条件、および環境変動を明らかにすることを目的とする。
▪️調査地点と方法
化石試料を採取する場所は喜界島の北東部に位置する塩道露頭である。塩道露頭では先行研究(松田ほか 2023)によって層序が明らかにされていることからこの地点の露頭を本研究の調査地点として選定した。塩道露頭では露頭が露出している道路との境目を起点としてそこから垂直方向に1 m毎にサンプルを採取し、これらの情報から柱状図を作成するため、地層の観察を行った。化石試料の採取は定めた起点から垂直方向にサンゴ化石を探していった。試料の採取は2025年4月12日に実施した。採取には岩石ハンマー、石頭ハンマー、平タガネを用いた。採取したサンプルはサンゴ礁科学研究所にて洗浄した。採取した化石試料は、莢壁および隔壁の形態を観察するため、岩石ハンマーおよび岩石カッターを用いて加工した。処理をしたサンゴ化石はルーペを用いてサンゴ個体の配列、莢壁の内径の計測、隔壁の数と配置を見て、属レベルの同定を行った。
▪️結果
露頭観察の結果、露出している最下部から垂直方向に約2 mが島尻層群、その上に約40 cmの知念層が乗り、さらにその上に琉球層群が堆積していた。この地層においてサンゴ化石を探索した。4 m地点でサンゴの化石が1つ、5 m地点でサンゴの化石を2つ発見して採取した。これらの試料の属同定を行った結果、3つの化石はキクメイシ属であった。
▪️考察
これらの結果から喜界島の塩道露頭における琉球層群百之台層の下部ではキクメイシ属が生息している環境であることがわかった。このキクメイシ属についてCoral of the worldによってその分布域を調べた結果、キクメイシ属は主に熱帯から温帯の浅海にいるサンゴであることがわかった。NOAAのSST(海面温度等高線図)によるとキクメイシの分布は表面温度が20℃〜31℃であることがわかった。以上のことから琉球層群百之台層が形成された更新世中期には、喜界島周辺にはサンゴ礁の発達が可能な海洋条件が存在していたことが示唆される。今後は試料数を増やすとともに他の層や地点との比較を行い、喜界島におけるサンゴ礁形成過程と環境変動の復元を目指したい。
