講演情報
[O12-P24]日本三景 松島の地質構造−白い脈の形成理由に迫る−
*門馬 純香1、*中塚 葵海1、池谷 心彩1、田山 愉1 (1. 宮城県仙台第三高等学校)
キーワード:
松島、砕屑岩脈、軽石凝灰岩
1.背景
松島は日本三景の一つであり、観光地として知られている。そんな松島は新第三系の地層からなり、多島海である松島湾が含まれる。その地形の成り立ちについては地盤の沈降と海面上昇による浸食作用を受けて形成されたと考えられている(高嶋、2024)。
松島を形成する松島層は安山角礫を含む軽石凝灰岩(Mt1)、シルト岩偽礫を含む軽石凝灰岩(Mt2)、凝灰角礫岩・火山岩角礫岩及び軽石凝灰岩(Mt3)、シルト岩細粒砂岩互層(Mt4)、軽石凝灰岩及びシルト岩偽礫を含む凝灰質砂岩(Mt5)からなり、このうちMt1には白い筋状の構造(以下白い脈)が多数見られる。白い脈についての論文は発表されておらず、その形成理由がわかっていない。
2.目的
本研究では、松島における白い脈の成因と、松島の地形との関係を明らかにする。
3.方法
本研究では松島におけるフィールド調査を実施した。野外においては、松島層の岩石と白い脈の分布を示すルートマップを作成し、白い脈の面構造の方位を測定し、岩石サンプリングを行った。また、白い脈の構造を東北大学が所有する3GeV高輝度放射光施設 NanoTerasuの放射線を利用し解析を行った。
4.結果
松島層Mt1(軽石凝灰岩)に含まれる礫についての調査から、Mt1は火山岩の割合が高く下部に向かうにつれ礫の数が多くなる級化構造となっていることがわかった。また、白い脈の走向傾斜を測定し観察された場所を記録したルートマップより、白い脈はMt1において広く分布しており、さまざまな形態が観察できる。作成したステレオネットのデータより、白い脈が高角度に岩盤に入り込んでいる傾向がある。フィールド調査では白い脈は直線的に地層の中に面として入り混んでおり、その末端部分では母岩との境界は明瞭でなく放射状に広がっている。
岩石サンプルの解析によって白い脈の部分は母岩と比べて構成物質に大きな違いは観察できないが、母岩よりも細かい粒子で構成されていることがわかった。含まれる粒子は破壊や流動化が起こっていると考えられる。
5.考察
結果より、海底火山の噴火によってMt1が繰り返し堆積し、水に接している上面から冷え固まったことで固結した岩石の重さと水圧によって下側にある未固結であった層が、固結した上部の層に砕屑岩脈として入り込んできたことで白い脈が形成されたと考えた。この場合、白い脈と母岩の構成物質が同じであったことや白い脈の粒子が流動化していたことの説明が容易である。また、白い脈の末端部が放射状になっており、下部から物質が入り込んできたと考えられることも説明できる。また、この現象はMt1の形成初期に起こったため堆積しているMt2が形成される前に白い脈の分布は限定されたと考える。また、白い脈と松島の特徴的な地形の関係を考えた。松島の島は多くが北西−南東方向に伸びている。これはそれらの島を構成する地層に入っている正断層の方向と対応するため、正断層に沿って地層が崩れたためであると考えられる。一方で、Mt1は陸地を形成していることが多く、島となっていても北西−南東方向には伸びておらず小さな円状のものが多い。これは、白い脈が高角度で入っておりMt1では白い脈は地盤の強度を低下させて侵食や崩壊の要因となっており、本来、周囲の地層に比べ侵食に強い凝灰岩は白い脈が高角度に岩盤に入っているため、その面を利用して岩盤が崩壊することによりMt1の領域では小さな円状の地形を作ったと考えられる。
参考文献
[1]髙嶋礼詩. 「松島の地質と地形の成り立ち」. 『大地』64号, 2024年, pp. 2-9.(東北大学学術機関リポジトリ), (URL), (参照 2026-04-11).
[2]盛合禧夫・山田孝雄 (2015). 松島の生いたち. 東北工業大学紀要 理工学編, (35), 21-26.
[3]星博幸, 大槻憲四郎. “小断層解析により復元した茂木地域の前・中期中新世応力場の変遷”. 地質学雑誌. 1996, vol. 102, no. 8, p. 700-714.
[4]産業技術総合研究所 地質調査総合センター (n.d.). Web地質図navi. 2026年4月11日閲覧, https://gbank.gsj.jp/geonavi/
松島は日本三景の一つであり、観光地として知られている。そんな松島は新第三系の地層からなり、多島海である松島湾が含まれる。その地形の成り立ちについては地盤の沈降と海面上昇による浸食作用を受けて形成されたと考えられている(高嶋、2024)。
松島を形成する松島層は安山角礫を含む軽石凝灰岩(Mt1)、シルト岩偽礫を含む軽石凝灰岩(Mt2)、凝灰角礫岩・火山岩角礫岩及び軽石凝灰岩(Mt3)、シルト岩細粒砂岩互層(Mt4)、軽石凝灰岩及びシルト岩偽礫を含む凝灰質砂岩(Mt5)からなり、このうちMt1には白い筋状の構造(以下白い脈)が多数見られる。白い脈についての論文は発表されておらず、その形成理由がわかっていない。
2.目的
本研究では、松島における白い脈の成因と、松島の地形との関係を明らかにする。
3.方法
本研究では松島におけるフィールド調査を実施した。野外においては、松島層の岩石と白い脈の分布を示すルートマップを作成し、白い脈の面構造の方位を測定し、岩石サンプリングを行った。また、白い脈の構造を東北大学が所有する3GeV高輝度放射光施設 NanoTerasuの放射線を利用し解析を行った。
4.結果
松島層Mt1(軽石凝灰岩)に含まれる礫についての調査から、Mt1は火山岩の割合が高く下部に向かうにつれ礫の数が多くなる級化構造となっていることがわかった。また、白い脈の走向傾斜を測定し観察された場所を記録したルートマップより、白い脈はMt1において広く分布しており、さまざまな形態が観察できる。作成したステレオネットのデータより、白い脈が高角度に岩盤に入り込んでいる傾向がある。フィールド調査では白い脈は直線的に地層の中に面として入り混んでおり、その末端部分では母岩との境界は明瞭でなく放射状に広がっている。
岩石サンプルの解析によって白い脈の部分は母岩と比べて構成物質に大きな違いは観察できないが、母岩よりも細かい粒子で構成されていることがわかった。含まれる粒子は破壊や流動化が起こっていると考えられる。
5.考察
結果より、海底火山の噴火によってMt1が繰り返し堆積し、水に接している上面から冷え固まったことで固結した岩石の重さと水圧によって下側にある未固結であった層が、固結した上部の層に砕屑岩脈として入り込んできたことで白い脈が形成されたと考えた。この場合、白い脈と母岩の構成物質が同じであったことや白い脈の粒子が流動化していたことの説明が容易である。また、白い脈の末端部が放射状になっており、下部から物質が入り込んできたと考えられることも説明できる。また、この現象はMt1の形成初期に起こったため堆積しているMt2が形成される前に白い脈の分布は限定されたと考える。また、白い脈と松島の特徴的な地形の関係を考えた。松島の島は多くが北西−南東方向に伸びている。これはそれらの島を構成する地層に入っている正断層の方向と対応するため、正断層に沿って地層が崩れたためであると考えられる。一方で、Mt1は陸地を形成していることが多く、島となっていても北西−南東方向には伸びておらず小さな円状のものが多い。これは、白い脈が高角度で入っておりMt1では白い脈は地盤の強度を低下させて侵食や崩壊の要因となっており、本来、周囲の地層に比べ侵食に強い凝灰岩は白い脈が高角度に岩盤に入っているため、その面を利用して岩盤が崩壊することによりMt1の領域では小さな円状の地形を作ったと考えられる。
参考文献
[1]髙嶋礼詩. 「松島の地質と地形の成り立ち」. 『大地』64号, 2024年, pp. 2-9.(東北大学学術機関リポジトリ), (URL), (参照 2026-04-11).
[2]盛合禧夫・山田孝雄 (2015). 松島の生いたち. 東北工業大学紀要 理工学編, (35), 21-26.
[3]星博幸, 大槻憲四郎. “小断層解析により復元した茂木地域の前・中期中新世応力場の変遷”. 地質学雑誌. 1996, vol. 102, no. 8, p. 700-714.
[4]産業技術総合研究所 地質調査総合センター (n.d.). Web地質図navi. 2026年4月11日閲覧, https://gbank.gsj.jp/geonavi/
