講演情報
[O12-P28]縮流を加味した津波浸水ハザードマップの考察
*引地 悠生1、*濱田 蒼1、加藤 煌脩1 (1. 宮城県多賀城高等学校)
キーワード:
都市型津波、縮流、ハザードマップ
1.背景
2024年に多賀城高校で行っている災害伝承活動「津波伝承まち歩き」に参加した際に、東日本大震災時に多賀城市にて都市型津波が発生したことを知った。そこで、多賀城市のハザードマップに都市型津波の特徴である、建物密集地で水位が上昇する現象「縮流」が加味されているかを多賀城市役所危機管理課に聞いたところ、ハザードマップには縮流の影響が加味されていないことが分かった。
2.仮説と目的
背景より、多賀城市で都市型津波が発生した際に市民が安全に避難できるようなハザードマップの提案を最終目標とし、本研究では、「縮流の影響を加味することで、現在の多賀城市のハザードマップよりも津波の浸水深・浸水範囲が大きくなる」という仮説を立て、その仮説を明らかにすることを目的とする。
3.手法
【調査1】
地理院地図の東北地方太平洋沖地震の津波浸水範囲1)と現在の多賀城市ハザードマップの想定浸水範囲2)を比較する。
【調査2】
縮流の有無が津波の浸水深・浸水範囲にどのくらい影響を及ぼすのかを津波浸水シミュレーションを用いて調べる。
縮流あり(建物あり)のシミュレーション条件は次の通りとする。
・断層モデル:東北大学モデルver1.2(東日本大震災)
・グリッドサイズ:5m
・建物:破壊なし。縮流の影響を受けるように、高さは東日本大震災時に多賀城市内の最大浸水深である4.6mよりも高い5.0m。
・防潮堤:破壊なし
また、建物以外の条件が同様の縮流なし(建物なし)のシミュレーションも行った。
4.結果と考察
調査1で2つに大きな差が見られなかった(図1、図2)。これは、ハザードマップは想定最大規模の被害を基に作成しているからだと考える。
調査 2では、沿岸部で縮流あり(建物あり)の方が最大浸水深が大きく、内陸部で縮流なし(建物なし)の方が最大浸水深が大きくなった(図3、図4、図5)。沿岸部と内陸部で結果に差が生じたのは、沿岸部では縮流の効果が影響して、縮流あり(建物あり)のほうが浸水深が大きくなった一方、内陸部では建物が密集しているため、防潮堤と同様の影響により津波の勢いがせき止められ、縮流なし(建物なし)のほうが浸水深が大きくなったと考える。
5.結論
縮流の影響を加味することで、現在の多賀城市のハザードマップよりも津波の浸水深については大きくなると言えるが、浸水範囲については大きくなるとは言えない。
6.今後の展望
今回のシミュレーションでは建物は全て破壊されない想定にしたが、より正確な浸水深・浸水範囲を算出するために鉄筋コンクリートの建物や巨大な建物は破壊されず木造建築や古い建物などは破壊され、かつ、防潮堤も破壊される想定でシミュレーションを行いたい。また、将来的には、縮流の影響を加味したハザードマップを多賀城市危機管理課に提案したい。
謝辞
本研究にあたり、ご助言・ご指導いただいた日野亮太先生(東北大学災害科学国際研究所教授)、三木優志さん(東北大学津波工学研究室)、久保田達矢先生(防災科学技術研究所巨大地変災害研究領域地震津波発生基礎研究部門主任研究員)、鈴木亘先生(防災科学技術研究所巨大地変災害研究領域地震津波複合災害研究部門主任研究員)、多賀城市総務部危機管理課の皆様に御礼申し上げる。
参考文献
1)国土地理院. 地理院地図. 東北地方太平洋沖地震 津波浸水範囲.
https://www.town.masaki.ehime.jp/gsimaps-gh-pages/#13/38.268511/141.018534/&base=std&ls=std%7C20110311_tohoku_shinsui&blend=0&disp=11&lcd=20110311_tohoku_shinsui&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1&d=m (2025.5.27)
2)多賀城市. 多賀城市防災ハザードマップ2023.3改訂版. 津波ハザードマップ. 2023.3
https://www.city.tagajo.miyagi.jp/bosai/kurashi/bosai/bosai/documents/tunamihaza-dopappu.pdf (2025.7.3)
2024年に多賀城高校で行っている災害伝承活動「津波伝承まち歩き」に参加した際に、東日本大震災時に多賀城市にて都市型津波が発生したことを知った。そこで、多賀城市のハザードマップに都市型津波の特徴である、建物密集地で水位が上昇する現象「縮流」が加味されているかを多賀城市役所危機管理課に聞いたところ、ハザードマップには縮流の影響が加味されていないことが分かった。
2.仮説と目的
背景より、多賀城市で都市型津波が発生した際に市民が安全に避難できるようなハザードマップの提案を最終目標とし、本研究では、「縮流の影響を加味することで、現在の多賀城市のハザードマップよりも津波の浸水深・浸水範囲が大きくなる」という仮説を立て、その仮説を明らかにすることを目的とする。
3.手法
【調査1】
地理院地図の東北地方太平洋沖地震の津波浸水範囲1)と現在の多賀城市ハザードマップの想定浸水範囲2)を比較する。
【調査2】
縮流の有無が津波の浸水深・浸水範囲にどのくらい影響を及ぼすのかを津波浸水シミュレーションを用いて調べる。
縮流あり(建物あり)のシミュレーション条件は次の通りとする。
・断層モデル:東北大学モデルver1.2(東日本大震災)
・グリッドサイズ:5m
・建物:破壊なし。縮流の影響を受けるように、高さは東日本大震災時に多賀城市内の最大浸水深である4.6mよりも高い5.0m。
・防潮堤:破壊なし
また、建物以外の条件が同様の縮流なし(建物なし)のシミュレーションも行った。
4.結果と考察
調査1で2つに大きな差が見られなかった(図1、図2)。これは、ハザードマップは想定最大規模の被害を基に作成しているからだと考える。
調査 2では、沿岸部で縮流あり(建物あり)の方が最大浸水深が大きく、内陸部で縮流なし(建物なし)の方が最大浸水深が大きくなった(図3、図4、図5)。沿岸部と内陸部で結果に差が生じたのは、沿岸部では縮流の効果が影響して、縮流あり(建物あり)のほうが浸水深が大きくなった一方、内陸部では建物が密集しているため、防潮堤と同様の影響により津波の勢いがせき止められ、縮流なし(建物なし)のほうが浸水深が大きくなったと考える。
5.結論
縮流の影響を加味することで、現在の多賀城市のハザードマップよりも津波の浸水深については大きくなると言えるが、浸水範囲については大きくなるとは言えない。
6.今後の展望
今回のシミュレーションでは建物は全て破壊されない想定にしたが、より正確な浸水深・浸水範囲を算出するために鉄筋コンクリートの建物や巨大な建物は破壊されず木造建築や古い建物などは破壊され、かつ、防潮堤も破壊される想定でシミュレーションを行いたい。また、将来的には、縮流の影響を加味したハザードマップを多賀城市危機管理課に提案したい。
謝辞
本研究にあたり、ご助言・ご指導いただいた日野亮太先生(東北大学災害科学国際研究所教授)、三木優志さん(東北大学津波工学研究室)、久保田達矢先生(防災科学技術研究所巨大地変災害研究領域地震津波発生基礎研究部門主任研究員)、鈴木亘先生(防災科学技術研究所巨大地変災害研究領域地震津波複合災害研究部門主任研究員)、多賀城市総務部危機管理課の皆様に御礼申し上げる。
参考文献
1)国土地理院. 地理院地図. 東北地方太平洋沖地震 津波浸水範囲.
https://www.town.masaki.ehime.jp/gsimaps-gh-pages/#13/38.268511/141.018534/&base=std&ls=std%7C20110311_tohoku_shinsui&blend=0&disp=11&lcd=20110311_tohoku_shinsui&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1&d=m (2025.5.27)
2)多賀城市. 多賀城市防災ハザードマップ2023.3改訂版. 津波ハザードマップ. 2023.3
https://www.city.tagajo.miyagi.jp/bosai/kurashi/bosai/bosai/documents/tunamihaza-dopappu.pdf (2025.7.3)
