講演情報

[O12-P29]斜面崩壊の安息角と砂質および崩壊の解析

*佐々木 裕次郎1 (1. 宮城県利府高等学校)

キーワード:

斜面崩壊、砂質、安息角

(1)背景
 日本はその急峻な地形がもたらす豊かな水資源や変化にとんだ地形や気候がある反面、含水や地震動などによってもろく崩れやすく、斜面崩壊(いわゆるがけ崩れ)などを中心とした土砂災害は毎年のように起こっている。
 中心に仙台平野がある宮城県もその例にもれず、山沿いで発生する土砂災害だけでなく、さらには広瀬川や名取川に代表される規模の河川では流路と並行に河岸段丘もよく発達し、その斜面も横から見るとかなりの傾斜である。そのため市街地も盛り土が多い。
 一般に、擁壁やがけ崩れ防止の構造物において、その地盤が一定以下の角度となるようにすることが重要で、その角度を安息角といい、一般に30度前後とされている。また盛り土をした時の擁壁は、斜面の安定を保ち、土砂崩れを防ぐために設置され、安息角を超える急な斜面は崩壊の危険性が高いとされている。
 それでは斜面の角度によって、どのような斜面崩壊が生じるのか、特にその崩壊時の解析をするために、角度による違いや、斜面の表面の状態によってどう違ってくるのか、実験によって定量的に比較をした。
(2)方法
  厚さ1㎝の合板に各角度になるよう傾斜を設定し、16㎝四方の正方形の枠に240gの粒径1㎜に固定した砂を乗せた。この合板には横から見てビデオ解析をしやすくするために1㎝ごとに目盛りをふった。この状態でカメラ(PENTAX WG-1000)で動画の撮影を開始し、直後に正方形の枠を取り払い、砂が斜面をずり落ちる様子を動画記録した。この動画記録から動画を録画秒数よりカウントタイマー上での動きから定規で計測し、合板上を最も速い砂粒が落ちきるまでの秒数と、そこに至る経路上での距離を、録画映像中の1cm間隔の目盛りから読み取り、合板上に乗っている1㎜の砂粒の平均の速度を求めた。
 上記の内容を、傾斜角15°、30°、45°で行い、またそれぞれ合板上にポリスチレン(発泡スチロール)を置いて同様の実験を行い、落下速度の比較を行った。 
(3)結果
 一般に盛土上での安息角と呼ばれる30°において、粒径1mmの砂が落下する速度は、ポリスチレンでは14.07±0.258cm/s, 合板上では13.68±0.458 cm/sであった。誤差は最小二乗法により評価を行った(ここではN=10)。合板上ではポリスチレンよりも3%速度が抑制され、その分動摩擦力が強く働いている。
 また傾斜角15°で粒径1mmの砂が落下する速度は、ポリスチレンでは6.99±0.344cm/s, 合板上では6.12±0.378 cm/sと13%も速度に開きがある。つまり15°という緩い角度では、滑り出しまでに時間がかかり、単に動摩擦だけでなく静止摩擦が強くはたらいていることが示されている。
 また角度の違いを見ると、30°の傾斜は15°と比較し、ポリスチレンでは201%、合板では224%の増で、単純に高さが増加すれば斜面をずり落ちる速度がポリスチレンより合板の方がより大きくなっている。また、現在粒径の異なる斜面でどう崩落が変化するかも実験観察中である。
 これらの結果から、安息角とされる30°の崖では、ある時点では安定に見えていても、含水などの重量の変化が少しでもあると崩壊の危険性がすぐに高まるのに対し、15度の斜面では一定の負荷が加わってもすぐに崩れ出さないことが比較できた。また、ポリスチレンよりも合板のような動摩擦がはたらくように、例えば表面を粒の形状がいびつなものや不均質な土質で覆うことで、瞬時の崩落をより防げる可能性がある。