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[O12-P38]「ブラックホール型自治体」と呼ばれる千葉県浦安市と周辺自治体の比較

*兼吉 舞衣1 (1. 市川高等学校)

キーワード:

千葉県浦安市、ブラックホール型自治体

千葉県北西部に位置する浦安市は、東京都心部に勤務する人々のベッドタウンとして機能している(浦安市, 1990)。また、人口戦略会議(2024)により「ブラックホール型自治体」に分類されている。ブラックホール型自治体とは、人口増加の多くを他地域からの人口流入による社会増加に依存し、出生率が非常に低いという特徴を持つ自治体であり、全国で25の自治体が該当する。

浦安市は首都圏のベッドタウンという特徴を持つため、人口流入に問題はなく、ブラックホール型自治体であることは課題と考える必要はないと考えられる。一方で、低い出生率を補うために、子育て政策に重点を置くべきだとも考えられる。本研究ではこの特性が課題であるのか、それとも強みであるのかを明らかにすることを目的とした。

対象地域として、東京駅を中心とした半径15km圏内の自治体に加え、「自立持続可能性自治体」および千葉県千葉市を含む計32自治体を認定した。具体的には、埼玉県川口市・草加市・八潮市、千葉県千葉市・市川市・松戸市・流山市・浦安市・印西市・東京都23区である。なお、自立持続可能性自治体とは人口戦略会議によって示された概念であり、持続可能性が高いと考えられている自治体である。首都圏では千葉県印西市と流山市がこれに分類されている。
本研究では、対象地域に対して3種類の分析を行った。第一に、対象地域が浦安市と同様にベッドタウンとしての特性を持っているかを検討するため、地図を用いた比較分析を行った。第二に、対象地域内でグルーピングをするために、クラスター分析(ウォード法)を行った。分析には群馬大学青木悠樹教授のウェブサイト(http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BlackBox/)を活用した。第三に、グルーピングを行った上で、クラスター毎に子育て政策の子育て世帯訪問支援事業の有無・内容(価格・期間)の比較をし、あわせて国や都道府県単位の子育て支援政策の内容を調べ、まとめた。
さらに、浦安市に立地する東京ディズニーリゾートが浦安市に与える影響を財政状況で考察するため、東京ディズニーランドおよび東京ディズニーシーの開業前後における浦安市の歳入・歳出の推移を分析した。

分析の結果、ブラックホール型自治体は都心西側郊外に集中しており、これらの地域の多くで昼夜間人口比率が低く、ベッドタウンとして機能していることが分かった(図1,図2,図3)。また、千葉県浦安市と最も近いクラスターは東京都文京区、渋谷区、目黒区、杉並区となった(図4)。
これらの地域において一般概要を比較し、千葉県浦安市の特徴が2つあげられた(表1)。第一に、主な地形が低地に加え埋立地である点である。つまり比較的新しい街が存在することがわかった。第二に、主な税収が地方税である点である。財政推移の結果、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーがそれぞれ開業してから数年後に財政の規模が大きくなっていたため、千葉県浦安市はディズニーリゾートが開業したことで財政が豊かになったことがわかる(図5)。
子育て政策の比較では、子育て世帯訪問支援事業の料金と利用可能期間が自治体毎に異なっていたため、群毎の特徴は見出すことはできなかった。一方で、東京都では独自の子育て支援が行われており、千葉県や埼玉県の子育て支援政策と比較しても充実していた。

以上より、東京近郊でブラックホール型自治体に分類されている自治体もベッドタウンとして機能しているため、千葉県浦安市がブラックホール型自治体に分類されていることは強みであると考えられる。また、浦安市と最も近い自治体が文京区、渋谷区、目黒区、杉並区であり、比較を行うと、浦安市のみ低地に加え埋立地があるという特徴を持っていた。したがって、地域間での比較をさらに行う必要があると考えられる。子育て政策の比較においては、千葉県浦安市は市町村単位では東京都の自治体と遜色ない特徴を持っており、子育て政策も充実していると考えられるが、都道府県単位の子育て政策の差が出生率に影響していると考えられる。また、東京ディズニーリゾートの開業により歳入が増加したことで地方交付税に依存しない自立財政が形成され、民生費が増加し、福祉が充実したという推移が考えられる。
したがって、千葉県浦安市は他の東京都の自治体とは遜色ない特徴を持っており、子育て政策も充実している一方、都道府県単位の政策差が出生率に影響している可能性があることがわかった。

主な参考文献
浦安市(1990)『浦安のまちづくり』浦安市.
人口戦略会議(2024)『地方消滅 2 加速する少子化と新たな人口ビジョン』 中公新書.