講演情報

[O12-P39]セイタカアワダチソウのバイオエタノール製造における糖化前処理の比較

*横山 芽美1 (1. 市川高等学校)

キーワード:

バイオエタノール、セイタカアワダチソウ、糖化前処理

Phong Ti Vuら(2017)によると前処理で植物のセルロースを使いやすい状態にし、そのセルロースを糖化し、得られたグルコースをアルコール発酵させて得られたものであるバイオエタノール(図1)は、化石燃料と違い、半永久的な供給が見込まれるので、地球規模のエネルギー安全保障の有望な担い手である。また、Wiatrowskaら(2022)によると、セイタカアワダチソウはバイオエタノールの原料としてポテンシャルがあることが検証されていが、その研究は単一の手法でしかバイオエタノール製造を行っておらず、様々なバイオエタノール製造法の中でセイタカアワダチソウに適しているものを絞れていない。社会実装をするにはセイタカアワダチソウに適した製造方法を特定する必要がある。本研究では、バイオエタノール製造の初期段階に必要な化学前処理に注目し、酸である硫酸と塩基である水酸化ナトリウムのそれぞれで処理をおこなったほか、高温と低温の条件それぞれで実験を行い、どの条件がヘミセルロース・リグニンを除去し、セルロースの割合を高められるのかを検証した。
麦わらの化学処理の最適化を目的としたArslanら(2020)の手法を参考に実験をした。市川学園周辺のセイタカアワダチソウを採取し、葉を50℃で72時間乾燥させたのちミキサーにかけ、2mmメッシュを通した。次に、その葉と、濃度を表1のように変えた溶液100mLをオートクレーブで121℃、約1.5時間反応させた。(図2)処理後のセルロース、ヘミセルロース、リグニンの質量をVan Soest法を用いてNDF、ADF、ADL(図3)を測って以下のように算出することで処理の効果を評価した。

セルロースの質量=ADF-ADL
ヘミセルロースの質量=NDF-ADF
リグニンの質量=ADF-ADL

その結果、処理後のヘミセルロースの質量は全て負の値をとってしまい、妥当な数値を得ることはできなかった。(表1)一方、セルロースの質量は水酸化ナトリウムで処理をした時のほうが硫酸で処理した時よりも大きかった。(図4)リグニンの質量は、水酸化ナトリウムで処理をした時のほうが硫酸で処理をした時よりも小さかった。(図5)このことから、セルロースの残存量とリグニンの分解量が多い水酸化ナトリウムの方が、硫酸よりも適していることがわかった。 Mankar ら(2021)によると、経験則的に他の植物では化学的前処理には主に硫酸などの酸による処理よりも、水酸化ナトリウムなどの塩基による処理の方が適していることがわかっている。よって、セイタカアワダチソウに対する化学処理も、この経験則に外れず、塩基による化学処理が適していることがわかった。また、溶液の種類によらず溶液の濃度が高い方がセルロースの質量が大きくなったが、溶液の濃度とリグニン分解量の間に相関は見られなかった。このことから、溶液の濃度が高い方が化学処理に適しているとは言えないと分かった。
ヘミセルロースの質量が負の値をとった理由として、NDFの値が過小評価されていたのが原因であると考えられる。
今後は水酸化ナトリウムと硫酸以外の溶液での化学処理方法の評価をしていきたいと考えている。

参考文献
Phong Ti Vu et.al. (2017):Evaluation of bioethanol production from rice field weed biomass. Emergent Science Research, 3(2), 42-49
Wiatrowska et.al. (2022):Bioethanol Production Potential and Other Biomass Energy Properties of Invasive Reynoutria, Solidago, and Spiraea Plants. Forests 13(10),1582,1-14
Chaudhry Arslan et.al (2020):Optimizing the effect of chemical pretreatment of lignocellulosic properties of wheat straw. Journal of Waster and Biomass Management,2(2), 28-32
Akshay R. Mankar et.al(2021):Pretreatment of lignocellulosic biomass:A review on recent advances . Bioresource Technology,Volume 334, 48-56