講演情報

[O12-P44]家庭用扇風機を用いたエアドーム型プラネタリウムの改良と運用効率の向上

*名取 香介1、*田中 宗次郎1、*石川 翔二郎1、*曽根 駿太郎1、*鈴木 耀介1、*滝沢 虎壱1 (1. 城北中学校・高等学校)

キーワード:

プラネタリウム、エアドーム

昨年度開発した「高校生が作る!エアドーム方式を用いたプラネタリウムドーム(名取, 2024)」は、家庭用扇風機で稼働可能という利点を持つ一方、文化祭での運用において「出入り口の強度不足による上映中断」や「運営効率の低さ」という課題に直面した。本研究は、素材および構造の抜本的改良を行い、その耐久性と運営効率への影響を検証することを目的とした。旧モデルでは、ドーム本体およびエアーロック(気圧差を維持する前室)に農業用マルチシートを採用していた。しかし、この素材は裁縫用の糸との相性が悪く、繰り返しの開閉負荷により縫い目からの裂けや糸の解けが多発した。また、吸気口が1か所であったため、入退場時の気圧維持が困難であった。そこで、エアーロック部の素材を農業用マルチシートから不織布へと変更した。不織布は糸との親和性が高く、縫合部の張力分散が可能となった。また、出入り口の開閉機構を従来のマグネット式からファスナー式へ変更し、密閉性と操作性の向上を図った。ドームの膨張速度向上と気圧維持のため、吸気ダクトを従来の1か所から、Y字型の2か所へと増設した。配置は、観客の入退場時の圧力低下を即座に補填できるよう、出入り口付近に設定した。新型ドームの完全膨張に要する時間は約8分となり、旧モデル(15分)と比較して約47%の短縮に成功した。これにより、準備時間が削減され運営の円滑化につながった。不織布の採用により、懸念されていたピンホールや亀裂の発生が抑制された。文化祭期間中、縫い目からの破損はほとんどなく、上映中断をゼロに抑えることができた。また、ファスナーと不織布の組み合わせにより、スムーズな開閉と高い密閉性を両立した。吸気口を2か所(Y字型)にし、出入り口付近に配置したことで、入退場時のドームのしぼみは抑制され、上映の継続が可能となった。しかし、この「Y字型」という分岐構造そのものが、1系統の太いダクトと比較してどれほど流体力学的に優位であったか、あるいは送風ロスが生じていないかについては、現時点では詳細な比較データが得られておらず、定量的な効果の特定には至っていない。 この最適形状の解明は今後の検討課題とする。改良の結果、運営を脅かす破損は発生せず、総観覧者数は昨年度から約300人増加し、過去最高を記録した。素材の適材適所な選択と、入退場動線を意識した吸気配置が、教育現場におけるエアドーム運用の実用性を飛躍的に高めることが立証された。参考文献は、大平貴之. "エアードーム (INFLATABLE DOME)". megastar-net.com. (2025年3月)。