講演情報

[O12-P51]画像解析による2025年6月26日に房総半島沖で群発した巨大ジェットの特性

*鈴木 瑛翔1、*高木 創太1 (1. 静岡県立磐田南高等学校)

キーワード:

巨大ジェット、高高度発光現象

研究の背景と目的  磐田南高校は2007年から静岡県磐田市にある校舎にて高高度発光現象の観測を続けている。高高度発光現象とは雷雲地上間放電に伴って上空の中間圏から熱圏下部で発生する発光現象の総称で、本件中では巨大ジェットに着目した。巨大ジェット(以下、ジェット)とは下端は高度約20km、上端は70km~90kmの逆円錐型の発光現象である。本校では2025年までに5件のジェットを観測している。しかし、2025年6月26日未明に約30件のジェットが房総半島沖で群発し、観測に成功した。そこで群発したジェットの連続写真と観測時間から群発するジェットの発光の特徴比較を行った。また、同時刻における雷の発生分布にも着目し、ジェットとの空間的な位置関係についても検討した。 方法  本校では60fpsの高感度CCDカメラを用いて常時観測を行っている。それによって撮影された画像を動体検知ソフト(UFO Capture)を用いて自動観測を行っている。観測された画像を動体観測結果分析ソフト(UFO Analyzer)でジェットの発生地点や上端下端の高度を特定する。
2-1画像解析による調査
 発生したジェットの映像を一コマずつ分析し発生時間や発達段階の変遷を調査する。ジェットを以下の4つの部位に分けた。
①下部の強く発光している部分、②構造的に中心にある強く発光している部分、③その二つの場所を繋ぐ細く発光している部分、④それらの上にある上方向に広がっている部分。
そのうえで、次の観点からジェットの発光の特徴比較を行うこととした。
ピーク時の大きさがいくらか、①がどのように消えるか、③が一つにまとまっているか、ピークの後に④が残るか、二次ジェットが存在するか。
上記においてピークとは最初に最も大きく発達した時間と定義し、二次ジェットとはピーク後に再び大きくなったものと定義した。
さらに発光開始時間からピーク、ピークから発光終了時間までの時間を調べ、ジェットの発達・衰退時間について検討した。
2-2雷現象との関連性の調査
Blitzortong.orgの落雷データを用いて、ジェットの発生分布と雷分布の緯度経度から空間分布を調べ、関連性を検討する。また秒単位で分けてジェットが発生したときの落雷としていないときの落雷で比較を行った。 仮説 過年度研究では2017年に茨城県沖で発生した単発のジェットの発生前後では雷の発生数が減少し、そこで溜まったエネルギーを上方向にジェットとして発散と結論付けている。本研究でも同様の傾向が見られると考えた。 結果・考察 4-1画像解析による調査
ピーク時の大きさは約67㎞で一般的な大きさは約60㎞~80kmのため一般的な大きさであることが分かった。①の消滅の仕方はジェットの約50%は変わった変化はなく光が少しずつ収まっていき、約25%は消えるときに点滅した。残りの約25%は最後の消えるときに強く発光した。③はジェットの約70%は棒状に一つにまとまって見えた。しかし残りの30%は棒状ではなく枝分かれした。ピーク後、④について約60%はピークの直後のコマでは消えていた。そして、二次ジェットが明確に発生したのは一件のみであった。
 またピーク前後で区分けを行った結果ピーク前の発光時間は平均4コマ。ピーク後の発光時間は平均13.8コマであった。一般的なジェットの発生継続時間は300ms~500msのため、今回発生したジェットの平均時間290msは少し短めと考えられる。
3-2雷現象との関連性
 雷の発生分布とジェットの発生分布を比較したところジェットの発生分布は雷の発生分布を取り囲むように発生していることが分かった。また、雷はBlitzortong.orgのデータによると一つの秒間で塊のように発生していることが明らかになった。そしてその塊に合わせるかのようにジェットは発生していて、ジェットが発生したときに雷が群発していた。そこで全体の雷の群発数とジェットが発生していた時の雷の群発数を一秒でまとまりを作ってt検定を行い比較した。するとジェットの発生した時とそうでないときの雷の発生数に有意差はないことが分かった。仮説と反してジェットの前後で雷の発生数は減少せず、雷と同時発生していることも分かった。仮説と異なった理由に関しては単発であるか群発であるかの違いが考えられた。 謝辞 本研究にご助力していただいたふじミュー客員研究員の青島晃先生、SonotaCo.jpの富田正己様,下田力様,静岡県立大学教授の鴨川仁様、鈴木智幸様、地学部の皆様、改めて感謝申し上げます。 参考文献 ・足立透,2013,宇宙機観測による超高層研究の新展開 
・山下ほか,2018,2017年12月11日茨城県沖で発生したジェットの特徴と成因
・Britzortong.org