講演情報

[O12-P53]テフラ層同定法を用いた3種類の硫黄島軽石の特徴の差異

*飯田 陸斗1、*林 弘毅1 (1. 静岡県立磐田南高等学校)

キーワード:

軽石、見かけ密度、薄片、色

目的
硫黄島軽石には、色の差異によって茶色のコクトウ、黒色のブラックコクトウ、その2つの色が混ざったコゲコクトウの3種類に分けられることが知られている。本研究では、この3種類の軽石について特徴の差異についてテフラ同定法を用いて分析し、軽石の生成過程の解明を目的とした。
データおよび解析方法。
今回の実験では、テフラ同定法をもとにして以下の6つのデータについて順に分析を行った。
1.軽石の色分析とその結果を表した、三角ダイアグラム。
2.軽石とその断面の写真。
3.軽石の鉱物割合
4.3種類の軽石の薄片
5.3種類の軽石の見かけ密度
6.3種類の軽石それぞれの火山ガラスの化学組成
また、上記のデータを得た方法は順に以下のとおりである。
1.軽石の断面図の写真を撮り、画像処理ソフトマカリを用いて色分析を行い、三角ダイアグラムを作成する
2.3種類の軽石とその断面について写真を撮った。
3.採集した軽石をメノウ乳鉢を用いて粉砕し、つぶしてからふるいにかけ63~125㎛の粒径のものを無作為に抽出する。その後一試料につき2回200粒を双眼実体顕微鏡を用いて肉眼的特徴をもとにして火山ガラス、鉱物、岩片を判別した。
4.作成した薄片の写真を顕微鏡を通して撮影した。
5.軽石をビーカーに入れ溢れて出た水の重さから軽石の体積を計測した。
6. 粉末試料を量の多い試料は紛体試料用塩ビリング,少ない試料はAlクリンプセルを使い,圧縮固形機により圧縮して固形化する。その後蛍光X線分析装置にセットし,測定する。
結果
上記の分析より得た結果は以下のとおりである。
1.ブラックコクトウは黒色、コクトウは、茶色を示し、コゲコクトウの黒はブラック、茶色はコクトウと傾向が酷似していた。
2.ブラックは気泡が大きく数が多かった。またコクトウは気泡が小さく数も少なかった。またコゲコクトウの黒はブラック、コゲコクトウの茶色はコクトウと同様の上記の特徴が見られた。
3.3種類とも火山ガラス、長石、岩片が含まれ割合は順に93%、5%、2%であった。
4.ブラックは気泡が大きく基質が厚く、コクトウは気泡が小さく基質が薄かった。またブラックの基質は黒色、コクトウの基質は薄い茶色をしていた。コゲコクトウの黒色はブラック、
茶色の部分はコクトウと同様に上記の結果が見られた。
5.ブラックは0.325g/㎤、コクトウは0.392 g/㎤、コゲコクトウは0.382g/㎤であった。
6. Na2O+K2Oの値はいずれの火山ガラスにおいても10.5~13.5%の範囲に分布していた。他の成分においても値は異なるが概ね同様の範囲に分布していた。
考察
・3種類の軽石の色の違いは、軽石はほかの岩石と比べ鉱物組成や化学組成の差異が原因ではないこと。
・コゲコクトウの黒色の部分はブラックコクトウ、コゲコクトウの茶色はコクトウと多くの点で共通点があるので、コゲコクトウの黒はブラックコクトウ、茶色はコクトウであり、コゲコクトウは1つの大きな硫黄島軽石においてコクトウとコゲコクトウの境目の部分が何らかの理由で割れ、漂流中に角が取れてできたものである
・基質の色が異なっているように見えたため、基質部分の化学組成の違いが色の違いの要因である。
以上の3つを考察とした。
今後の展望
最後に、薄片の観察により、基質部分の色が異なっているように見えたので基質部分の色分析と化学組成の分析を行い、色の違いの要因解明を今後の展望とする。
この研究を進めるにあたって協力してくださった常葉大学西原歩先生とふじのくにミュージアム青島晃先生、顧問榑松宏征先生に改めて感謝申し上げます。
参考文献
町田洋 新井房夫.新編 火山灰アトラス.東京大学出版会,2003 
国立研究開発法人海洋研究開発機構.南西諸島~関東地方に漂着した小笠原硫黄島由来と考えられる軽石の岩石学的特徴と漂流シミュレーション検討.噴火予知連報告,2024