講演情報
[O12-P60]竹田城跡の雲海を予測するためのワークフローの作成
*一村 花音1 (1. 大阪教育大学附属高等学校池田校舎)
キーワード:
雲海発生条件、雲海予測、竹田城跡
[ 動機・目的 ]
雲海とは、山間部や盆地で発生した霧を、上空や標高の高い場所から見ることで眼下に雲が海のように広がって見える気象現象を指し、一部の地域では観光資源として活用している。一方で、雲海のもとである霧は交通障害を引き起こすこともあり、霧の発生予測をすることは交通障害の対策や観光業の活性化にもつながる。雲海発生で有名な竹田城跡の雲海予測を実施している例として複数のポータルサイトがあるが (朝来市,2026, 三菱自動車,2025)、雲海シーズンといわれる秋や週末に限定されている。そこで本研究では、①雲海予測の精度を向上させるため、雲海発生条件をまとめたワークフローを開発・改良、②1年間の雲海予測と評価、③雲海発生条件ごとの近年の変化を明らかにすることの3つを実施することを目的とした。
[ 方法 ]
研究対象領域は竹田城跡周辺とし、解析対象期間は2022.9/25~2025.6/30の約3年間とした。雲海予測(前日22:00に実施)には前日18:00の実況天気図、当日9:00の予想天気図、朝来市の気象データ(前日の最高気温、当日の天気、気温、湿度、風向・風速、降水量、https://tenki.jp/forecast/6/31/6320/28225/1hour.html#google_vignetteより取得)、近畿の雨雲レーダー(前日の降水、https://tenki.jp/radar/6/past.html#google_vignetteより取得)、前日22:00時点で気象庁より発表される兵庫県の警報・注意報を使用した。実際の雲海発生の有無はライブカメラ、現地で目視により確認した。さらに、当日の実況気象データと前日の予測数値を比較した。これらのデータを用いて竹田城跡における雲海発生条件をまとめたワークフローを作成した(図1)。ワークフローは2023年に開発を始め、毎年改良を施した。特に2024年のワークフロー(以下ver.2024と表記)と、それを①放射冷却型②暖気流入型③降水型の3種類に分けられるように改良を施した2025年(ver.2025)のそれぞれの条件を用いて2024.7/1~2025.6/30の1年間雲海予測を行い、結果を評価した(図1)。
[ 結果 ]
2024.7/1~2025.6/30の期間の予測結果から、ver. 2024に比べver. 2025は適中率、見逃率、捕捉率がそれぞれ91.4 %→94.4 %、35 %→18 %、65 %→82 %と改善するなど、空振り率(4 %→7 %)を除いてver.2025はver.2024に比べ精度が向上した。また解析から1年間を通して雲海は発生していること、移動性高気圧や台風の影響を受ける9〜11月に雲海が多く、その他の月は少ないことがわかった(図2)。さらに雲海は一般に秋に発生すると言われるが、9~11月に発生する放射冷却型雲海は3年間で12.4%減少している傾向にあることが明らかになった(図2)。
[ 考察 ]
ver.2025がver.2024に比べ適中率が向上した理由には、秋季に発生するver.2024に当てはまらない雲海を「暖気流入:水蒸気型」にあてはめて予測できるようになったことがあると考えられる。空振り率の上昇は、今までよりも考慮する条件が増えたことが要因の一つであると推察される。また、放射冷却型雲海が3年間で減少傾向にあるのは近年の温暖化によって秋が短くなっていること・移動性高気圧の到来が少なくなっていることが影響していると考えられる。暖気流入型・降水型の変動は台風や熱帯低気圧の進路や梅雨時期の違いなどに起因していると考えられるためその年によって変動がある。
[ 結論 ]
本研究では竹田城跡の雲海予測を目的として雲海発生条件ワークフローを開発した。開発したワークフローによる予測を実施した3年間で予測精度は、年々向上した。また解析から、放射冷却によって発生する雲海が減少していること、秋に発生する雲海が過去3年で減少していることが明らかとなった。
今後はワークフローのさらなる改良を目指し、降水量や、冷え込みなどの条件について定量的な値で表すとともに、現状では考慮していない雲海の発生する高さを解析するために、現地で標高の異なる地点で気象数値を測定することが望まれる。また、解析を他期間で行うことで、本研究で得られた知見を一般化する必要がある。
[ 謝辞 ]
本研究にアドバイスいただいた大阪大学SEEDSプログラムの佐藤陽祐先生、牛尾知雄先生に感謝申し上げます。
[ 参考文献 ]
・朝来市, 2026, 「朝来市ポータルサイトあさぶら. 勝手に雲海予報」
https://www.asabura.jp/unkaiforecast、2026年1月25日閲覧
・三菱自動車, 2025, 「週末探検家」
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/special/weekend-explorer/unkai/17.html 2026年1月25日閲覧
雲海とは、山間部や盆地で発生した霧を、上空や標高の高い場所から見ることで眼下に雲が海のように広がって見える気象現象を指し、一部の地域では観光資源として活用している。一方で、雲海のもとである霧は交通障害を引き起こすこともあり、霧の発生予測をすることは交通障害の対策や観光業の活性化にもつながる。雲海発生で有名な竹田城跡の雲海予測を実施している例として複数のポータルサイトがあるが (朝来市,2026, 三菱自動車,2025)、雲海シーズンといわれる秋や週末に限定されている。そこで本研究では、①雲海予測の精度を向上させるため、雲海発生条件をまとめたワークフローを開発・改良、②1年間の雲海予測と評価、③雲海発生条件ごとの近年の変化を明らかにすることの3つを実施することを目的とした。
[ 方法 ]
研究対象領域は竹田城跡周辺とし、解析対象期間は2022.9/25~2025.6/30の約3年間とした。雲海予測(前日22:00に実施)には前日18:00の実況天気図、当日9:00の予想天気図、朝来市の気象データ(前日の最高気温、当日の天気、気温、湿度、風向・風速、降水量、https://tenki.jp/forecast/6/31/6320/28225/1hour.html#google_vignetteより取得)、近畿の雨雲レーダー(前日の降水、https://tenki.jp/radar/6/past.html#google_vignetteより取得)、前日22:00時点で気象庁より発表される兵庫県の警報・注意報を使用した。実際の雲海発生の有無はライブカメラ、現地で目視により確認した。さらに、当日の実況気象データと前日の予測数値を比較した。これらのデータを用いて竹田城跡における雲海発生条件をまとめたワークフローを作成した(図1)。ワークフローは2023年に開発を始め、毎年改良を施した。特に2024年のワークフロー(以下ver.2024と表記)と、それを①放射冷却型②暖気流入型③降水型の3種類に分けられるように改良を施した2025年(ver.2025)のそれぞれの条件を用いて2024.7/1~2025.6/30の1年間雲海予測を行い、結果を評価した(図1)。
[ 結果 ]
2024.7/1~2025.6/30の期間の予測結果から、ver. 2024に比べver. 2025は適中率、見逃率、捕捉率がそれぞれ91.4 %→94.4 %、35 %→18 %、65 %→82 %と改善するなど、空振り率(4 %→7 %)を除いてver.2025はver.2024に比べ精度が向上した。また解析から1年間を通して雲海は発生していること、移動性高気圧や台風の影響を受ける9〜11月に雲海が多く、その他の月は少ないことがわかった(図2)。さらに雲海は一般に秋に発生すると言われるが、9~11月に発生する放射冷却型雲海は3年間で12.4%減少している傾向にあることが明らかになった(図2)。
[ 考察 ]
ver.2025がver.2024に比べ適中率が向上した理由には、秋季に発生するver.2024に当てはまらない雲海を「暖気流入:水蒸気型」にあてはめて予測できるようになったことがあると考えられる。空振り率の上昇は、今までよりも考慮する条件が増えたことが要因の一つであると推察される。また、放射冷却型雲海が3年間で減少傾向にあるのは近年の温暖化によって秋が短くなっていること・移動性高気圧の到来が少なくなっていることが影響していると考えられる。暖気流入型・降水型の変動は台風や熱帯低気圧の進路や梅雨時期の違いなどに起因していると考えられるためその年によって変動がある。
[ 結論 ]
本研究では竹田城跡の雲海予測を目的として雲海発生条件ワークフローを開発した。開発したワークフローによる予測を実施した3年間で予測精度は、年々向上した。また解析から、放射冷却によって発生する雲海が減少していること、秋に発生する雲海が過去3年で減少していることが明らかとなった。
今後はワークフローのさらなる改良を目指し、降水量や、冷え込みなどの条件について定量的な値で表すとともに、現状では考慮していない雲海の発生する高さを解析するために、現地で標高の異なる地点で気象数値を測定することが望まれる。また、解析を他期間で行うことで、本研究で得られた知見を一般化する必要がある。
[ 謝辞 ]
本研究にアドバイスいただいた大阪大学SEEDSプログラムの佐藤陽祐先生、牛尾知雄先生に感謝申し上げます。
[ 参考文献 ]
・朝来市, 2026, 「朝来市ポータルサイトあさぶら. 勝手に雲海予報」
https://www.asabura.jp/unkaiforecast、2026年1月25日閲覧
・三菱自動車, 2025, 「週末探検家」
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/special/weekend-explorer/unkai/17.html 2026年1月25日閲覧
