講演情報
[O12-P61]改良した重力可変装置でスーパーアースの重力を作る
*日高 豹牙1、*五十嵐 斗和1、*下浜 颯真1、*吉田 真英1 (1. 大阪府立今宮工科高等学校 定時制の課程)
キーワード:
重力可変装置、スーパーアース
1.背景・目的
宇宙研究開発を推進するためには,地球上で宇宙の物理環境や現象を再現できる実験装置が必要である.私たち科学部合同チームの科学部の先輩がたは,室内で利用可能な小型微小重力発生装置を完成させた.この装置がつくる微小重力はわずか0.5秒の短い時間であったが,1/1000Gの微小重力を安定的につくることができた.また,火星重力環境を再現できるアトウッドの滑車を用いた重力可変装置を開発し改良してきた.この2つの装置を組み合わせれば,微小重力(0G)から,地球重力(1G)までの任意の重力をすなわち,月,火星,木星の衛星(ガリレオ衛星)土星の衛星:エンセラダス,タイタン,冥王星などの天体の表面重力を作ることができる.これらの装置を用いて重力環境を変化させ,月や火星の重力下で様々な実験を行ってきた.今回,さらに,地球重力を越えた重力(>1G)を作ろうと考えた.系外惑星の発見が続いており,地球の質量を超えた惑星:いわゆるスーパーアースもたくさん見つかった.例えば,Kepler-10c(1.3G〜1.4Gと推定)やKepler-20b(1.2G〜1.3Gと推定)などが候補となる.このような惑星上での現象は地上とはどう異なるのだろう.実際に1Gを超えた重力を作ろうと重力可変装置を改良した.
2.実験原理・実験装置
一定の加速度を安定に作り出す方法として,アトウッドの滑車を用いる.落下カプセルと上昇カプセルをワイヤで繋ぎ,装置の上部に設置した滑車で支えている.滑車は直径8cmの小型のものを2つ用意し,1mの間隔で固定してそこにワイヤーをかけた.上昇カプセルと落下カプセルの重量を調節して,落下カプセル内に目的の重力(0G:微小重力〜1G:地上重力)を創り出す.その際,落下カプセルのほうが上昇カプセルより大きな重量となっている.装置の高さは,2.5mほどである.落下カプセルが着床時に,飛び跳ねたりしないよう,また,できるだけ水平の姿勢をたもつように,さらに,落下衝撃を吸収するために,大きめのビーズクッションを用いた.上昇カプセルは,装置上部にナイロン製のネットを張って受け止めた.ワイヤーは網の目の間を通し,触れないように注意した.これまで,この落下カプセル内で目的の重力を生成して実験を行ってきた.
今回,この実験を行う空間を落下カプセルから上昇カプセルに変更した.落下カプセル内に発生する重力Gは,重力加速度gとカプセルの加速度aを用いると,G=g−a で表される.一方,上昇カプセル内では,G=g+aとなる.したがって,上昇カプセル内では,地上重力を越えた重力を発生させることができる.
3.実験結果
実験前のカプセルを保持するのに,これまでに上昇カプセルを床に設置した電磁石で固定し,電磁石のスイッチを切ってリリースさせる方法を使用した.しかし,電磁石からカプセルが離れた瞬間に生じる振動が落下中ずっと続いてしまう.落下カプセルを手で支えて落としたり,上昇カプセルを手で挟んでおいて上昇させたりすると,落下中の振動は生じない.したがって,この振動を取り除くには,落下直後の振動を抑制してやれば解決するはずである. そこで,この落下直後の振動を抑えるために,上昇カプセル側面にウレタンシートを貼り付け,同様にウレタンシートを貼り付けた板材で上昇カプセルを挟みこむ上昇カプセル保持装置を考案した.この方法も数回実験を行うと,ウレタンシートがすり切れてしまい,振動が発生する.
そこで,上昇カプセルを手で保持して,カプセルを解放する方法で安定した重量をつくることにした.
その結果,1.19G,1.20G,1.34G,1.44Gの1Gを超えた重力環境を作ることができた.それぞれの重力値の変動は0.03G以下である.
4.今後の課題
現在,上昇カプセルの解放は手動で行っている.上昇カプセルの振動を抑える目的は,この方法で達成できているが,継続時間にばらつきやカプセルの振動についてもばらつきが生じてしまう.これを解決するために,これまでにウレタンシートを使用して挟み込むタイプを試作したが,数回の使用でシートがすり切れて初期性能が継続しない.これに変わるカプセル保持装置の改良を模索している.
宇宙研究開発を推進するためには,地球上で宇宙の物理環境や現象を再現できる実験装置が必要である.私たち科学部合同チームの科学部の先輩がたは,室内で利用可能な小型微小重力発生装置を完成させた.この装置がつくる微小重力はわずか0.5秒の短い時間であったが,1/1000Gの微小重力を安定的につくることができた.また,火星重力環境を再現できるアトウッドの滑車を用いた重力可変装置を開発し改良してきた.この2つの装置を組み合わせれば,微小重力(0G)から,地球重力(1G)までの任意の重力をすなわち,月,火星,木星の衛星(ガリレオ衛星)土星の衛星:エンセラダス,タイタン,冥王星などの天体の表面重力を作ることができる.これらの装置を用いて重力環境を変化させ,月や火星の重力下で様々な実験を行ってきた.今回,さらに,地球重力を越えた重力(>1G)を作ろうと考えた.系外惑星の発見が続いており,地球の質量を超えた惑星:いわゆるスーパーアースもたくさん見つかった.例えば,Kepler-10c(1.3G〜1.4Gと推定)やKepler-20b(1.2G〜1.3Gと推定)などが候補となる.このような惑星上での現象は地上とはどう異なるのだろう.実際に1Gを超えた重力を作ろうと重力可変装置を改良した.
2.実験原理・実験装置
一定の加速度を安定に作り出す方法として,アトウッドの滑車を用いる.落下カプセルと上昇カプセルをワイヤで繋ぎ,装置の上部に設置した滑車で支えている.滑車は直径8cmの小型のものを2つ用意し,1mの間隔で固定してそこにワイヤーをかけた.上昇カプセルと落下カプセルの重量を調節して,落下カプセル内に目的の重力(0G:微小重力〜1G:地上重力)を創り出す.その際,落下カプセルのほうが上昇カプセルより大きな重量となっている.装置の高さは,2.5mほどである.落下カプセルが着床時に,飛び跳ねたりしないよう,また,できるだけ水平の姿勢をたもつように,さらに,落下衝撃を吸収するために,大きめのビーズクッションを用いた.上昇カプセルは,装置上部にナイロン製のネットを張って受け止めた.ワイヤーは網の目の間を通し,触れないように注意した.これまで,この落下カプセル内で目的の重力を生成して実験を行ってきた.
今回,この実験を行う空間を落下カプセルから上昇カプセルに変更した.落下カプセル内に発生する重力Gは,重力加速度gとカプセルの加速度aを用いると,G=g−a で表される.一方,上昇カプセル内では,G=g+aとなる.したがって,上昇カプセル内では,地上重力を越えた重力を発生させることができる.
3.実験結果
実験前のカプセルを保持するのに,これまでに上昇カプセルを床に設置した電磁石で固定し,電磁石のスイッチを切ってリリースさせる方法を使用した.しかし,電磁石からカプセルが離れた瞬間に生じる振動が落下中ずっと続いてしまう.落下カプセルを手で支えて落としたり,上昇カプセルを手で挟んでおいて上昇させたりすると,落下中の振動は生じない.したがって,この振動を取り除くには,落下直後の振動を抑制してやれば解決するはずである. そこで,この落下直後の振動を抑えるために,上昇カプセル側面にウレタンシートを貼り付け,同様にウレタンシートを貼り付けた板材で上昇カプセルを挟みこむ上昇カプセル保持装置を考案した.この方法も数回実験を行うと,ウレタンシートがすり切れてしまい,振動が発生する.
そこで,上昇カプセルを手で保持して,カプセルを解放する方法で安定した重量をつくることにした.
その結果,1.19G,1.20G,1.34G,1.44Gの1Gを超えた重力環境を作ることができた.それぞれの重力値の変動は0.03G以下である.
4.今後の課題
現在,上昇カプセルの解放は手動で行っている.上昇カプセルの振動を抑える目的は,この方法で達成できているが,継続時間にばらつきやカプセルの振動についてもばらつきが生じてしまう.これを解決するために,これまでにウレタンシートを使用して挟み込むタイプを試作したが,数回の使用でシートがすり切れて初期性能が継続しない.これに変わるカプセル保持装置の改良を模索している.
