講演情報

[O12-P63]泉佐野市周辺における和泉層群大阪層群の境界の検討

*大城戸 放1、大矢 大翼1、奥村 健人1、西田 結香1 (1. 大阪府立天王寺高等学校)

キーワード:

和泉層群、大阪層群、化石

1. 背景と目的
 大阪府南部には,白亜紀後期の和泉層群と,第四紀の大阪層群が広く分布している。先行研究(岡, 1978,宮田ほか,
2012)では,周辺地域の境界については詳細な報告があるが,その中間に位置する市内周辺に関する記述が乏しい。本研究では,泉佐野市内の4地点(図1の赤丸で示した地点)において野外調査を行い,各地点における岩相,化石,鉱物などの特徴,および地質構造データの統計的解析に基づき,両層群の境界範囲を制約することを目的とした。

2. データおよび解析方法
 2025年3月から12月にかけて,泉佐野市の4地点(滝の池,犬鳴山,中庄,大体大南の各周辺)において露頭調査を実施した。
各地点において,(1)岩相の観察,(2)化石および特徴的な鉱物サンプルの採取,(3)クリノメーターによる走向・傾斜の測定(各露頭10点)を行った。取得した走向傾斜データは,Pythonを用いて統計学的手法で解析した。具体的には,倍角処理を施した走向データに対してレイリー検定を行い,規則性の有無を判定し,地点間の構造的有意差を確認するため,ワトソン・ウィリアムズ検定を実施した。

3. 結果
 調査の結果,各地点の特徴は以下の通りであった。
・和泉層群(3地点): 滝の池,犬鳴山,大体大南では固結した泥岩・砂岩が分布していた。特に滝の池の泥岩からは二枚貝の Nuculana(Ezonuculana) mactraeformis および 巻貝のPleurotomaria sp.の化石が産出した。これは他地域のものと比較すると和泉層群の堆積年代及び古環境と一致する。また,滝の池と犬鳴山では和泉層群特有のドーソン石を確認した。
・大阪層群(1地点): 中庄の地点では,未固結で茶褐色を帯びた火山灰層と粘土層が確認された。これは大阪層群の岩相的特徴と一致する。
・構造解析: 統計解析の結果,各地点内での走向傾斜には一定の規則性が認められたが,地点間では有意な差が検出された。特に岩相から推定される層序関係と,測定された走向データの間には大きな不一致が見られた。

4. 考察と今後の課題
 岩相および化石証拠に基づいた,本地域における和泉層群と大阪層群の境界は,中庄地点と大体大南地点の間の約4.8kmの範囲内に存在すると推定される。走向傾斜データに見られた構造的矛盾については,測定面認識の不確実性を考えたが,本研究では決定的解釈には至らなかった。そのため本研究では走向傾斜データは地層判別の補助的な指標として用いた。
 今後は走向傾斜データの矛盾の解明と,この4.8kmの不確実範囲においてさらなる地形判読と追加調査を行い,境界位置を精査するとともに,両層群の接触関係を明らかにしていきたい。