講演情報

[O12-P66]簡易的なウェーブリップル再現装置の製作と定量化

*小田切 凉梧1 (1. 中央大学附属高等学校)

キーワード:

ウェーブリップル、リップル対称度指数、振動数、定量化

Ⅰ研究背景・目的
リップルマーク(以下RMと略す)とは地学において水の流れや風によって動かされた砂が堆積してできる漣痕のことである.しかし,実験での先行研究では数値を出さず,どのような形状のRMが形成されたかや特定の振動数によるものが多く複数の条件で行っている実験が少ない.そこで,数値を計測しRMの定量化を行うことができれば新たな発見となり,これからの研究に役立つ新しい発見ができるかもしれないと考えた.現在RMが何Hzの波の時どのような形状のRMができるのかということが分かっていない.また、先行研究での波を起こす大型で値段もかなり高額である.よって,本研究の目的は低額で波の発生装置を製作し,その装置を使用して振動数を変化させたときのRMの定量化を行うこととする.
Ⅱ研究方法
本研究が対象とするRMは波の種類によって形成される形状が違うものである.主に進行波によって形成されるカレントリップル,定常波によって形成されるウェーブリップルがある.今回はウェーブリップル(以下WR)に注目して研究を行う.
WRを作るためにモーターで台車を往復運動させて波を作る.この際,モーターにクランク機構をつなげて台車を往復させる.本研究ではモーターの回転運動を往復運動に変換するために使用しコネクティングロッドをLEGOで,スライドを木の棒のレールを用いて作成した.(図1)
また,本研究の目的であるWRの定量化を示すためにリップル対称度指数(RSI)を用いる.先行文献ではRI及びRSIはウェーブリップルとカレントリップルを区別するために提唱された指数で,牧野ほか(1985)によると,RSIが2.5以下ならウェーブリップル,3.0以上ならカレントリップルと分類している.RSI(山と谷との長さのうち下流側をLL,上流側をLsとする)=Ls/LLを用いれば形成されたリップルマークを分類することができる.しかし,本研究は往復運動によるRMの形成のためWRしか形成されないと仮定した.そして,どのようなときにどのようなWRができるかを示すために振動数を用いた.振動数は1秒間に山と谷の往復を繰り返す回数のことであるから振動させているときに10秒間撮影を行いその動画で山が繰り返す回数を数え10秒で割って求めた.
手順としては、容器A(透明,内寸幅4.9cm×奥行25.5cm×高さ17cm)の下に滑り止めシートを敷いて実験を行った.
①容器Aに,ふるいで250~500μmに振り分けた砂1cm,水深3cmなるようにする.
②モーターを5分間振動させて形成されたWRの上流側と下流側を計測する.なお,モーターがある方を上流とする.
③モーターを起動させている間5分間撮影を行う.
④撮影した5分間のうちの任意の10秒間を用いて振動数を求める.
⑤モーターの出力度を変えて①~④を繰り返す.
Ⅲ結果
モーターの出力度を変えて実験したところ振動数1.0Hz~2.8Hzのときに明確にRMが形成された.結果はモーターの出力度で9通りを求めたものを図2・図3に示す.
Ⅳ考察
結果から,振動数を変化させることによるWR のモデル実験が可能であった.
グラフから測定値は,すべてWRのRSIの範囲内だったため仮定は正しかった.しかし,水槽の幅が限られていて,横方向の流れがほとんど発生しない,流れは一定方向のみで風や川のような複雑な流れが再現できない.また,砂の種類や粒径が一定で,混ざった堆積物ではない.これらの要素は,WR を作成するにあたり難しい点である.
Ⅴ今後の課題
実験で振動数が同じでもモーターの出力度が違う場合異なるリップルマークが形成されると分かったため,今後は,1%ずつ測定しリップルマークを記録していきたい.また,本研究で明確なリップルマークが形成されなかった振動数1.0Hz未満および振動数2.8Hz出力度の弱い場合・強い場合を容器Aより奥行きのある容器で測定し,定量化を行う.
本研究は,特定の条件下で実験を行ったため,自然界での状況と合致することが少ない.そのため,砂粒子の大きさや水深を変化させて実験パターンを増やしていきたい. 
Ⅵ引用文献
牧野泰彦・増田富士雄・岡崎浩子,1985,茨城大学教育学部紀要(自然科学)34,35-55.
Ⅶ謝辞
本研究にあたり,指導してくださった大野木麻帆子様(中央大学),田島丈年先生・三輪貴信先生・不破悠先生・奥村暁先生(以上中央大学附属高等学校)に深謝申し上げる.