講演情報
[O12-P71]温暖化対策としての鉄平石の屋根面での使用について
*坂田 秀介1 (1. 長野県諏訪清陵高等学校)
1.研究動機
鉄平石は長野県で産出される安山岩であり、諏訪地域では屋根面の素材として使用されてきた。近年、鉄平石の屋根を使った建物が少なくなってきていることを知った。比熱が大きく保水性を持つ鉄平石の屋根は、地球温暖化やヒートアイランド現象の対策として有効であると考え、このことを示し鉄平石の使用率を上げたいと思った。鉄平石を使用した屋根面は温暖化対策に良いのかを調べることを目的とした。
2.実験1
方法①
鉄平石の屋根による温度上昇の度合いを調べるために、4つの素材による室温の変化を調べるため次の方法で実験を行った。
(ⅰ)建物に見立てた発泡スチロールの箱(18cm×13cm×12cm)を4つ用意した。
(ⅱ)図1のように、屋根面に見立てた発泡スチロール、鉄板、木、鉄平石をそれぞれの箱の上部に設置し、気温を計るため、温度計も箱の中に設置した。
(ⅲ)2025年10月7日から10月17日までの11日間、7時、12時、17時、22時に室温と屋根面の表面温度を計った。
結果①
図2〜4のグラフのような結果になった。図2〜図4の結果より鉄平石の室温、気温との差、表面温度は他の素材と比べ、日が最もあたっている12時で高くなった。図4の結果より鉄は、12時の表面温度が他の素材と比べ低くなっている。
考察①
今回の実験で、鉄平石の室温、表面温度が他の素材に比べ高くなった理由として鉄平石は黒色に近い色であり色による熱吸収率の影響を受けたと考えられる。物体の明度が低いと温度が上がりやすくなる(三根 1959)。黒色に近い色である鉄平石は色による熱吸収率が他の素材よりも高く、室温が他の素材より高くなったと言える。
3.実験2
方法②
実験1より、色による熱吸収率の大きさを統一し、素材の違いでの温度の変化を調べた。
(ⅰ)図5のように、すべての屋根面の素材をラッカースプレーで黒色に塗った。
(ⅱ)実験手法1の設置場所、計測時間を同じにし、2025年10月21日から11月11日までの19日間実験を行った。
結果②
図6〜図8のグラフのような結果になった。図3、図7のグラフより、すべての屋根を黒色に塗ったため熱吸収率が高くなり、すべての素材で12時の室温は気温よりも高くなった。12時のとき、図6のグラフより室温は鉄平石、木、鉄板、発泡スチロールの順で高くなり、図8のグラフより表面温度は、木が他の素材に比べて高くなった。
考察②
鉄平石や木の室温が上昇したのは、これらの素材の反射率が影響しているからであると考えられる。4つの素材の反射率は鉄が最も高く、鉄平石が最も低い。反射率が低い鉄平石や木は熱を吸収しやすいと言える。また、鉄の表面温度が低かったことも反射率が高く熱を取り込みにくかったと考えられる。しかし、発泡スチロールの反射率は低いにも関わらず室温は上がりにくかった。その理由としては、他の素材よりも、熱伝導率が非常に低く表面の熱が伝わりにくく、反射率の影響を受けにくかったと考えられる。次は、今回の実験で温度が高かった木と鉄平石の特徴である水持ちの良さについて調べていきたいと思った。
4.実験3
方法③
本実験では、木や鉄平石の吸水率や水持ちの良さについて調べた。
(ⅰ)今まで使用した4つの屋根面の素材の室温、表面温度を13時に実験1,2と同じ設置場所で計った。
(ⅱ)(ⅰ)の後、それぞれの素材の屋根面に水(200mL)をかけ、15分後、30分後に室温、表面温度を計った。
結果③
図9、図10のグラフのようになった。図9、図10のグラフより、水をかけた後の鉄の室温、表面温度は他の素材に比べて高くなった。図9、図10のグラフより、水をかけた15分後の鉄平石の室温は、発泡スチロールに次いで低くなったが表面温度は一番高くなった。図9のグラフより、水をかけた30分後の室温、表面温度ともに差が縮まった。
考察③
水持ちが良い鉄平石や木は、水を長い間保持しているので、水が蒸発する際に周囲から熱を奪う気化熱の効果が、長く続き、温度が上がりにくくなったと考えられる。30分後に室温が同程度になったのは、水が蒸発しきって周囲の温度と同化したからだと考えた。
5.まとめ
本研究では、色による熱吸収率、反射率、素材の水持ちが室温、表面温度に影響を与えていることがわかった。鉄平石は、色による熱吸収率、反射率の面では室温、表面温度を上げやすく、水持ちの面では室温が下がりやすいということがわかった。今後は、鉄平石の水持ちが良いという特徴の実用的な使用方法を考えていきたい。
6.参考文献
1)日本ヒートアイランド学会.(2016).ヒートアイランドの事典−仕組みを知り、対策を図る−.株式会社朝倉書店
2)原田 匠梧・鳴海 大典.(2024).建物屋根面のヒートアイランド対策による気温低減効果がエネルギー消費に及ぼす影響 -対策導入効果の地域特性に関する考察-.日本建築学会中国支部研究報告集 第47 巻. https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijchugoku/47/0/47_450/_pdf/-char/ja.2026年1月19日
3)三根 晴雄.(1959).物体色と熱吸収との関係についての研究.日本衛生雑誌 第14巻.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh1946/14/8/14_8_964/_article.2026年4月12日
鉄平石は長野県で産出される安山岩であり、諏訪地域では屋根面の素材として使用されてきた。近年、鉄平石の屋根を使った建物が少なくなってきていることを知った。比熱が大きく保水性を持つ鉄平石の屋根は、地球温暖化やヒートアイランド現象の対策として有効であると考え、このことを示し鉄平石の使用率を上げたいと思った。鉄平石を使用した屋根面は温暖化対策に良いのかを調べることを目的とした。
2.実験1
方法①
鉄平石の屋根による温度上昇の度合いを調べるために、4つの素材による室温の変化を調べるため次の方法で実験を行った。
(ⅰ)建物に見立てた発泡スチロールの箱(18cm×13cm×12cm)を4つ用意した。
(ⅱ)図1のように、屋根面に見立てた発泡スチロール、鉄板、木、鉄平石をそれぞれの箱の上部に設置し、気温を計るため、温度計も箱の中に設置した。
(ⅲ)2025年10月7日から10月17日までの11日間、7時、12時、17時、22時に室温と屋根面の表面温度を計った。
結果①
図2〜4のグラフのような結果になった。図2〜図4の結果より鉄平石の室温、気温との差、表面温度は他の素材と比べ、日が最もあたっている12時で高くなった。図4の結果より鉄は、12時の表面温度が他の素材と比べ低くなっている。
考察①
今回の実験で、鉄平石の室温、表面温度が他の素材に比べ高くなった理由として鉄平石は黒色に近い色であり色による熱吸収率の影響を受けたと考えられる。物体の明度が低いと温度が上がりやすくなる(三根 1959)。黒色に近い色である鉄平石は色による熱吸収率が他の素材よりも高く、室温が他の素材より高くなったと言える。
3.実験2
方法②
実験1より、色による熱吸収率の大きさを統一し、素材の違いでの温度の変化を調べた。
(ⅰ)図5のように、すべての屋根面の素材をラッカースプレーで黒色に塗った。
(ⅱ)実験手法1の設置場所、計測時間を同じにし、2025年10月21日から11月11日までの19日間実験を行った。
結果②
図6〜図8のグラフのような結果になった。図3、図7のグラフより、すべての屋根を黒色に塗ったため熱吸収率が高くなり、すべての素材で12時の室温は気温よりも高くなった。12時のとき、図6のグラフより室温は鉄平石、木、鉄板、発泡スチロールの順で高くなり、図8のグラフより表面温度は、木が他の素材に比べて高くなった。
考察②
鉄平石や木の室温が上昇したのは、これらの素材の反射率が影響しているからであると考えられる。4つの素材の反射率は鉄が最も高く、鉄平石が最も低い。反射率が低い鉄平石や木は熱を吸収しやすいと言える。また、鉄の表面温度が低かったことも反射率が高く熱を取り込みにくかったと考えられる。しかし、発泡スチロールの反射率は低いにも関わらず室温は上がりにくかった。その理由としては、他の素材よりも、熱伝導率が非常に低く表面の熱が伝わりにくく、反射率の影響を受けにくかったと考えられる。次は、今回の実験で温度が高かった木と鉄平石の特徴である水持ちの良さについて調べていきたいと思った。
4.実験3
方法③
本実験では、木や鉄平石の吸水率や水持ちの良さについて調べた。
(ⅰ)今まで使用した4つの屋根面の素材の室温、表面温度を13時に実験1,2と同じ設置場所で計った。
(ⅱ)(ⅰ)の後、それぞれの素材の屋根面に水(200mL)をかけ、15分後、30分後に室温、表面温度を計った。
結果③
図9、図10のグラフのようになった。図9、図10のグラフより、水をかけた後の鉄の室温、表面温度は他の素材に比べて高くなった。図9、図10のグラフより、水をかけた15分後の鉄平石の室温は、発泡スチロールに次いで低くなったが表面温度は一番高くなった。図9のグラフより、水をかけた30分後の室温、表面温度ともに差が縮まった。
考察③
水持ちが良い鉄平石や木は、水を長い間保持しているので、水が蒸発する際に周囲から熱を奪う気化熱の効果が、長く続き、温度が上がりにくくなったと考えられる。30分後に室温が同程度になったのは、水が蒸発しきって周囲の温度と同化したからだと考えた。
5.まとめ
本研究では、色による熱吸収率、反射率、素材の水持ちが室温、表面温度に影響を与えていることがわかった。鉄平石は、色による熱吸収率、反射率の面では室温、表面温度を上げやすく、水持ちの面では室温が下がりやすいということがわかった。今後は、鉄平石の水持ちが良いという特徴の実用的な使用方法を考えていきたい。
6.参考文献
1)日本ヒートアイランド学会.(2016).ヒートアイランドの事典−仕組みを知り、対策を図る−.株式会社朝倉書店
2)原田 匠梧・鳴海 大典.(2024).建物屋根面のヒートアイランド対策による気温低減効果がエネルギー消費に及ぼす影響 -対策導入効果の地域特性に関する考察-.日本建築学会中国支部研究報告集 第47 巻. https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijchugoku/47/0/47_450/_pdf/-char/ja.2026年1月19日
3)三根 晴雄.(1959).物体色と熱吸収との関係についての研究.日本衛生雑誌 第14巻.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh1946/14/8/14_8_964/_article.2026年4月12日
