講演情報
[O12-P72]伊茂岡鉱山における岩石の含有金属の同定と地質学的考察
*田村 美遥1、*岩元 百可1、*佐々木 絵乃音1、*本山 水晴1、*森崎 日菜1 (1. 津山高等学校 理数科)
キーワード:
ビスマス、定性分析、熱水鉱床、絹雲母化
1.背景
ビスマスは鉛の代替品として使用されており、近年需要が増加しているが、日本は多くを
輸入に頼っている現状がある。
2.目的
ビスマスについて調査する中、ビスマスが採掘できる鉱床が地元の鏡野町にあるという文献を発見し、ビスマスを鏡野町で大量に採取できれば国内生産に寄与できると考え、岡山県鏡野町奥津に位置する伊茂岡鉱山でビスマスを回収するために採取すべき岩石の特徴を調べることにした。
3.方法
・準備
伊茂岡鉱山の坑口付近に落ちている岩石(ズリ)のうち、金属を含んでいそうな比重の大きいものを選別して採取した。
・結果
坑口周辺に銀色や金色の金属光沢が見られる岩石が多く落ちているのを確認できた。
採取できた岩石は花崗岩が多く、ピンクを帯びた花崗岩、緑色を持つ花崗岩などが確認できた。また、坑口から山道にかけて重金属の存在を示唆する指標植物であるヘビノネゴザが群生している様子が見られた。
・実験①
図鑑・専門家の意見と実体顕微鏡を用い、鉱石鉱物を詳細に鑑定した。
・結果①
実体顕微鏡で観察したサンプル番号2207番の写真から鏡鉄鉱と見られる結晶が多く見られ、斑銅鉱や孔雀石、黄銅鉱と見られる結晶も確認された。更に、一部に青色の金属光沢をもつ、ビスマスと思われる鉱物が見られた。
・実験②
フローチャートに従い、含まれる金属を調べた。
・結果②
通気させたところ、2207番など黄銅鉱、褐鉄鉱、孔雀石を含んでいるサンプルに黒色沈殿が生成したため、銅やビスマスが存在している可能性が示された。アンモニアを加えたところ、溶液が特有の青色に変化したことからCuが含まれていることがわかった。しかし、ビスマスの沈殿は無色のため判断が出来なかった。
・実験③
実験②で判断が出来なかったビスマスが存在しているかの判断を行うため、実験②でビスマスを含む可能性があるとわかった2207番の鉱物について定性分析よりも精度が高いLIBS分析を行った。
・結果③
2207番の孔雀石を含むサンプルからビスマス、銅が確認され、結果②が裏付けられた。
・実験④
偏光顕微鏡で、岩石の組織を観察した。
・結果④
斜長石が絹雲母化し、熱水変質した様子が観察された。
4.考察
「熱水変質」は、岩石の「色」にも関係していると考えられ、熱水の影響を受けると、岩石に含まれる角閃石や黒雲母は、「緑泥石(りょくでいせき)」という緑色の鉱物に変化するため、実験③でビスマスが検出された「緑色の花崗岩」は、この熱水変質を強く受けて緑泥石化したため緑色に見えると考察できる。
5.結論
伊茂岡鉱山の鉱物は鉄が主成分であり、銅・ビスマスを含む金属も存在する。しかし、ビスマスの含有量は微量であり、現段階でビスマスの資源としての経済的な効果は期待できないと判断した。また、ビスマスを含む鉱物は、比重が大きく、緑色の花崗岩で銅を多く含んでいるものという結果が得られた。さらに、結果④から鉱床が花こう岩を母岩とする熱水鉱床と考察できた。
7. 謝辞
本研究の実施に当たってご協力頂いた鏡野町役場の職員の方々、伊茂岡鉱山の所有者の方、ご指導頂いた先生方に深謝いたします。
8.参考文献
・日本の地質「中国地方」委員会編:日本の地質7中国地方(1987)p183
・木下亀城:原色鉱石図鑑 続原色鉱石図鑑(1957)
・山口大学工学部学術資料展示館:元素別鉱石(ビスマス鉱)(2011)
ビスマスは鉛の代替品として使用されており、近年需要が増加しているが、日本は多くを
輸入に頼っている現状がある。
2.目的
ビスマスについて調査する中、ビスマスが採掘できる鉱床が地元の鏡野町にあるという文献を発見し、ビスマスを鏡野町で大量に採取できれば国内生産に寄与できると考え、岡山県鏡野町奥津に位置する伊茂岡鉱山でビスマスを回収するために採取すべき岩石の特徴を調べることにした。
3.方法
・準備
伊茂岡鉱山の坑口付近に落ちている岩石(ズリ)のうち、金属を含んでいそうな比重の大きいものを選別して採取した。
・結果
坑口周辺に銀色や金色の金属光沢が見られる岩石が多く落ちているのを確認できた。
採取できた岩石は花崗岩が多く、ピンクを帯びた花崗岩、緑色を持つ花崗岩などが確認できた。また、坑口から山道にかけて重金属の存在を示唆する指標植物であるヘビノネゴザが群生している様子が見られた。
・実験①
図鑑・専門家の意見と実体顕微鏡を用い、鉱石鉱物を詳細に鑑定した。
・結果①
実体顕微鏡で観察したサンプル番号2207番の写真から鏡鉄鉱と見られる結晶が多く見られ、斑銅鉱や孔雀石、黄銅鉱と見られる結晶も確認された。更に、一部に青色の金属光沢をもつ、ビスマスと思われる鉱物が見られた。
・実験②
フローチャートに従い、含まれる金属を調べた。
・結果②
通気させたところ、2207番など黄銅鉱、褐鉄鉱、孔雀石を含んでいるサンプルに黒色沈殿が生成したため、銅やビスマスが存在している可能性が示された。アンモニアを加えたところ、溶液が特有の青色に変化したことからCuが含まれていることがわかった。しかし、ビスマスの沈殿は無色のため判断が出来なかった。
・実験③
実験②で判断が出来なかったビスマスが存在しているかの判断を行うため、実験②でビスマスを含む可能性があるとわかった2207番の鉱物について定性分析よりも精度が高いLIBS分析を行った。
・結果③
2207番の孔雀石を含むサンプルからビスマス、銅が確認され、結果②が裏付けられた。
・実験④
偏光顕微鏡で、岩石の組織を観察した。
・結果④
斜長石が絹雲母化し、熱水変質した様子が観察された。
4.考察
「熱水変質」は、岩石の「色」にも関係していると考えられ、熱水の影響を受けると、岩石に含まれる角閃石や黒雲母は、「緑泥石(りょくでいせき)」という緑色の鉱物に変化するため、実験③でビスマスが検出された「緑色の花崗岩」は、この熱水変質を強く受けて緑泥石化したため緑色に見えると考察できる。
5.結論
伊茂岡鉱山の鉱物は鉄が主成分であり、銅・ビスマスを含む金属も存在する。しかし、ビスマスの含有量は微量であり、現段階でビスマスの資源としての経済的な効果は期待できないと判断した。また、ビスマスを含む鉱物は、比重が大きく、緑色の花崗岩で銅を多く含んでいるものという結果が得られた。さらに、結果④から鉱床が花こう岩を母岩とする熱水鉱床と考察できた。
7. 謝辞
本研究の実施に当たってご協力頂いた鏡野町役場の職員の方々、伊茂岡鉱山の所有者の方、ご指導頂いた先生方に深謝いたします。
8.参考文献
・日本の地質「中国地方」委員会編:日本の地質7中国地方(1987)p183
・木下亀城:原色鉱石図鑑 続原色鉱石図鑑(1957)
・山口大学工学部学術資料展示館:元素別鉱石(ビスマス鉱)(2011)
