講演情報

[O12-P84]立川高校における黒点観測と黒点の緯度の調査

*鶴田 晃基1、*中川 理人1 (1. 東京都立立川高等学校)

キーワード:

黒点、蝶形図、SeeStar S50

背景と目的
太陽の表面に見られる黒点は、周辺より温度が低く相対的に暗く見える斑点であり、太陽活動の指標として古くから注目されてきた。黒点数は約11年周期で増減し、黒点が多い「極大期」には太陽フレアなどが多発するなど、黒点現象は地球環境にも影響を与えうる重要な研究対象となっている。
都立立川高校天文気象部(以下、本校とする)では1947年から黒点観測を継続しており、国立天文台にデータを提供してきた歴史を持つ。現在の活動周期であるサイクル25では大規模なフレアが発生し、黒点数が増加する活発な時期に入っている。本研究ではサイクル25とサイクル24の太陽活動の規模を調査することを目的としている。長期的に見た黒点数の変化とその出現する緯度を黒点相対数グラフと蝶形図を作成することで可視化した。また、現在の黒点観測では、観測用紙にスケッチしているが、人為的なものであり、誤差が生じてしまう。そこで、太陽画像を撮影し、分析するシステムを構築し簡易的な観測をできるようにした。
データ
観測には本校6階天体ドームに設置されたタカハシ FS-152(屈折望遠鏡、焦点距離1216mm、口径152mm)を使用した。観測用紙に太陽像を投影して黒点を写し取り、黒点相対数を算出してきた。黒点相対数は以下の式で求められる。
R =k(10g+f)                     R:黒点相対数 k:補正係数(本校では1) g:黒点群 f:黒点数

分析には、1947年1月から2024年9月までの長期にわたる相対数データを使用したほか、国立天文台やベルギー王立天文台の公的データとの比較も行った。(図1)。
手法 サイクル24
蝶形図の作成にあたっては、太陽面経緯度図(図2)を用いて黒点の緯度を測定し、観測開始日と終了日の中間日付・最小緯度・最大緯度を手入力することで、緯度を縦軸とするグラフ上に線分として表示させ、サイクル24とサイクル25で比較した。なお、太陽の自転軸は地球に対して前後に傾いているため、自転軸の傾き(P値)および太陽赤道の傾き(B値)を考慮して緯度測定値を補正した。また、2025年3月から、太陽を撮影するためスマートフォンアプリで自動導入が可能な小型望遠鏡「SeeStarS50」を用いた。(図3)撮影した画像は、スマートフォンアプリ「LINE」に送信し、サーバーを介してGoogle Drive に保存し、蓄積している。本校天文気象部では撮影した画像を先行研究で開発された画像処理プログラムを使用し、Raw現像・マスク処理・ノイズ除去の工程を経て面積を算出し、先行研究で作成された「TAMOS」というサイトにアーカイブデータで表示している。(図4,5,6)

結果
2005年から2025年10月までの蝶形図(図7)を作成した結果、サイクル25が開始したことが可視化された。サイクル25の初期には高緯度に黒点が分布し、活動が進むにつれて太陽赤道付近へと移行していくパターンが、サイクル24と同様に確認された。また、羽の広がりの大きさはサイクル24・25ともに一定の周期で増減していることが判明したが、必ずしも極大期に最大値を示すわけではないことも明らかになった。また、SeeStarを用いて、2025年3月以降の太陽画像について、前述のシステムを用いて本校のサーバーに保存することができたが、画像処理において、黒点が検出されない場合があった。
考察と今後の展望
サイクル24と25において、黒点相対数からはサイクル25のほうがサイクルの規模が大きいように見えたが(図8)、蝶形図ではサイクル25のほうが大きいと判断できなかったことから、サイクルの規模(活動の強弱)を蝶形図の羽の広がりだけで評価することには限界があると考えられた。今後は2005年以前のデータを遡って蝶形図を作成し、サイクル23以前との比較を行うことで、蝶形図の形と黒点相対数の対応関係についてより強固な法則性を導き出したい。また、太陽画像を撮影したとき、明るさを変更したところ、見え方が大きく変わったことから、明るさが黒点画像観測に影響すると考えた。今後は明るさを調整し、適切な明るさで観測し、面積などの観点から太陽活動の規模を評価していきたい。