講演情報
[O12-P91]砂浜のミステリーパターン〜砂漣の形状の多様性の秘密に迫る〜
*宮野 智矢1、黒田 立輝1 (1. 浜松学芸中学校・高等学校 サイエンス部)
キーワード:
海岸、地形モデル、砂浜
1.目的
本研究の目的は、遠州灘海岸で流体の作用により形成される風紋と砂漣ついて、形状に顕著な違いが生じる要因を明らかにすることである。冬季の季節風によって生じる砂粒の運動(suspension・creep・saltation)で形成される風紋は波状がそろい風向に直角で連続的であった(西森 1995)。それに対して、水の波の作用によって形成される砂漣は不規則で多様な形状を示し、線が途切れる部分が多かった。そこで、本研究ではこれらの差異に着目し、気体と液体という流体の性質の違いが風紋と砂漣の形状にどのように影響するのかを検討し、さらに砂漣形状が多様になる仕組みを解明する。
2.手法とデータ
本研究の目的を達成するためにするために、4つの調査や実験を行った。1つめは、風紋と砂漣について形成環境や構造的な違いと共通点を探る現地調査である。2つめは、砂の流動性を検証するための風洞実験である。3つめは、流水条件下での砂漣形成の仕組みを明らかにすることを目的とした再現実験である。4つめは、水槽を回転させることで砂漣を発生させる実験である。
2-1.現地調査
遠州灘の環境を調査するとともに風紋・砂漣の山の高さと5周期分の長さを測定し、風上側・風下側それぞれの斜面の傾斜角度を計測した。結果から両者の構造的な共通点と相違点を分析し、風紋と砂漣における具体的な形状の違いを考察した。
2-2.風洞実験
段ボールを用いて作製した全長60cm、縦横45cmの風洞装置の前方に遠州灘から採取した砂で高さ3.0cmの山を作り、風速約4.0m/sの風を吹かせて砂の乾湿条件の違いによる砂粒の運動や堆積パターンの変化を観察した。実験は飛砂の有無の2つのパターンに分け、実験前後で側面から砂山を撮影し、画像を用いて高さ、幅(縦・横方向)、傾斜角度を測定した。飛砂は1分間に50mLずつ砂を15分間供給した。
2-3.砂漣形成実験
透明な容器(縦75cm横40cm高さ5.0cm)に一定量の砂と水を入れ、底面に砂が均一に広がるように調整した。その水面に風洞実験と同様の風を一定方向から当て、波を発生させた。実験中は砂漣が形成されるまでの時間変化や砂粒の移動方向、砂漣の発達過程を記録した。さらに、形成された砂漣について波長や高さを折尺で測定し、条件による違いを比較した。この実験においても風洞実験と同様に飛砂の有無の2つのパターンに分け、飛砂は1分間に50mLずつ砂を15分間供給した。
2-4.回転水槽実験
シフォンケーキ型(内径230mm×高さ120mm)の容器内に砂と水を入れ、中心から板を一定の速度で回転させることで容器内部全体に水流を発生させ、砂表面に生じる変化を継続的に観察・記録した。さらに板の1秒当たりの回転数を0r/s~3.5r/sの範囲で変化させた場合、形成する砂漣の形態に与える影響を考察した。
3.結果と考察
3-1現地調査
砂漣は風紋よりも高さが高く、角度が大きい傾向を示した。特に角度は、風紋の場合は風上と風下での差はなかったが、砂漣の場合は水流の下手の方が上手よりも大きかった。5周期分の長さでは、風紋は26cmから92cmの範囲に集中したが、砂漣は30cmから142cmの範囲をとった。このことから砂漣は風紋よりも規則性が低く、規模が大きくなることが明らかとなった。
3-2 風洞実験
飛砂がない場合、乾いた砂山と湿った砂山では高さ・縦方向と横方向の幅・安息角はともに大きな変化はなかった。飛砂がある場合、乾いた砂山の方が高さはより低く安息角はより小さくなった。縦方向の幅の変化は小さかったが、横方向では乾いた砂山では短くなり、湿った砂山では長くなった。この結果から、砂の流動性は飛砂が大きく影響し、湿った砂山は含まれる水分の質量や表面張力により変化が小さくなると推測される。
3-3 砂漣形成実験
飛砂の有無にかかわらず砂漣は発生したが大きな差はなかった。また発生した砂漣の高さは0.10cm前後のものが多く、角度は測定できなかった。5周期分の長さは風下側ほど短くなり、水流の波状と一致していた。本実験で形成された砂漣は現地調査で得たデータから、非常に規模が小さいものであることが分かった。このことから砂漣の形状は容器の大きさ及び水流の速さなどによる波の規模によって変化すると予想される。
3-4 回転水槽実験
砂漣が形成され、その長さ・高さ・間隔と回転板の速度には強い正の相関が認められた。これは、水流速度上昇が砂の運動エネルギーを増大させ、砂漣の発達を促進したことを示している。一方で発生した砂漣の個数と水流の速さとには負の相関が認められた。これは一定容器内という制約下で、砂漣の大型化により個数減少に直結したのではないだろうか。
4.参考文献
西森拓(1995)砂の表面のパターン動力学.表面科学.16(4):267-272.
本研究の目的は、遠州灘海岸で流体の作用により形成される風紋と砂漣ついて、形状に顕著な違いが生じる要因を明らかにすることである。冬季の季節風によって生じる砂粒の運動(suspension・creep・saltation)で形成される風紋は波状がそろい風向に直角で連続的であった(西森 1995)。それに対して、水の波の作用によって形成される砂漣は不規則で多様な形状を示し、線が途切れる部分が多かった。そこで、本研究ではこれらの差異に着目し、気体と液体という流体の性質の違いが風紋と砂漣の形状にどのように影響するのかを検討し、さらに砂漣形状が多様になる仕組みを解明する。
2.手法とデータ
本研究の目的を達成するためにするために、4つの調査や実験を行った。1つめは、風紋と砂漣について形成環境や構造的な違いと共通点を探る現地調査である。2つめは、砂の流動性を検証するための風洞実験である。3つめは、流水条件下での砂漣形成の仕組みを明らかにすることを目的とした再現実験である。4つめは、水槽を回転させることで砂漣を発生させる実験である。
2-1.現地調査
遠州灘の環境を調査するとともに風紋・砂漣の山の高さと5周期分の長さを測定し、風上側・風下側それぞれの斜面の傾斜角度を計測した。結果から両者の構造的な共通点と相違点を分析し、風紋と砂漣における具体的な形状の違いを考察した。
2-2.風洞実験
段ボールを用いて作製した全長60cm、縦横45cmの風洞装置の前方に遠州灘から採取した砂で高さ3.0cmの山を作り、風速約4.0m/sの風を吹かせて砂の乾湿条件の違いによる砂粒の運動や堆積パターンの変化を観察した。実験は飛砂の有無の2つのパターンに分け、実験前後で側面から砂山を撮影し、画像を用いて高さ、幅(縦・横方向)、傾斜角度を測定した。飛砂は1分間に50mLずつ砂を15分間供給した。
2-3.砂漣形成実験
透明な容器(縦75cm横40cm高さ5.0cm)に一定量の砂と水を入れ、底面に砂が均一に広がるように調整した。その水面に風洞実験と同様の風を一定方向から当て、波を発生させた。実験中は砂漣が形成されるまでの時間変化や砂粒の移動方向、砂漣の発達過程を記録した。さらに、形成された砂漣について波長や高さを折尺で測定し、条件による違いを比較した。この実験においても風洞実験と同様に飛砂の有無の2つのパターンに分け、飛砂は1分間に50mLずつ砂を15分間供給した。
2-4.回転水槽実験
シフォンケーキ型(内径230mm×高さ120mm)の容器内に砂と水を入れ、中心から板を一定の速度で回転させることで容器内部全体に水流を発生させ、砂表面に生じる変化を継続的に観察・記録した。さらに板の1秒当たりの回転数を0r/s~3.5r/sの範囲で変化させた場合、形成する砂漣の形態に与える影響を考察した。
3.結果と考察
3-1現地調査
砂漣は風紋よりも高さが高く、角度が大きい傾向を示した。特に角度は、風紋の場合は風上と風下での差はなかったが、砂漣の場合は水流の下手の方が上手よりも大きかった。5周期分の長さでは、風紋は26cmから92cmの範囲に集中したが、砂漣は30cmから142cmの範囲をとった。このことから砂漣は風紋よりも規則性が低く、規模が大きくなることが明らかとなった。
3-2 風洞実験
飛砂がない場合、乾いた砂山と湿った砂山では高さ・縦方向と横方向の幅・安息角はともに大きな変化はなかった。飛砂がある場合、乾いた砂山の方が高さはより低く安息角はより小さくなった。縦方向の幅の変化は小さかったが、横方向では乾いた砂山では短くなり、湿った砂山では長くなった。この結果から、砂の流動性は飛砂が大きく影響し、湿った砂山は含まれる水分の質量や表面張力により変化が小さくなると推測される。
3-3 砂漣形成実験
飛砂の有無にかかわらず砂漣は発生したが大きな差はなかった。また発生した砂漣の高さは0.10cm前後のものが多く、角度は測定できなかった。5周期分の長さは風下側ほど短くなり、水流の波状と一致していた。本実験で形成された砂漣は現地調査で得たデータから、非常に規模が小さいものであることが分かった。このことから砂漣の形状は容器の大きさ及び水流の速さなどによる波の規模によって変化すると予想される。
3-4 回転水槽実験
砂漣が形成され、その長さ・高さ・間隔と回転板の速度には強い正の相関が認められた。これは、水流速度上昇が砂の運動エネルギーを増大させ、砂漣の発達を促進したことを示している。一方で発生した砂漣の個数と水流の速さとには負の相関が認められた。これは一定容器内という制約下で、砂漣の大型化により個数減少に直結したのではないだろうか。
4.参考文献
西森拓(1995)砂の表面のパターン動力学.表面科学.16(4):267-272.
