講演情報

[PPS01-P07]大型電波干渉計GMRTを用いた木星放射線帯電子の空間構造の解析:Juno同時観測キャンペーン

*和賀 正道1、土屋 史紀1、北 元2、三澤 浩昭1 (1.東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター、2.東北工業大学 工学部 情報通信工学科)

キーワード:

木星、シンクロトロン放射、放射線帯、電波望遠鏡

木星シンクロトロン放射(JSR)は、木星放射線帯内部で磁場に捕捉された相対論的電子から放射される。その強度と周波数は、電子のエネルギー、数密度、および磁場強度に依存するため、JSRは放射線帯のダイナミクスを調べるための最も有効なプローブの一つである。放射線帯内部では複数の電子損失過程が働いており、中でも支配的と考えられているのが衛星(AmaltheaやThebe)への衝突による損失である。電子が放射線帯の外側から内向きに輸送される過程で、一部の電子は衛星との衝突により消失する。この損失率は電子のエネルギーとピッチ角(速度ベクトルと磁場ベクトルの成す角)に強く依存するため、高緯度の放射に寄与するピッチ角の小さい電子と赤道域の放射に寄与するピッチ角の大きい電子の間でエネルギー分布に違いが生じると予測される。しかし、この予測は未だ観測的に実証されていない。
私たちのグループでは、Junoの木星最接近時(PJ66:2024年10月23日)に合わせ、インドのGMRT(Giant Metrewave Radio Telescope)をはじめとする複数の電波干渉計および国内の単一鏡(飯舘・臼田)を用いた多周波協調観測を実施した。現在Junoは放射線帯内部を通過する軌道をとっており、その場での電子の情報を得られる貴重な機会となっている。一方、地上からの電波干渉計観測はJunoを補完する重要な役割を果たす。Junoのその場観測では放射線帯の空間構造の全体像を捉えることが困難であるのに対し、電波干渉計による2次元電波マップを用いることで放射線帯の全体構造を把握できる。さらに、多周波観測によりエネルギースペクトルの推定が可能となり、放射線帯の物理モデルの改善が期待される。
GMRTではBand 2(125–150 MHz:10月21–22日)およびBand 4(550–900 MHz:10月22–23日)の2つの周波数帯で観測を実施した。本研究では、多周波観測キャンペーンの一環としてGMRT Band 4の解析結果を報告する。SPAM(Source Peeling and Atmospheric Modeling)と呼ばれる手法を用いて非一様な電離層による伝播遅延を補正し、高緯度と赤道域の放射を空間的に分離した高解像度の電波画像を得ることに成功した。一方で、得られたJSRのフラックス密度はKlein et al. (1989)のbeaming curveから予測される値と不一致を示しており、SPAMによるイメージング過程でフラックス校正に問題が生じている。この問題に対処するため、視野内の点電波源のフラックス密度が時間的に一定であると仮定し、点電波源のフラックス変動を基準としてJSRのフラックス密度を補正する手法を適用した。本発表では、補正後の2次元電波マップを示すとともに、高緯度域と赤道域の放射強度比に基づき放射線帯電子の空間構造について議論する。