講演情報

[PPS01-P13]土星電波掩蔽法を用いたタイタン電離圏密度構造の予備解析

*加藤 豪流1、安田 陸人1、笠羽 康正1、三澤 浩昭1、土屋 史紀1、Louis Corentin2、Cecconi Baptiste2、木村 智樹3 (1.東北大学、2.LIRA研究室、パリ天文台、フランス国立科学研究センター、PSL研究大学、3.東京理科大学)

キーワード:

タイタン、電離圏、掩蔽、カッシーニ

Titanは濃い大気を有する土星の衛星である。その電離圏は太陽紫外線放射と土星の磁気圏プラズマの侵入に支配され、変動性に富んだ複雑な構造を有する。Titanの大気には多様な炭化水素が存在し、その生成プロセスを理解することは原始地球における生命誕生の解明にも繋がる。これら有機物の生成過程は高層大気におけるイオン化学反応を始点とするため、電離圏の解明は中性大気の組成や進化にも知見を与えるものである。

 これまでTitanの電離圏電子密度の推定は、探査機-地球間通信波を用いる電波掩蔽法(Radio Science)やLangmuir ProbeやUHR周波数などを用いるin-situ直接観測によって行われてきた。しかし、これらの手法では解析可能な高度や地方時(LT)に制約があり、特に昼側および夜側の低高度領域における情報は限定的であった。本研究は、Yasuda et al. (2024)によってガニメデ・エウロパの電離圏密度推定手法として提案され、Titan電離圏にも適用された「惑星電波掩蔽法」を別の観測点でTitanに適用する。本手法は、土星オーロラ電波(Saturn Kilometric Radiation, SKR)の衛星電離圏による掩蔽を用いるもので、従来推定が不可能であった期間・TitanのLT・土星に対する公転位相(SLT)における電離圏密度の導出が可能となる。すでに、全127回中約30回のTitanflybyで解析に有望なSKRの掩蔽が検出されており、SKR自体の変動を分離する必要があるが、この中の複数のデータからTitan電離圏の構造を得ようとしているところである。

 この解析では、パリ天文台が開発した惑星オーロラ電波放射のsimulationツールである ExPRES (Exoplanetary and Planetary Radio Emission Simulator) を用いて電波源位置をモデル化した。Gaussian分布を仮定し多様なピーク密度・高度・幅をもたせた電離圏構造にこれを照射し、我々が開発してきたRaytracing法で探査機で観測されうる周波数毎の掩蔽時間を評価した。この結果と実際のCassini探査機(2004–2017)のRPWS(Radio and Plasma Wave Science)によって観測されたSKRの掩蔽時間(強度・偏波)を比較し、最も整合する電離圏モデルを決定した。

 本講演では、Yasuda et al. (submitted)および Yasuda et al. (JpGU) で解析されたTitan 15th flyby (T-15) に加え、異なる対土星位置で観測された Titan-77 (T77) および Titan-119 (T119) フライバイにおける掩蔽の解析結果を報告する。なお、T119は従来のRadio Science手法、in-situ直接観測による推定も行われており、これらとの比較についても議論する。