講演情報
[PPS01-P20]土星リング粒子の低速度衝突を模擬するための小型低温実験システムの開発
*豊田 優佳里1,2 (1.アストロバイオロジーセンター、2.国立天文台)
キーワード:
土星リング、原始惑星系円盤、氷、衝突実験
本研究は,土星 A・B リングにおけるリング粒子間衝突過程の理解を目的とした低温環境での室内実験システムの開発を行うものである.土星リングは主に mm から m サイズの水氷粒子によって構成されており,粒子が高密度に存在するため,粒子間衝突がリングの力学進化を支配していると考えられている.リング粒子間の相対衝突速度は数 cm s-1 程度と低く,このような低速度衝突におけるエネルギー散逸過程や衝突結果の理解は,リング構造の進化を議論する上で重要である.
氷試料を用いた衝突実験では,氷の物性や表面状態を安定に保つために低温環境での実験が必要となる.これまでの研究では,低温室を用いて実験空間全体を低温に保つ方法[1]と,二重壁構造を持つチャンバー内で試料を低温に保持し,観察窓やグローブボックスを通じて試料へアクセスする方法[2]の両方が用いられてきた.これらの手法はいずれも氷試料の温度および表面状態を制御した衝突実験を可能にしてきた.
一方で,低温室を用いた実験は設備コストが高く,利用可能な施設が限られることに加え,作業環境の制約から長時間の作業を行うことが難しい.そこで本研究では,過去に実施されていた低温チャンバー型実験のコンセプトを踏まえ,現在の実験環境および計測技術に基づいてこれを再構築した.本研究で開発したシステムは,通常の実験室環境に設置可能な小型の低温実験システムであり,氷試料を用いた室内実験を継続的かつ系統的に実施できることを目的としている.
開発した実験システムでは,小型恒温槽を用いて約 −15 ℃ の低温環境を維持し,氷試料を用いた低速度衝突実験を実施可能とした.装置には観測窓,試料へのアクセス用ポートおよびケーブルフィードスルーを備え,レーザー変位計を用いることで衝突前後の球の運動計測が可能である.内部空間は低速度衝突実験に十分なサイズを確保しており,落下高さを調整することで衝突速度を制御できる構成とした.本システムにより,従来の低温室を用いずに氷試料を用いた室内実験を実施することが可能となる.
本研究の科学的目標は,土星リング粒子間の低速度衝突におけるエネルギー散逸過程および衝突結果の理解に向けて,氷粒子衝突実験を安定して実施可能な実験基盤を構築することである.さらに,本研究で構築する実験手法は,低温環境下における氷粒子衝突を扱う他の室内実験,例えば原始惑星系円盤における氷粒子衝突過程の理解にも応用可能であると考えられる.
現在,装置の導入および動作確認を進めており,本発表では低温環境の構築および衝突実験の実施条件について報告するとともに,氷試料を用いた低速度衝突実験の結果を示す.さらに,先行研究との比較を通じて,本システムを用いた低温衝突実験の有効性について議論する.
氷試料を用いた衝突実験では,氷の物性や表面状態を安定に保つために低温環境での実験が必要となる.これまでの研究では,低温室を用いて実験空間全体を低温に保つ方法[1]と,二重壁構造を持つチャンバー内で試料を低温に保持し,観察窓やグローブボックスを通じて試料へアクセスする方法[2]の両方が用いられてきた.これらの手法はいずれも氷試料の温度および表面状態を制御した衝突実験を可能にしてきた.
一方で,低温室を用いた実験は設備コストが高く,利用可能な施設が限られることに加え,作業環境の制約から長時間の作業を行うことが難しい.そこで本研究では,過去に実施されていた低温チャンバー型実験のコンセプトを踏まえ,現在の実験環境および計測技術に基づいてこれを再構築した.本研究で開発したシステムは,通常の実験室環境に設置可能な小型の低温実験システムであり,氷試料を用いた室内実験を継続的かつ系統的に実施できることを目的としている.
開発した実験システムでは,小型恒温槽を用いて約 −15 ℃ の低温環境を維持し,氷試料を用いた低速度衝突実験を実施可能とした.装置には観測窓,試料へのアクセス用ポートおよびケーブルフィードスルーを備え,レーザー変位計を用いることで衝突前後の球の運動計測が可能である.内部空間は低速度衝突実験に十分なサイズを確保しており,落下高さを調整することで衝突速度を制御できる構成とした.本システムにより,従来の低温室を用いずに氷試料を用いた室内実験を実施することが可能となる.
本研究の科学的目標は,土星リング粒子間の低速度衝突におけるエネルギー散逸過程および衝突結果の理解に向けて,氷粒子衝突実験を安定して実施可能な実験基盤を構築することである.さらに,本研究で構築する実験手法は,低温環境下における氷粒子衝突を扱う他の室内実験,例えば原始惑星系円盤における氷粒子衝突過程の理解にも応用可能であると考えられる.
現在,装置の導入および動作確認を進めており,本発表では低温環境の構築および衝突実験の実施条件について報告するとともに,氷試料を用いた低速度衝突実験の結果を示す.さらに,先行研究との比較を通じて,本システムを用いた低温衝突実験の有効性について議論する.
