講演情報
[PPS02-P03]光電子の数値モデル開発と昼側月面電位変動への応用
*加藤 正久1、原田 裕己2、斎藤 義文3、西野 真木3、高橋 太4、清水 久芳5、Shaosui Xu6、Andrew Poppe6、Jasper Halekas7 (1.京都大学、2.名古屋大学、3.JAXA、4.九州大学、5.東京大学、6.University of California, Berkeley、7.University of Iowa)
キーワード:
月面電位
月は濃密な大気を持たないため、月面は周囲の荷電粒子と直接相互作用する。昼側月面では光電子が太陽放射に伴って放出され、月面の静電ポテンシャルは流出入する荷電粒子による電流のバランスを取るように変化する。昼側月面電位の時空間変動性を調べるため、我々は月面から放出される光電子のエネルギースペクトルの数値モデルを開発した。モデルの計算結果と月周辺でのその場観測を比較することにより、放出された電子が月面と周回探査機の間の電位差によって受ける加減速を見積もった。本発表では、数値モデルの応用例を2つ紹介する。第一の例では、モデルの結果をかぐや探査機の観測と比較し月面電位水平分布の地殻磁場強度に対する変化について調べた。電子は磁気異常上空でより減速される傾向があり、これは電子とイオンの運動分離により形成される上向き電場による効果と解釈できる。これは地殻磁場領域において月面電位が正であることに相当する。第二の例では、モデルをARTEMIS探査機の観測に応用し、月面電位の太陽活動度に対する変動性について調査を行った。計算された光電子のエネルギースペクトルと月面へ流入する電子フラックスを比較することで月面電位の推定を行った。地球磁気圏ローブ中に月が位置し、極端な太陽フレアが起こる際には、月面電位は+100 Vを超えうることがわかった。大きい昼側月面電位は、光子や荷電粒子にとって障害物として働き表面電位の非均一性をもたらす表面の地形によって、劇的な表面電位の変化を駆動する。この手法は大気のない天体での荷電粒子環境や静電環境に適用可能であると考えられる。
