講演情報

[PPS03-P05]はやぶさ2#のTorifuneフライバイ観測データ利用を想定した小惑星形状復元におけるAmes Stereo Pipelineの適用可能性の検討

*棚木 敦也1、平田 成1 (1.会津大学)

キーワード:

小惑星形状モデル、フライバイ、トリフネ、ASP

2026年7月に、小惑星探査機はやぶさ2は拡張ミッションとして、小惑星(98943) Torifuneをフライバイ観測する。フライバイ観測とは探査機が天体の傍を通過する際に観測を行う方法である。観測が可能な期間が非常に短く、解像度の高い画像の撮像機会も限られている。また、対象天体の全面を観測することはできず、探査機が通過する側の半球面のみ観測可能である。さらに、対象天体に対する探査機の相対位置情報は概略ではわかるものの、高精度で制約することも難しい。
小惑星探査において、探査対象天体の形状モデルは密度推定などの基礎データとなるため、科学的解析に不可欠である。しかし、前述したフライバイ観測の条件下での小惑星形状復元は極めて困難である。形状復元手法の一つにStructure from Motion (SfM)ベースのソフトウェアが複数存在する。これらのSfMソフトウェアは十分な枚数の画像があれば、撮影時のカメラ位置や姿勢を自動推定することが可能である。しかし、探査機の位置や姿勢の概略情報を元に、高精度な推定をやり直す機能は備わっていない。
そこで、本研究では、Ames Stereo Pipeline (ASP)と呼ばれるNASA Ames研究センターが開発したオープンソースソフトウェアを用いて、探査機位置の概略情報を活用した小惑星形状復元が可能かどうかの試行を行った。ASPは主に月やその他の大型天体のデジタル標高モデルの作成に用いられるツールであるが、小惑星の形状復元に適用された例は少ない。ASPはカメラ位置および姿勢を最適化するBundle Adjustment (BA)機能を備えている。具体的には、予測される探査機位置情報を初期値として与え、BAによって撮像時のわずかな姿勢誤差や幾何学的な不整合を最適化する。これにより、視点が限定されたフライバイ観測データに対しても、カメラ幾何を安定させつつ、高精度な3次元形状を推定できる可能性を示した。