講演情報

[PPS04-P10]鉄粒子標的に対するクレーター形成実験

*山本 裕也1、長谷川 直1 (1.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:

クレーター、衝突実験、鉄、プシケ

16 PsycheはM型小惑星に分類され,2029年NASAのサイキミッションの目標天体である.Psycheのバルク密度は約4g/cm3であり,メソシデライトなどの金属を多く含む隕石のバルク密度と同程度である(Viikinkoski et al 2018).Psycheの構造についてはいくつかの仮説があるが,そのうちの1つは,Psycheは衝突が繰り返されることによって岩石と金属が再集積したラブルパイルであり,メソシデライトのような石鉄隕石の親天体であるという仮説がある(Shepard et al. 2021).NASAのサイキミッションはPsyche表面のクレーターを観測する予定である.これらのクレーターの情報は,Psycheの表面年代,地下構造,組成の推定に役立つ.しかしながら,砂や氷への衝突に関する実験的研究は多く存在する一方で,金属標的,特に鉄粒子標的における衝突クレーターに関する研究は少ない.そこで,本研究では,鉄粒状粒子におけるクレーター形状,および標的粒子の破壊と標的粒子に対する弾丸のサイズ比がクレーター形成効率に及ぼす影響を調査するため,鉄粒状標的への衝突実験を実施した.
 衝突実験はJAXAの縦型二段式軽ガス銃を用いて実施した.標的はタライに充填した直径3 mmのSUS304球を用いた.粒子密度は8.1 g/cm3,標的バルク密度は4.3 g/cm3であった.標的的粒子と弾丸サイズの比と,弾丸密度によるクレーター形成効率の違いを確認するために,直径1, 2, 4.7 mmの密度の異なる7種類の球(アセテート,ナイロン,ガラス,アルミナ,チタン,SUS,タングステンカーバイド)を用いた.これらの弾丸を衝突速度1-6 km/sで標的表面に対して垂直に衝突させた.実験後,標的表面に形成されたクレーターの直径と深さを計測した.
クレーターサイズと弾丸の運動エネルギー(Ek)の関係を調べた結果.弾丸種類によらず運動エネルギーが増加するにつれてクレーターサイズは増加した.一方で,弾丸と標的粒子のサイズ比α(=Dp/Dt)の違いは,クレーター形成効率に影響があった.α=0.67とα=1.6では差がなかったが,α=0.33では10-30%程度クレーター系成功率が低下した.さらに,Ek = 20-40 Jの領域でクレーターサイズはEkとともに変化せず,ほぼ一定となった.πスケーリング則を用いて規格化クレーター半径(πR)と規格化重力(π2)の関係を調べたところ,α=0.67とα=1.6の結果は砂やガラスビーズ標的等の先行研究と同様の傾向が見られた.一方で,α=0.33の結果は,先行研究よりもクレーター形成効率が低下することがわかった.発表では,弾丸と標的粒子のサイズ比の影響と標的粒子の破壊の影響を,経験式を用いて定量的に評価する.