講演情報

[PPS04-P22]微地形表現力に優れた「月陰陽図」の紹介

*荒木 亮太郎1、秋山 幸秀2、髙橋 洋二2、佐藤 広幸1 (1.JAXA宇宙科学研究所、2.エアロトヨタ株式会社)

キーワード:

月の地形図、地形表現技法、JAXA Virtual Planet

微地形構造を容易に把握できる地形表現技術を地球以外の天体にも展開することで、これらの天体における地形・地質研究に役立てることができる。本発表では我々が作成し公開している、月の全球陰陽図マップを紹介する。
陰陽図はエアロトヨタ株式会社が開発した微地形表現技法である[1, 2, 3]。陰陽図の描画アルゴリズムは、鉛直上方向からの光源で描画した陰影図がベースとなっている。一般的な陰影図は、左斜め上方向からの並行光源によって生まれる日照と影の明暗で、地形を表現する。このような斜めからの照明は地形の起伏を直感的に把握しやすい一方で、光源に対しての斜面の向きによって、斜面に存在する微小な地形凹凸の見えやすさが変化する。陰陽図では、斜めではなく鉛直上方向からの光源を用いることで、斜面の見えやすさの方位依存性をなくしている。これによって、地表の斜度が明暗として表現される(急斜面ほど暗い)。次に、鉛直光源にしたことで失われる地形の凹凸感を、色相によって表現する。地形をある波長でフィッティングさせた近似面に対して、凸部分を暖色系、凹部分を寒色系のアルゴリズムで配色する。この色相選択は暖色系ほど手前に見えやすいという、色立体視の錯覚効果を生かしている[4]。異なる波長フィッティングから作られた複数の色相図を、鉛直光源の陰影図と合成することで、陰陽図が作成される。
このように、陰陽図という描画手法は地形の傾斜度を明暗で、周囲に対する相対的な凹凸を寒色/暖色の色相で表現しているため、微地形情報が残りやすい。従来の斜め光源の陰影図と比較して、斜面上の微地形の見えやすさに方位依存性がない。また、広域のダイナミックな高低差(例えば数千m規模の山体)の表現と、数桁小さいスケールの地形表現(標高差が数十m以下の凹凸など)を両立することは、標高カラーマップでは困難だが、陰陽図では容易である。
我々は、月の全球をカバーしているSLDEM2013デジタル地形モデル[5] に基づいて、60 m/pixおよび360 m/pixの月陰陽図マップを作成した。現在、JAXAの開発した月3D GISウェブサービス「JAXA Virtual Planet」にて公開している。月陰陽図によって直感的な層序の把握が容易となり、地形地質研究やクレーター年代学への活用、将来の月探査における着陸地点評価などに利用可能である。発表では、データの利用法や活用例について紹介する。
微地形構造を容易に把握できる地形表現技術を地球以外の天体にも展開することで、これらの天体における地形・地質研究に役立てることができる。本発表では我々が作成し公開している、月の全球陰陽図マップを紹介する。
陰影図はエアロトヨタ株式会社が開発した微地形表現技法である[1, 2, 3]。陰陽図の描画アルゴリズムは、鉛直上方向からの光源で描画した陰影図がベースとなっている。一般的な陰影図は、左斜め上方向からの並行光源によって生まれる日照と影の明暗で、地形を表現する。このような斜めからの照明は地形の起伏を直感的に把握しやすい一方で、光源に対しての斜面の向きによって、斜面に存在する微小な地形凹凸の見えやすさが変化する。陰陽図では、斜めではなく鉛直上方向からの光源を用いることで、斜面の見えやすさの方位依存性をなくしている。これによって、地表の斜度が明暗として表現される(急斜面ほど暗い)。次に、鉛直光源にしたことで失われる地形の凹凸感を、色相によって表現する。地形をある波長でフィッティングさせた近似面に対して、凸部分を暖色系、凹部分を寒色系のアルゴリズムで配色する。この色相選択は暖色系ほど手前に見えやすいという、色立体視の錯覚効果を生かしている[4]。異なる波長フィッティングから作られた複数の色相図を、鉛直光源の陰影図と合成することで、陰陽図が作成される。
このように、陰陽図という描画手法は地形の傾斜度を明暗で、周囲に対する相対的な凹凸を寒色/暖色の色相で表現しているため、微地形情報が残りやすい。従来の斜め光源の陰影図と比較して、斜面上の微地形の見えやすさに方位依存性がない。また、広域のダイナミックな高低差(例えば数千m規模の山体)の表現と、数桁小さいスケールの地形表現(標高差が数十m以下の凹凸など)を両立することは、標高カラーマップでは困難だが、陰陽図では容易である。
我々は、月の全球をカバーしているSLDEM2013デジタル地形モデル[5] に基づいて、60 m/pixおよび360 m/pixの月陰陽図マップを作成した。現在、JAXAの開発した月3D GISウェブサービス「JAXA Virtual Planet」にて公開している。月陰陽図によって直感的な層序の把握が容易となり、地形地質研究やクレーター年代学への活用、将来の月探査における着陸地点評価などに利用可能である。発表では、データの利用法や活用例について紹介する。