講演情報

[PPS04-P34]周惑星円盤と鉛直降着流のバランスによる巨大ガス惑星の自転制御

*毛呂 彰吾1、黒川 宏之1、中澤 風音1 (1.東京大学)

キーワード:

巨大惑星、惑星形成、惑星自転、周惑星円盤、降着流、角運動量輸送

巨大ガス惑星は、形成過程の終盤で周惑星円盤を通じた降着により分裂限界に近い大きな角運動量を獲得すると考えられる。一方、太陽系惑星および系外惑星はいずれも分裂限界に近い高速自転を示していない(Bryan et al. 2020)。これまで、この問題は主に磁気トルクによって惑星から角運動量が引き抜かれるとして説明されてきた(e.g., Batygin 2018)。ただ、この機構が有効に働くためには、惑星内部に十分な導電性物質とその対流が存在し、さらに惑星磁場と強く結合するイオン化したガスが周惑星円盤内に存在している必要がある。しかし、巨大ガス惑星誕生直後にこれらの条件が満たされていたことを直接示す研究はない。特に低質量の巨大ガス惑星では、内部の圧力が低いことから金属水素が形成されず、必要な条件を満たせない可能性がある。このように、巨大ガス惑星の高速自転を抑制する物理機構は依然として未解明である。

 本研究では、惑星へのガス供給が高緯度からの低角運動量鉛直降着流と、周惑星円盤を介した高角運動量降着流が共存する状況(e.g., Tanigawa et al. 2008)に着目し、これらのバランスによって惑星の自転が制御される可能性を検討した。Adams et al. (2025)に基づく解析モデルを用い、周惑星円盤を含む降着構造における質量フラックスおよび角運動量フラックスを導出した。これにより、高緯度からの低角運動量鉛直降着流と周惑星円盤を介した高角運動量降着流の相対的な寄与が、惑星の自転進化にどのように影響するかを整理した。

 本講演では、鉛直降着流と周惑星円盤降着流の相対的な寄与に加えて、周惑星円盤降着流が惑星と結合する領域の取り扱いや惑星の質量-半径関係が惑星の自転進化に影響する重要な要素であることを示す。さらに、これらの要素がどのような条件下で惑星のスピンアップを抑制しうるのかを整理し、観測される最終的な自転状態と整合的な形成期の降着構造について議論する。