講演情報
[PPS07-P10]MGS電波掩蔽観測データを用いた火星大気重力波の活動度に関する研究
*箕浦 沙月1、橋本 智香子1、野口 克行1 (1.奈良女子大学)
大気重力波は、惑星大気に存在する大気波動である。空気塊が浮力を復元力として鉛直方向に振動しながら伝播する。その励起源としては、地形、対流活動、ジェット気流などが挙げられる [Nappo, 2002] 。地球大気においては、大気重力波が伝播する過程で減衰・砕波し、その際に運動量を背景大気へ輸送することが理論的に示されており [Lindzen, 1981] 、観測的にも大気大循環に影響を及ぼすことが知られている [Fritts and Alexander, 2003] 。
火星大気も安定成層であることから、大気重力波が地球と同様の役割を担うことが予想される。火星の大気重力波の観測的研究を行う手段の一つとして、電波掩蔽観測が挙げられる。これは、惑星大気を周回する探査機から送信された電波を地球の地上局で受信する観測手法である。惑星大気を通過した電波の周波数変動から屈折率の鉛直分布を求め、最終的には気温と気圧の高度分布を導出する。Creasey et al. [2006] は、米国の火星探査機Mars Global Surveyor (MGS)による電波掩蔽観測の気温データを用いて大気重力波の活動度を推定し、緯度経度分布や季節変化を調べた。この研究により、大気重力波の主な励起源は低緯度の大規模地形であり、高緯度では季節を通して活動度が低いことが示唆された。しかし、MGSミッションの前半のみのデータを利用していたため、解析対象となる緯度・経度・季節が限定されていた。そのため、活動度の空間分布と季節変動についての議論は不十分であった。
本研究では、MGSの全観測期間(火星年24〜28)の電波掩蔽観測データを用いることで、Creasey et al. [2006]の解析を拡張し、大気重力波の活動度の空間分布および季節変動を調べた。先行研究と整合的な結果として、低緯度では季節を通して大気重力波の活動度が高いという結果が得られた。これは、低緯度に存在する山岳地帯で励起された結果であると解釈される。一方、先行研究では十分に評価されていなかった高緯度での季節変動も明らかになった。特に北半球では秋から冬、南半球では冬から春にかけて活動度の増大が見られた。また、活動度の高度分布の特徴が緯度や経度、季節により変化することが明らかになった。これらの結果は、大気重力波の励起は地形だけでは説明できず、空間および季節依存性を持つ励起源の存在を示唆している。
火星大気も安定成層であることから、大気重力波が地球と同様の役割を担うことが予想される。火星の大気重力波の観測的研究を行う手段の一つとして、電波掩蔽観測が挙げられる。これは、惑星大気を周回する探査機から送信された電波を地球の地上局で受信する観測手法である。惑星大気を通過した電波の周波数変動から屈折率の鉛直分布を求め、最終的には気温と気圧の高度分布を導出する。Creasey et al. [2006] は、米国の火星探査機Mars Global Surveyor (MGS)による電波掩蔽観測の気温データを用いて大気重力波の活動度を推定し、緯度経度分布や季節変化を調べた。この研究により、大気重力波の主な励起源は低緯度の大規模地形であり、高緯度では季節を通して活動度が低いことが示唆された。しかし、MGSミッションの前半のみのデータを利用していたため、解析対象となる緯度・経度・季節が限定されていた。そのため、活動度の空間分布と季節変動についての議論は不十分であった。
本研究では、MGSの全観測期間(火星年24〜28)の電波掩蔽観測データを用いることで、Creasey et al. [2006]の解析を拡張し、大気重力波の活動度の空間分布および季節変動を調べた。先行研究と整合的な結果として、低緯度では季節を通して大気重力波の活動度が高いという結果が得られた。これは、低緯度に存在する山岳地帯で励起された結果であると解釈される。一方、先行研究では十分に評価されていなかった高緯度での季節変動も明らかになった。特に北半球では秋から冬、南半球では冬から春にかけて活動度の増大が見られた。また、活動度の高度分布の特徴が緯度や経度、季節により変化することが明らかになった。これらの結果は、大気重力波の励起は地形だけでは説明できず、空間および季節依存性を持つ励起源の存在を示唆している。
