講演情報

[PPS12-14]CYコンドライトの衝撃変成組織に基づく母天体の形成・進化史

*高木 優斗1、宮原 正明1、山口 亮2、富岡 尚敬3 (1.広島大学、2.国立極地研究所、3.高知コア研究所)

キーワード:

CYコンドライト、衝撃変成作用、アグルチネート

CYコンドライトは、最も太陽に近い組成をもつとされるCIコンドライトとCMコンドライトに類似した岩石学的・化学的特徴を示す炭素質コンドライトである[1]。CYコンドライトの重要な特徴として、水質変成を受けた後に短時間の熱変成作用を受けている点が挙げられ、その熱源として衝突加熱が有力視されている[1]。近年、C型小惑星リュウグウの反射スペクトルがCYコンドライトと類似していることが報告されており[1]、リュウグウ粒子からは微小断層や鏡肌状組織など、衝撃に起因すると解釈される組織も見出されている[2,3]。さらに、Orgueil CIコンドライト中には衝撃によって形成されたアグルチネートが報告されており[4]、CI/CYコンドライトがこれまで考えられてきた以上に衝撃の影響を受けている可能性が示唆される。
 本研究では、CYコンドライトに記録された衝撃変成組織の詳細な観察・分析を通して、母天体の形成・進化史を明らかにすることを目的とした。対象試料はCYコンドライト(Y 980115, Y 86029, Y 86737, Y 980134, Y 86720, Y 86789, Y 82162, B 7904)およびCYに類似するCMコンドライト(Y 791198, A 881655)である。FE-SEMによる微細組織観察およびEDS・EPMA分析を行い、さらにFIBで作製した薄膜試料に対してTEM観察を実施した。
 その結果、同一試料中に、①ほとんど衝撃変成を受けていない領域、②衝撃誘起溶融によって形成されたと考えられるアグルチネート、③亜平行亀裂が卓越する領域が共存していることが明らかとなった。アグルチネートは、正のゾーニングを示す自形オリビン、Fe–Ni硫化物粒子、発泡痕、およびメソスタシスガラスから構成されていた。アグルチネートは4試料、亜平行亀裂は2試料から確認され、特に角礫化の顕著なY 980115およびY 980134では両者が認められた。一方、衝撃変成組織の面積率は小さく、最大でも亜平行亀裂が約2%、アグルチネートが約0.3%であった。
 CI/CYコンドライトを用いた衝撃回収実験[5]では、亜平行亀裂および衝撃誘起溶融が卓越し始める衝撃圧力はそれぞれ約4 GPaおよび約10 GPaと見積もられている。本研究で確認された組織が衝撃起源である場合、異なる衝撃履歴をもつ岩片が単一の隕石中に共存し得ることを示し、CYコンドライト母天体が衝突破砕と再集積を経て形成された可能性を示唆する。

引用文献
[1] King et al. (2019) Geochemistry, 79: 125531. [2] Tomioka et al. (2023) Nature Astronomy, 7: 669–677. [3] Miyahara et al. (2024) Meteoritics & Planetary Science 59: 3181–3192. [4] Zolensky et al. (2022) Meteoritics & Planetary Science 57: 1902-1923. [5] Nakahashi et al. (2025) Earth and Planetary Science Letters, 668: 119559.