講演情報

[PPS12-P09]FIB-TOF-SIMSを用いたAllende隕石のコンドリュール細粒リム分析

*白井 嗣恩1、増田 真盛1、坂本 哲夫1,2 (1.工学院大学大学院工学研究科電気・電子工学専攻、2.工学院大学先進工学部応用物理学科)

キーワード:

コンドリュールリム、アエンデ、CV3型炭素質コンドライト、マトリックス

コンドリュールは、コンドライト隕石を構成する主要な球状珪酸塩粒子であり、原始太陽系星雲中における高温加熱および急冷過程によって形成されたと考えられている。炭素質コンドライト中の多くのコンドリュールは、マトリックスに類似した細粒鉱物からなるリムに覆われている。コンドリュールリムは、原始太陽系星雲中でのダスト付着(Metzler et al., 1992)や、母天体上での変質作用(Tomeoka and Tanimura, 2000)など、複数の形成過程を反映する重要な記録媒体であると考えられている。リムは一般に、微細な珪酸塩鉱物、金属鉄、硫化物などから構成され、その鉱物組成や組織はコンドライトの分類や熱履歴、流体相互作用の程度を議論する上で重要な指標となる。したがって、コンドリュールリムの詳細な鉱物学的、化学的特徴を明らかにすることは、コンドリュール形成後のダスト集積過程や母天体上での二次変質史を理解する上で極めて重要である。
本研究では、実験手法としてCP加工装置(Cross-Section Polisher)を用いて隕石断面試料を作製し、本研究室が独自に開発した高面分解能を有する集束イオンビーム飛行時間型二次イオン質量分析装置(Focused Ion Beam Time-of-flight Secondary Ion Mass Spectrometer:FIB-TOF-SIMS)により、アエンデ隕石のコンドリュール内部から細粒リム、さらに周囲マトリックスに至る連続領域を対象として元素分布分析を行った。本研究室ではこれまでにAllende隕石のマトリックス分析を実施し、ナノサイズのAlに富む粒子が主にオリビン粒子間に存在していることを明らかにした(T. Sakamoto et al., 2022)。これら先行研究の成果を踏まえ、本研究ではコンドリュール細粒リムの詳細な元素分布を明らかにし、その形成過程について検討することを目的とした。
結果として、細粒リム中には、本研究室がこれまでにマトリックス領域で見出したナノサイズのAlに富む粒子と同様の粒子が存在していた。マトリックス領域ではこれらの粒子は主としてオリビン粒子間に分布していたのに対し、細粒リムではオリビン粒子の形状変化に伴う空隙の減少とともに、Al-rich粒子がオリビン粒子内部に取り込まれた状態で分布していた。これらの特徴は、細粒リムがマトリックスとは異なる熱履歴を経験した可能性を示唆する。