講演情報
[PPS12-P14]炭素質コンドライトのクロム同位体比変動要因の制約
*白旗 歩珠1、横山 哲也1、喜多代 龍壮1 (1.東京科学大学理学院地球惑星科学系)
キーワード:
炭素質コンドライト、クロム同位体
始原的な隕石に観察される核合成起源同位体異常は、太陽系形成以前に異なる星環境で合成されたプレソーラー粒子が、原始太陽系円盤内で混合しきらずに保存された結果であり、太陽系始原物質の起源や初期進化を探る重要な手がかりとなる。特にクロム(Cr)同位体は、炭素質隕石(carbonaceous; CC)と非炭素質隕石(non-carbonaceous; NC)の間で明瞭な組成の違いを示すことから、太陽系初期に存在した物質リザーバーの二分性を特徴づける有効なトレーサーとして注目されている[1]。炭素質コンドライトに対して連続酸リーチングを行うと、全岩試料よりも大きな54Crの同位体異常が観察される。連続酸リーチングによって、耐酸性の異なる鉱物相を分離し同位体測定を行うことで、Cr同位体異常のキャリア相に制約を与えることができるが、炭素質コンドライトに内在する同位体異常の端成分の実態については未だ十分に明らかになっていない[2]。
本研究では、Cr同位体異常のキャリア相をより詳細に制約することを目的として、炭素質コンドライトTagish Lake (C2-ung) およびMurchison (CM2) の全岩試料と不溶性有機物に富む耐酸性残渣(Insoluble Organic Matter-rich Residue; IOMR)に対して連続酸リーチングを行い、各リーチングフラクションのCr同位体組成をTIMSを用いて測定した。連続酸リーチング試料のCr同位体組成を測定した結果、53Cr/52Cr比と54Cr/52Cr比との間に負の直線関係が確認された。これは、炭素質コンドライトに53Cr/52Cr比が高く54Cr/52Cr比が低い成分と、53Cr/52Cr比が低く54Cr/52Cr比が高い成分が寄与していることを示唆する。特に、Tagish LakeのIOMRからは、これまでの連続酸リーチング実験と比較し、最も低い53Cr/52Cr比が得られた。リーチング試料の負の相関を作り出している端成分を明らかにするため、53Crに対する53Mnの放射壊変の影響を補正し、54Cr/52Crとの間の回帰直線を求めた。得られた結果と、超新星元素合成のデータ解析結果を比較したところ、25 Msun、Z = 0.02のII型超新星のHe/Cゾーンで合成されたCrが、太陽系における54Cr過剰の起源であると結論づけられた。
参考文献: [1] Zhu et al. (2021). Geochimica et Cosmochimica Acta, 301, 158–186. [2] Yamakawa, and Yin. (2014). Meteoritics and Planetary Science, 49(11), 2118–2127.
本研究では、Cr同位体異常のキャリア相をより詳細に制約することを目的として、炭素質コンドライトTagish Lake (C2-ung) およびMurchison (CM2) の全岩試料と不溶性有機物に富む耐酸性残渣(Insoluble Organic Matter-rich Residue; IOMR)に対して連続酸リーチングを行い、各リーチングフラクションのCr同位体組成をTIMSを用いて測定した。連続酸リーチング試料のCr同位体組成を測定した結果、53Cr/52Cr比と54Cr/52Cr比との間に負の直線関係が確認された。これは、炭素質コンドライトに53Cr/52Cr比が高く54Cr/52Cr比が低い成分と、53Cr/52Cr比が低く54Cr/52Cr比が高い成分が寄与していることを示唆する。特に、Tagish LakeのIOMRからは、これまでの連続酸リーチング実験と比較し、最も低い53Cr/52Cr比が得られた。リーチング試料の負の相関を作り出している端成分を明らかにするため、53Crに対する53Mnの放射壊変の影響を補正し、54Cr/52Crとの間の回帰直線を求めた。得られた結果と、超新星元素合成のデータ解析結果を比較したところ、25 Msun、Z = 0.02のII型超新星のHe/Cゾーンで合成されたCrが、太陽系における54Cr過剰の起源であると結論づけられた。
参考文献: [1] Zhu et al. (2021). Geochimica et Cosmochimica Acta, 301, 158–186. [2] Yamakawa, and Yin. (2014). Meteoritics and Planetary Science, 49(11), 2118–2127.
