講演情報

[SMP31-P11]丹沢山地の角閃岩ゼノリスの微細構造観察

*大嶽 良太1、田阪 美樹1 (1.静岡大学)

キーワード:

電子線後方散乱回析、結晶方位定向配列、変形、角閃石

深成岩体の貫入は,周囲の岩石に熱や応力を及ぼし接触変成と広域変成が重なった変成作用を引き起こす.他地域の貫入岩体周縁部についての先行研究では,鉱物組成に基づく変成温度推定や,深成岩体貫入に伴う変形構造の形成について報告されている.しかし,ゼノリスの形態解析の結果を用いた変成作用の議論をしている研究は未だにない.
本研究では,神奈川県の丹沢山地にて調査を行った.丹沢地域では,5-4Maに形成された丹沢複合深成岩体の周囲に変成岩体が分布している.この変成岩体は,原岩がおよそ17-16Maである.寄沢地域(岩体東部)では接触変成岩が分布し,中川川地域(岩体南部)では結晶片岩が分布している.この地域の丹沢深成複合岩体に含まれるゼノリス5試料,周辺変成岩(角閃岩)を対象に,深成岩体貫入時の変形・変成過程を明らかにすることを目的とした.これらの試料について,電子後方散乱回折法(EBSD)を用いて結晶方位定向配列(CPO), 形態定向配列(SPO)などの微細構造解析を行った.
ゼノリスの解析から,寄沢地域で採取されたゼノリスの転石は角閃石に富んでおり,CPO・SPOの集中が弱いことが示された.一方,中川川地域のゼノリスの転石は,角閃石に富んだゼノリス(Hb-richゼノリス)と,斜長石に富んだゼノリス(Al-richゼノリス)の2種類のバリエーションがみられた.Hb-richゼノリスでは,角閃石に亜粒界が観察され,CPOとSPOの強い集中が示された.一方,Al-richゼノリスは,Hb-richゼノリスに比べてCPO,SPOの集中が弱くなることが示された.
岩体南部の結晶片岩は粗粒な角閃石と発達した亜粒界,強いCPO,SPOが観察されトーナル岩の貫入時の応力による転位クリープが卓越する変形・変成が起こったことを示唆している.岩体東部の接触変成岩については,現時点では試料の採取に至っていない.
以上より,丹沢深成複合岩体に含まれるゼノリスの微細構造解析から,CPO・SPOの集中が確認され,それらの強弱は鉱物量比に依存している可能性がある.また,変成岩のCPO・SPOは,深成岩体の貫入による変化の指標として用いることが出来る可能性がある.