講演情報
[U07-05]北西太平洋三陸沖における物理過程が植物プランクトン群集構造に及ぼす影響★招待講演
*長谷川 大介1、児玉 武稔2、本間 光1、岡崎 雄二1、リーナワラット ドゥサディー3 (1.水産研究・教育機構、2.東京大学、3.沖縄科学技術大学院大学)
キーワード:
親潮、黒潮、植物プランクトン、群衆組成
近年、北西太平洋では、黒潮および黒潮続流の異常な挙動、海洋熱波の強化、さらには海洋生態系の変化など、顕著な物理的・生態学的変動が観測されている。黒潮・親潮遷移域に位置する三陸沖では、植物プランクトンの動態が中規模過程や前線過程に強く影響を受けるが、それらが群集構造や物質輸送に及ぼす影響は十分に理解されていない。
本研究では、三陸沖における植物プランクトン群集組成の空間的・時間的変動と、それを規定する物理海洋過程との関係を解析した。春季ブルームを対象とした高解像度 Bio-UCTD および多波長励起蛍光計 Multi-Exciter(MEX)観測による既往研究を基盤とし、人工衛星海色データに基づく植物プランクトン機能型(PFT)解析を組み合わせることで、群集組成の広域的変動特性を評価した。その結果、卓越する植物プランクトン群は、前線域、暖水渦、表層の熱的変動などの物理環境に応じて大きく変化することが明らかとなった。
珪藻優占群集は親潮影響水域においてブルームを形成し、重力沈降に伴う深層への鉛直輸送の特徴を示した。一方、黒潮系の暖水域におけるその他の真核藻類やシアノバクテリアのブルームは主として表層にとどまる傾向を示したが、一部では前線性沈み込みに巻き込まれて中層へ輸送される現象も観測された。これらの異なる輸送様式は、表層クロロフィル量が同程度であっても、群集組成の違いが栄養段階間の物質・エネルギー伝達を含む生態系機能に影響を及ぼし、さらに炭素の鉛直輸送機構の差異につながる可能性を示唆する。
本研究は、北西太平洋における物理環境の変動が、植物プランクトン量を変化させるのみならず、群集構造とその輸送様式を再編成することを示すものである。地域スケールの生態系変動と広域的な環境変動との関係を理解する上で、物理過程と生物過程の相互作用を統合的に捉えることの重要性を示している。
本研究では、三陸沖における植物プランクトン群集組成の空間的・時間的変動と、それを規定する物理海洋過程との関係を解析した。春季ブルームを対象とした高解像度 Bio-UCTD および多波長励起蛍光計 Multi-Exciter(MEX)観測による既往研究を基盤とし、人工衛星海色データに基づく植物プランクトン機能型(PFT)解析を組み合わせることで、群集組成の広域的変動特性を評価した。その結果、卓越する植物プランクトン群は、前線域、暖水渦、表層の熱的変動などの物理環境に応じて大きく変化することが明らかとなった。
珪藻優占群集は親潮影響水域においてブルームを形成し、重力沈降に伴う深層への鉛直輸送の特徴を示した。一方、黒潮系の暖水域におけるその他の真核藻類やシアノバクテリアのブルームは主として表層にとどまる傾向を示したが、一部では前線性沈み込みに巻き込まれて中層へ輸送される現象も観測された。これらの異なる輸送様式は、表層クロロフィル量が同程度であっても、群集組成の違いが栄養段階間の物質・エネルギー伝達を含む生態系機能に影響を及ぼし、さらに炭素の鉛直輸送機構の差異につながる可能性を示唆する。
本研究は、北西太平洋における物理環境の変動が、植物プランクトン量を変化させるのみならず、群集構造とその輸送様式を再編成することを示すものである。地域スケールの生態系変動と広域的な環境変動との関係を理解する上で、物理過程と生物過程の相互作用を統合的に捉えることの重要性を示している。
