講演情報

[U09-P04]2016年熊本地震で出現した地震断層の位置精度検証と規制帯幅の検討

*今野 明咲香1 (1.常葉大学)

キーワード:

活断層、地震断層、離隔距離、RTK-GNSS、2016年熊本地震

地震断層による地表の変位は,構造物を変形させ大きな被害をもたらす。このような断層変位による被害を最小限にとどめるために,都市域では活断層沿いの一定範囲に構造物の建設などの規制を設ける対策を行っている地域もある。しかしながら規制整備が進みつつある一方で,規制帯の幅が地震断層からの被害に対して十分であるかどうか,吟味されているとは言い難い。発表者は2016年熊本地震における地震断層について,既存の活断層線からの離隔距離を定量的に検討したところ,既存の回避区域の幅(活断層から25mの範囲)に当てはめると,現在の規制でカバーされうる地震断層の出現範囲は40%以下という結果となった(今野・遠田,2017)。そこで本発表では,特に地震によって出現した地震断層の位置の“正確さ”について議論するために,センチメートル級の測位精度を持つ小型のRTK-GNSS測量機(LRTK Phone)を用いて,2016年熊本地震で出現した地震断層の位置を正確に測量した。さらに,モバイルGPSデバイスを用いて地震発生直後に大学合同地震断層調査グループよって網羅的に地震断層の位置が調査されたものとの離隔距離を求めた。その結果,市街地や草地などにおいては両者の離隔距離は2m程度におさまっていたのに対し,森林内では5mを超えるところもあった。このことから,実際に出現した地震断層の位置にも測量機の種類や土地利用によっては,数m程度の誤差があるという認識が必要であることが明らかとなった。さらに,同じ場所で再度地震が発生した場合でも日本の軟弱な地質条件下では,同様の場所に出現しないことも考えたうえで,適切な規制帯の幅を設定することが重要であると考える。