講演情報
[U11-P02]北極海アラスカ沿岸における人新世珪藻群集と古海洋環境変遷
*岩井 雅夫1、濵田 悠希2,3、三宅 竜樹2,4、山本 正伸5 (1.高知大学 海洋コア国際研究所、2.元高知大学理工学部、3.一般財団法人 阪大微生物病理研、4.三信建設工業株式会社、5.北海道大学)
キーワード:
北極海、珪藻、完新世後期、バローキャニオン、マッケンジー川河口域
近年、北極圏で起きている海洋・陸域環境の変化は、北極圏にとどまらず、北半球の大気循環と北大西洋深層水の形成量の変化を介して、北半球あるいは全球に影響を及ぼす可能性が指摘されている。しかし、これらの変化が、過去にも起きた自然変動と同様のものであるのか、過去の自然変動と比べどの程度急激で振幅の大きい現象であるかは明らかではない。これを明らかにするには、20-21世紀の海洋・陸域環境の変化が、近過去には見られない急速かつ振幅の大きなものであるかどうかを、正確な時間目盛りと、多様な環境情報の復元から解析する必要がある。西部北極海では、高い解像度での環境復元の記録は、これまで皆無であるため、新規な知見を得ることが期待できる。本研究では、アラスカ沿岸の西部北極海から採取された海底柱状堆積物に含まれる珪藻化石分析を実施した。MR22-06C航海で採取された、マッケンジー川河口付近のMT2(水深152m,0-39cm;現在~約130年前相当)と、バローキャニオンのBC2(水深224m、0-27cm;現在~約40年前相当)を用いた。1㎝ごとに分割された試料を凍結乾燥、約50㎎を秤量し希塩酸処理を実施、分散させた懸濁液から細粒・粗粒砕屑物を除去して作成した定量スライドを用い、Nikon Ecripsノルマルスキー微分干渉顕微鏡下(対物40x, 接眼10x/25)で珪藻殻400個体以上を同定した。400個体以上に満たなかったものについては、10側線420視野を限度に計数を止めた。この計数した珪藻殻の個数を用いて1gあたりに含まれる総珪藻殻含有量を算出、統計解析を行った。
全珪藻殻の含有量は、MT2で1.0×104~1.0×105(#/g)を記録、8属を含む12タクサを識別、BC2で1.0×105~1.0×106(#/g)を記録、22属33タクサを識別した。MT2では、2020年~2000年までは珪藻含有量が多い値を取り、冷水種のThalassiosira gravida, Chaetoceros spp, Thalassiosira hyalina,沿岸種のParalia sulcata, Melosira sol, が多く見られた。しかし、27cmより深い場所(1950年以前)ではほとんど珪藻殻は見られなかった。BC2では、2020年~2000年に珪藻含有量が多い値を取った。2020年~2000年までは、冷水種のThalassiosira gravida, Thalassiosira hyaline, Thalassiosira leptops, 沿岸種のDelphineis spp, Pseudopodosira elegansが多く含まれ、2000年以前は、冷水種のThalassiosira gravida, Chaetoceros spp, 沿岸種の Paralia sulcata, Melosira sol, Cocconeis spp,が多く含まれていた。この結果から、MT2では、27cm以下(1950年以前)は珪藻殻がほとんど見られなかったため、海面が海氷で覆われていたと考えられる。一方2000年以降は、BC2とMT2の両地点で珪藻殻が多産、温暖化により海氷が減少したことを示唆した。
全珪藻殻の含有量は、MT2で1.0×104~1.0×105(#/g)を記録、8属を含む12タクサを識別、BC2で1.0×105~1.0×106(#/g)を記録、22属33タクサを識別した。MT2では、2020年~2000年までは珪藻含有量が多い値を取り、冷水種のThalassiosira gravida, Chaetoceros spp, Thalassiosira hyalina,沿岸種のParalia sulcata, Melosira sol, が多く見られた。しかし、27cmより深い場所(1950年以前)ではほとんど珪藻殻は見られなかった。BC2では、2020年~2000年に珪藻含有量が多い値を取った。2020年~2000年までは、冷水種のThalassiosira gravida, Thalassiosira hyaline, Thalassiosira leptops, 沿岸種のDelphineis spp, Pseudopodosira elegansが多く含まれ、2000年以前は、冷水種のThalassiosira gravida, Chaetoceros spp, 沿岸種の Paralia sulcata, Melosira sol, Cocconeis spp,が多く含まれていた。この結果から、MT2では、27cm以下(1950年以前)は珪藻殻がほとんど見られなかったため、海面が海氷で覆われていたと考えられる。一方2000年以降は、BC2とMT2の両地点で珪藻殻が多産、温暖化により海氷が減少したことを示唆した。
